レトリック

レトリックとは

・ レトリック(rhetoric)とは、文章を巧みに構成し、話し方に説得力を持たせる技術。日本語では「修辞法」「弁論術」などの訳語もあるが、レトリックとそのまま言われることが多い。2016年の米大統領選で候補者が行った演説や、2017年1月にドナルド・トランプ氏が行った大統領就任演説をメディアが報道するにあたって、レトリックという言葉が多く使われた。トランプ大統領は就任後も過激な発言を繰り返しているため、トランプ大統領の用いるレトリックは引き続き注目されている。

・ 西洋世界におけるレトリックは、共和制を敷いていた古代ローマの時代から重要だとされてきた。議会での演説や裁判での議論で、より多くの人の心を動かして支持を獲得するためである。中世に入っても、レトリックは教養人にとって必須科目であった。現代で特に注目を浴びているレトリックは、米大統領の演説に関するものが多く、演説の原稿や音声は英語の教材として販売されている。

歴代米大統領のレトリック

・ 歴代の米大統領は、演説において歴史に残る名言を生んでいる。第16代大統領のエイブラハム・リンカーン(在任1861~1865)は、ゲティスバーグ国立戦没者墓地での演説で「人民の人民による人民のための政治」という有名な言葉を残した。ここでは、同じ単語を繰り返す「反復」のレトリックを用いることで聴衆に強い印象を残した。

・ 第35代大統領のジョン・F・ケネディ(在任1961~1963)は、就任演説で「あなたの国があなたのために何ができるかを問わないでほしい。 あなたがあなたの国のために何ができるかを問うてほしい」と訴え、これは後世に残る歴史的な演説となった。ここでは、よく似た文を重ねる「パラレリズム」のレトリックが使われることで、リズミカルな語調が作られている。

トランプ大統領のレトリック

・ 第45代目であるトランプ大統領は「エンテュメーマ」(省略三段論法)というレトリックを多用すると言われている。エンテュメーマとは、結論に必要な前提があいまいな三段論法である。

・ たとえばトランプ大統領は、就任前の2016年1月、共和党の公開討論会で、イスラム教について「われわれは一時的に何かしなければならない。なぜなら、何か良からぬことが起きているからだ」と発言した。この論法では、「何か」という単語を使うことで結論も前提もあいまいになっている。それにより、聴衆は自身の政治的信条に従って解釈したため、トランプ氏の支持者は、トランプ氏がイスラム教徒を排斥する行動を起こすものだと期待した。こうしてトランプ氏はエンテュメーマのレトリックを用いることで、支持者の欲求を満たすのと同時に、明言を避けることによって、敵対する政治家から批判されないよう予防線を張ったのである。

・ レトリックという言葉は、説得力のある話術を意味する一方で、「詭弁(きべん)」を意味することもある。2016年7月、第44代大統領のバラック・オバマ(在任2009~2017)氏は、トランプ氏などを念頭に置いて「あらゆるところで多くのレトリックが使われている。最後には国民が、大統領の重要性を認識し、誰が大統領執務室に座るかについて真面目に決定を下すと考える」と発言した。この文脈において、レトリックという言葉は詭弁の意味で使われている。今後も、トランプ大統領のレトリックは良くも悪くも世界から注目されつづけるだろう。

(参考) コトバンク|修辞学 コトバンク|リンカーン コトバンク|ケネディ ハフィントンポスト|トランプ就任演説の特異さ 歴代大統領(リンカン、ルーズヴェルト、ケネディー、レーガン)との比較分析 ハフィントンポスト|「ハーバード流トーク術」のススメ Newsweek|「トランプ話法」のレトリックに隠された功罪 Newsweek|トランプ就任演説、挑発的な姿勢はどこまで本物なのか? 朝日新聞デジタル|オバマ氏「格差はポピュリズム招く」 英離脱など念頭 アメリカンセンターJAPAN|ゲティスバーグ演説 (1863年) アメリカンセンターJAPAN|大統領就任演説(1961 年) PRESIDENT Online|わが人生に今も息づく大統領の言葉 -住友林業会長 矢野 龍氏

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