育住近接とは

・ 育住近接とは、保育園や学童施設などを集合住宅内に設置する傾向。2017年12月12日、株式会社リクルートホールディングスは、同社およびグループ企業が事業を手がけている人材派遣や飲食などの8領域に関して、2018年のトレンド予測を発表した。そのうち「住まい」の分野については「育住近接」がキーワードとして提唱された。これまでは、職場から近いところに住居を構える「職住近接」が知られていたが、育児負担を軽減するための育住近接がトレンドになりつつあるという。

・ リクルートホールディングスは不動産情報サイト「SUUMO」(スーモ)を運営しており、同サイトは株式会社oricon MEが実施する顧客満足度調査において、「賃貸情報サイト」の分野で顧客満足度第1位を獲得した。リクルートグループの株式会社リクルート住まいカンパニーが運営する情報サイト「SUUMOジャーナル」も、育住近接を「2018年住まいのトレンドキーワード」として発表した。

育住近接のメリット

・ リクルートホールディングスが育住近接をトレンドとして主張した理由のひとつには、「子育て世代のニーズ変化」があるという。2017年11月、リクルート住まいカンパニーが「1都3県在住で、小学生以下の子どもと同居する共働き世帯の20~49歳既婚女性」を対象に実施したアンケートでは、約35%の人が新築マンションを検討する際に「保育園や学童保育が設置されているマンションなら、駅からの距離は妥協できる」と回答した。

・ 職住近接に対する育住近接のメリットとして、リクルートホールディングスは、保育園に立ち寄って子どもを預けることを前提とした通勤時間が短くなることを挙げている。同社が提示する通勤ルート例において、職住近接の場合では自宅から保育園まで10分、保育園から職場まで45分かかり、合計55分となる。一方で育住近接の場合、自宅からマンション内の保育園まで2分、保育園から職場まで40分、合計42分となる。リクルート住まいカンパニーは、育住近接のメリットを以下のように説明している。

都心部では「職住近接」による駅近マンションなどの人気も高いが、どんなに駅から近くても、保育園が遠い場所にあると、送りの時間を含むと時間がかかってしまうというケースは少なくない。多少駅から離れたエリアでも、自宅近くに保育園や学童施設があれば送り迎えの時間や手間も省け、通勤時間も短縮できて負担は軽くなる。

(引用元:リクルート住まいカンパニー|「育住近接」 職住近接で駅近志向が高まる中子育て世帯の住まい選びの新たな志向

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育住近接に対する国の支援

・ 育住近接がトレンドだと主張するもうひとつの根拠として、リクルートホールディングスは「国のバックアップ」を挙げている。2017年6月、待機児童の解消を目的とした「子育て安心プラン」を厚生労働省が発表した。そこで提案された6つの「パッケージ」のうちのひとつが「保育の受け皿の拡大」であり、具体策として「大規模マンションでの保育園の設置促進」が盛り込まれた。これを受けて同年10月、厚生労働省および国土交通省は地方自治体に対して通知を発出。それにより、「容積率緩和の特例措置を活用して建設される大規模マンションについて、新たな保育施設が必要と見込まれる」場合には、自治体からマンション開発事業者に対して保育園の設置を要請することが定められた。

・ 容積率とは、「敷地面積に対する建物の延べ面積の割合」を意味する。たとえば、100平方mの敷地内に、床面積の合計が150平方mの建物があれば、容積率は150%となる。建築基準法の定めにより、容積率は一定の数値を上回ってはならないが、一定の条件下で容積率の制限が緩和される場合がある。たとえば、自治体によって「高度利用地区」に指定された区域では容積率が緩和され、より多くの床面積を有する建物を建造することができる。

・ 容積率緩和の特例措置を活用して建設され、保育施設が併設されたマンションとしては、2014年に竣工した「サウスゲートタワー川口」(埼玉県川口市)が挙げられる。同マンションの1階には、私立認可保育所の「まなびの森保育園川口」および「キッズランド川口金山町園」が設置されており、合計で112人の子どもを預かることができる。

・ 上記のようにマンション内に保育施設を設置することを政府が奨励しはじめたことから、リクルートホールディングスは「保育園つきマンション」がさらに増加すると予想している。2018年2月に入居が始まる某賃貸マンションでは、認可外保育園が併設され、入居者の子どもが優先して入所できるという。

(参考)
リクルートホールディングス|美容・人材派遣・飲食・住まいなど8領域の新たな兆し 2018年のトレンド予測を発表
リクルートホールディングス|2018年のトレンド予測 住まい領域
リクルート住まいカンパニー|「育住近接」 職住近接で駅近志向が高まる中子育て世帯の住まい選びの新たな志向
SUUMOジャーナル|2018年住まいのトレンドは「育住近接」、リクルート住まいカンパニー
オリコン日本顧客満足度ランキング|比較・クチコミ・評判 2017年版
国土交通省|大規模マンションにおける保育施設の設置を促進します
首相官邸|「子育て安心プラン」について
コトバンク|容積率
川口市|(私立)まなびの森保育園川口
川口市|(私立)キッズランド川口金山町園