現代のビジネスパーソンに必須のスキル「編集力」とは
・ 編集力とは、情報を収集・整理し、まとめ直す能力。小学館の『デジタル大辞泉』では「一定の方針に従って資料を整理し、新聞・雑誌・書物などにまとめること」だとされている。ソーシャルメディアの利用が一般的になり、誰でも情報の検索・発信が容易になった現代だからこそ、編集力の高さが重要だと考える人が増えている。
・ 『買わせる文章が「誰でも」「思い通り」に書ける101の法則』(明日香出版社、2014年)などの著書を持ち、文章術に関する多数の講演・執筆活動を行っている山口拓朗氏によると、編集力はあらゆる職種に必要なスキルであり、編集力の有無や優劣によって仕事の生産性が大きく左右される。そして、編集力は以下に挙げる3つの段階で構成されているという。
1. 情報の収集 2. 情報の取捨選択 3. 情報の再構成
(太字による強調は編集部で施した) (引用元:リクナビNEXTジャーナル|デキるデキないの差は「編集力」にあった)
・ また、脳科学者の茂木健一郎氏によると、現代は誰もがインターネット上の大量のデータを検索できる「ビッグデータの時代」だが、人間が処理できる情報量には限度がある。そのため、「ビッグデータの時代だからこそ、経験と見識に裏付けられた編集力が必要」なのだという。
マーケティングで、企画で。編集力はこう活かす!
・ たとえば企業のマーケティング担当者が、出稿した広告の成果を会議で発表すると仮定する場合、以下のような編集力が必要とされる。このようにして準備した資料をもとに会議で報告すれば、自分の仕事の状況を的確に伝えることができ、成果をうまくアピールできる。
- 情報の収集:広告出稿による集客効果などのデータをそろえる。 - 情報の取捨選択:会議で特に伝えたい重要な情報と、重要でない情報を分ける。 - 情報の再構成:重要な情報を強調しつつ、分かりやすく整えたグラフや表を作成する。
・ また、イベントを企画することになった場合、以下のような編集力が備わっていれば、優れたアイディアを出しやすくなる。
- 情報の収集:イベント開催の目的に合わせ、世間の流行やターゲット層を調査する。 - 情報の取捨選択:仕入れた多くの情報から、いくつかアイディアをピックアップする。 - 情報の再構成:複数のアイディアをかけ合わせ、企画書のかたちにまとめる。
編集力を鍛える「乱読」と「出会い」
・ 茂木氏によると、編集力を鍛えるには「圧倒的な経験値が必要」だ。その方法のひとつとして茂木氏は「本の乱読」を挙げている。乱読とは、『大辞林』によれば「種々の書物を系統立てずに手当たり次第に読むこと」。『乱読のセレンディピティ』(扶桑社、2014年)を著した英文学者の外山滋比古氏によれば、いわゆる「良書」だけを読むべきではなく、「つまらない本」にも発見はあるという。
・ 編集力を鍛えるための「経験値」を得る方法として、茂木氏は「たくさんの人から話を聞く」ことも挙げている。外山氏も、新たな出会いの大切さについて以下のように述べた。
中高年になると世界が狭くなってくるから、新しい知的な刺激を与え合うような仲間が必要ですね。(中略) 職場の同僚だとか昔の学校の友達じゃダメですよ。自分がエスカレーターに乗っていることを自覚するためにも、エスカレーターに乗っていない人で挫折をした経験のある人。そういう人と触れて、自分を知る。ときどき食事をしたりして、いろんな問題を話し合い、違う意見や発想に触れることから学ぶことは多いんじゃないかな。
(太字による強調は編集部で施した) (引用元:プレジテントオンライン|94歳が断言“読書が役立つのは30代まで”)
(参考) コトバンク|編集 コトバンク|乱読・濫読 リクナビNEXTジャーナル|デキるデキないの差は「編集力」にあった AERA dot.|ジョブズは散歩で高めていた? 脳の「編集力」とは WEBRONZA|膨大なデジタル情報があふれる時代 求められるのは「編集力」の進化 ―『Journalism』2月号から― StudyHacker|忙しいビジネスパーソンが、革新的なアイディアを生むための『つまみ食い読書術』 プレジテントオンライン|94歳が断言“読書が役立つのは30代まで”