フィジカルとは
・ フィジカルとは、英語のphysicalに由来する言葉。「物理的な、物理学的な」の意味と、「肉体的な、身体的な」の意味があり、特に後者の意味ではスポーツの分野で使われることが多い。
・ 以下、スポーツ分野とビジネス分野における用法について解説するが、これ以外の分野で使われる場合も考え方は同じ。(形がないものと対比して)形があるといった意味や、物理的な環境、肉体的な条件、といった意味であることを踏まえると、理解しやすい。
スポーツ分野における「フィジカル」
・ スポーツの分野では、フィジカルという言葉は様々な種目において使われるが、特にサッカー関係の話題によく登場する。
日本国内のサッカーの現場において「フィジカル」と言えば、選手の「体力の有る、無し」や「体幹の強さ、弱さ」なども指す。 サッカーにおいて「フィジカルに優れたチーム」と言う場合は、体力に勝っていたり、身体をぶつけあっても跳ねかえすような強靱さを持っている、という事実を指す。
(引用元:サカイク|フィジカル)
・ フィジカルが強ければ、体の状態が安定し、プレーも安定する。それに伴い精神的にも落ち着いてプレーができるので、どのような選手にもフィジカルの強さが求められる。
・ 2016年6月、サッカーのキリン杯決勝でボスニア・ヘルツェゴビナに敗れた日本代表の長谷部誠選手は次のように語っていた。
「体格的に有利な相手に対してフィジカル的に簡単にやられすぎた。連動した守備で対応していかないとやられてしまう」と、屈強な相手に対する試合運びの課題を口にした。
(引用元:SANSPO.COM|逆転負けに長谷部「フィジカル的に簡単にやられすぎた」)
・ ウォーミングアップやクールダウン、筋力トレーニング、呼吸法などを選手にトレーニングする人を指す「フィジカルトレーナー」という言葉や、運動で鍛え上げられた肉体と健康的な雰囲気をもつビジネスマンのことを指す「フィジカルエリート」という言葉もある。
ビジネスにおける「フィジカル」
・ ビジネスにおけるフィジカルは、デジタルな世界と、物から成る世界を明確に区別するために言われるケースが見られる。例えば、形のない電子書籍に対する言葉で、紙でできた本のことを「フィジカルな本(英語でもphysical bookと言う)」と呼ぶ。また、CDやDVDを実物で販売することを「フィジカルリリース」と言う。これは、ダウンロード配信による販売を指す「デジタルリリース」の対義語。フィジカルリリースという言葉は、ダウンロード配信の無かった時代には必要のないものであったが、時代の流れとともに使われるようになった言葉である。
・ また、あらゆるものがインターネットにつながるという意味のIoTが進展するにつれ、「Cyber Physical System(サイバーフィジカルシステム、CPS)」が注目されるようになった。
CPSとは、実世界(フィジカル空間)にある多様なデータをセンサーネットワーク等で収集し、サイバー空間で大規模データ処理技術等を駆使して分析/知識化を行い、そこで創出した情報/価値によって、産業の活性化や社会問題の解決を図っていくものです。
(引用元:JEITA CPS/IoTサイト|CPSとは)
・ IoT社会においては、パソコンやスマートフォンだけでなく、車や家電、様々なツールがインターネットにつながるため、複雑なデータが数多く蓄積されていく。収集されたそれらのデータを活用して実社会(フィジカル)を制御することがCPS。交通機関を効率的に運行したり、商業施設などの空調をきめ細かく調整することで電力消費を削減したりするなど、実生活における社会的な課題を解決する方法が研究されている。
・ CPSの実例のひとつとして挙げられるのが、国立情報学研究所が北海道大学などと共同で実施しているプロジェクトである「スマート除排雪実証実験」。積雪による道路渋滞を緩和するために最適な除排雪車オペレーションを行うため、気象データ、路面状況の計測、歩行者がSNSに発信する情報、交通状況(タクシーなどの移動情報)といったリアルタイムデータのほか、過去の除排雪記録や交通渋滞、事故データなどをすべて集約して分析することで、最も効果的な除排雪作業の指示につなげるシステムの研究が進められている。
(参考) goo辞書|フィジカル【physical】 コトバンク|フィジカルエリート Career Garden|スポーツトレーナーの仕事 SANSPO.COM|逆転負けに長谷部「フィジカル的に簡単にやられすぎた」 サカイク|フィジカル サッカー基礎講座|フィジカル マイナビニュース|東京都・日比谷でフィジカルな本の魅力を探る、祖父江慎+コズフィッシュ展 英辞郎 on the WEB|physical book サバナビ|フィジカルリリース / デジタルリリース JEITA CPS/IoTサイト|CPSとは 国立情報学研究所|NII Today 第63号/2014年3月発行 CPS 実社会とサイバー世界をつなぐ