『新潮45』とは

・ 『新潮45』とは、新潮社から発行されていた総合月刊誌。一般社団法人・日本雑誌協会によると、平均発行部数は19,175部(2016年10月~2017年9月)。政治やスポーツなど多様なジャンルのエッセイや意見文を掲載していた。1982年に『新潮45+』の名で創刊され、1985年に『新潮45』へと誌名を変更。しかし、2018年9月25日に休刊が発表された。『新潮45』が休刊に至るまでの流れは、言論の自由や政治、マイノリティ差別などの多様な問題を含んでいるため、インターネット上で大きな話題となった。『新潮45』はインターネット書店や実店舗で売り切れが続出している。

・ 新潮社の公式サイトによると、『新潮45』は45歳以上の中高年層を読者層として想定していた。1985年のリニューアルによって「『日記と伝記』を軸にした新たな教養雑誌」となり、「その時々の編集部の方針によってノンフィクションや事件への志向が強まったり、独自の言論に力点を置いたり」と、紙面が変わりつづけてきたという。公式サイト上では『新潮45』の方針が以下のように表現されている。

 ちょっと危険で、深くて、スリリング。
死角を突き、誰も言わないことを言い、人の生き死にを考える。
一度読むとクセになるような「毒にも薬にもなる雑誌」。

「新潮45」はそんな雑誌であり続けたいと思っています。

(引用元:新潮社|新潮45

「新潮45事件」とは

・ 『新潮45』をめぐる一連の事態について、講談社の週刊誌『フライデー』や『週刊現代』の編集長を務めたジャーナリストの元木晶彦氏は、9月23日に公開された「プレジデントオンライン」の記事において「もはや『新潮45事件』といってもいい」と発言した。「新潮45事件」の発端は、「日本を不幸にする『朝日新聞』」というテーマで特集が組まれた2018年8月号。自由民主党所属の衆議院議員・杉田水脈氏が寄せた意見文「『LGBT』支援の度が過ぎる」において、LGBT(※)に対し「彼ら彼女たちは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです」などの主張が展開された(※同性愛者・両性愛者・トランスジェンダーの総称)。この寄稿文はインターネットを通じて多くの人が知るところとなり、「国民は産む機械ではない」「問題への理解不足と関係者への配慮を欠いた表現」といった批判・指摘が各所からなされた。

・ 『新潮45』は、9月18日に発売された2018年10月号の特別企画「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」によって再び注目を浴びた。文芸評論家・小川榮太郎氏の寄稿文「政治は『生きづらさ』という主観を救えない」において、LGBTが「ふざけた概念」であると断言され、LGBTの権利が主張されるのであれば「痴漢症候群の男」が女性を触る権利も社会的に保障するべきだと述べられたためだ。

・ 小川氏の寄稿文によって、『新潮45』に対する批判の声はさらに高まった。これを受け、9月21日に新潮社の代表取締役社長・佐藤隆信氏による「あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現が見受けられました」「弊社は今後とも、差別的な表現には十分に配慮する所存です」という声明が発表された。しかし批判は収まらず、同25日に『新潮45』が休刊する旨と新潮社による謝罪が公表された。

ここ数年、部数低迷に直面し、試行錯誤の過程において編集上の無理が生じ、企画の厳密な吟味や十分な原稿チェックがおろそかになっていたことは否めません。その結果、「あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現」(9月21日の社長声明)を掲載してしまいました。このような事態を招いたことについてお詫び致します。
会社として十分な編集体制を整備しないまま「新潮45」の刊行を続けてきたことに対して、深い反省の思いを込めて、このたび休刊を決断しました。

(引用元:新潮社|「新潮45」休刊のお知らせ

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『新潮45』の評判

・ 創出版の代表でありジャーナリストの篠田博之氏は、『新潮45』の愛読者だったという。篠田氏は2018年8月、『新潮45』について「かつてのノンフィクション路線もそうだし、もう少し独自の路線で評価を得てきた雑誌だったはず」と振り返り、同誌が2018年に入って「右派雑誌の後追い」に舵(かじ)を切ったと指摘。背景には「雑誌市場全体が苦境に立たされている」ことがあると述べた。

・ 『新潮45』の編集方針に対する批判が目立つ一方で、インターネット上では「左翼リベラルなメディアが多い中で貴重な雑誌」「方向を間違えてしまったとはいえ、雑誌自体は好きだった」という意見も見られる。『新潮45』の休刊を嘆く人は少なくない模様だ。

(参考)
新潮社|新潮45
新潮社|「新潮45」休刊のお知らせ
新潮社|「新潮45」2018年10月号特別企画について
新潮社|新潮45 2018年8月号
一般社団法人 日本雑誌協会|JMPAマガジンデータ:男性 総合
プレジデントオンライン|痴漢の擁護に走った「極論雑誌」の末路
陽平ドットコム~試みの水平線~|自民党杉田水脈衆議院議員の『新潮45』への寄稿は不適切発言の特盛である
自由民主党|LGBTに関するわが党の政策について
BLOGOS|杉田水脈LGBT差別発言を掲載した『新潮45』への危惧と提言