人工培養肉

人工培養肉とは

・ 人工培養肉とは、動物の細胞を培養することで人工的に作り出す、食用の肉。食糧問題を解決する一助たりえるとして、世界各地で研究が進められている。日本では、若手研究者・羽生雄毅氏が、人工培養肉の大量生産を目指して有志団体「Shojinmeat Project」を結成し、人工培養肉の商業化のために株式会社インテグリカルチャーを設立した。「Shojinmeat Project」が週刊誌『AERA』において「夢をかなえる技術100」として紹介されたり、インテグリカルチャーがビジネスコンテスト「アグリサイエンスグランプリ」において最優秀賞を受賞したりと、羽生氏による人工培養肉製造技術は科学・ビジネスの分野で注目され、高く評価されている。

・ 羽生氏は1985年に神奈川県で生まれ、2010年、オクスフォード大学で博士号を取得した。2014年に「Shojinmeat Project」を、2015年にインテグリカルチャーを設立。「人工培養肉の大量生産による、持続的で安定的な食糧生産と豊かな食文化の維持」を目標とし、研究に励んでいる。

人工培養肉のメリット

・ インテグリカルチャーは、人工培養肉が普及することで「食肉生産による環境負荷と公衆衛生上のリスク」が除去され、「世界中で高まる食肉需要に対して持続可能な供給手段」が提供できるとしている。AFP通信の報道によると、全世界で排出されている温室効果ガスの18%が畜産に由来し、そのうち78%を牛肉の生産が占めている。牛肉1キロを生産するのに排出されるCO2は16kgに相当し、その重さは豚肉の4倍、鶏肉の10倍以上だという。一方、人工培養肉の製造過程では、家畜の飼料となる穀物を生産するのに使われる農薬が環境を汚染するほか、トラクターを動かすことでCO2が発生したり、家畜の糞からメタンガスが発生したりといったことがないため、環境への負荷が大幅に減ると考えられている。

・ 日本経済新聞の報道によると、食肉に対する需要は2040年におよそ5億トンに達し、2010年の1.7倍となる。このような状況を念頭に置き、2013年に人工培養肉によるハンバーガーを発表したことで知られるマーク・ポスト教授(オランダ・マーストリヒト大学)は、「今の家畜による食肉生産では将来の需要を賄えない」と話した。人工培養肉の大量生産が可能となれば、食肉不足の問題が解決できるとされている。

人工培養肉の抱える課題

・ 人工培養肉の製造技術そのものはすでに実現されている。しかし、大量生産を困難にしているのが、人工培養肉の製造コストである。ポスト教授の作ったハンバーガー1個の値段は、研究費を含めて約3,500万円だった。羽生氏の技術を用いても、鶏肉100グラムを製造するのに約4万5,000円かかるという。

・ 羽生氏によると、人工培養肉の製造コストを押し上げているのは、培養液に使われる、1リットルあたり数百ドルの「ウシ胎児血清」だという。羽生氏は培養液の材料を、1リットルあたり1セントのものに替えることで、従来と比べて低価格な人工培養肉を製造することに成功した。商業化に向けたさらなるコスト削減のためには、「オートメーションと量産化」が必要だと考えているという。

(参考) Shojinmeat Project|進行中のプロジェクト:細胞農業の確立に向けて 株式会社グローカリンク|純肉の普及を目指すインテグリカルチャー株式会社に、出資しました TECH PLANTER|AERA 1月11日号にインテグリカルチャーのshojinmeat projectが、「夢をかなえる技術100」の1つとして紹介されました 知識プラットフォームのリバネス-Leave a Nest-|第2回アグリサイエンスグランプリ最終選考会 THE BRIDGE|手頃な値段で販売できる人工培養肉を開発・研究するバイオハッカー集団「Shojinmeat Project」【ゲスト寄稿】 NHK クローズアップ現代+|究極の牛肉!? 悦楽の世界へようこそ AGRI IN ASIA|Shojinmeat Project 羽生雄毅さん:まるでSF⁈ 培養肉の研究で持続可能な食糧生産を目指す Medium|未来の農業、「細胞農業」 日本経済新聞 電子版|人造肉が世界を救う マーストリヒト大学教授 マーク・ポスト氏 日本経済新聞 電子版|培養肉を食べる日 資源を平らげる前に リアルの逆襲 第10回 AFPBB News|「温暖化ガス排出食」の王者は牛肉、畜産分野の約80%

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