職場ドックとは

・ 職場ドックとは、ストレスが少なく働きやすい職場作りや職員同士のコミュニケーション推進などを目的とした、職員参加型の職場環境改善事業。2010年に高知県庁が導入し、他の自治体や企業も取り入れつつある。同庁の職員厚生課に勤務する産業医・杉原由紀氏によると、職場ドックという名称には「人間ドックを毎年受けて自らの健康を確認するように、職場においてもメンバー全員で職場の点検をし、良い点を認め合ってさらに改善につなげていくという思い」が込められているという。

・ 職場ドックは1年単位で行われる。大まかな流れは以下のとおり。

1. 管理職の研修会を開き、職場環境改善への理解を求める。(4月)
2. 職場ごとの担当者(職場ドックリーダー)に研修を行う。(5月)
3. 各職場において、リーダーを中心に職場ドックを実施する。(6~11月)
4. 中間点検を行い、職場ドックの進捗を把握する。(8月)
5. 取組みを振り返り、改善報告書を作成・提出する。(12月)
6. 特に優れた職場の取組みを表彰・紹介する会を開催する。(2月)

・ 各職場において、職場ドックは以下のように実施される。

1. 各職員は専用のチェックリストを用い、職場の良い点・改善点をメモしておく。
2. 職員が集まり、職場の良い点を共有し、改善点について話し合う。
3. 改善計画書を作成し、計画を実行する。
4. 計画の実施具合を振り返り、評価する。

職場ドックのチェックリスト

・ 各職員は、職場の良い点・改善点について考える際、「職場改善のためのヒント集」(メンタルヘルスアクションチェックリスト)を利用する。このチェックリストには、「特定のチーム、または特定の個人あたりの作業量が過大になる場合があるかどうかを点検して、必要な改善を行なう」「定めた休日日数がきちんと取れ、年次有給休暇やリフレッシュ休暇などが計画的に、また必要に応じて取れるようにする」など30の項目がある。そして、それぞれの項目に対して「提案しない」「提案する」のいずれかを選択する。その項目が職場で実施されているか、考慮する必要がない場合は「提案しない」のボックスにチェックを入れ、その項目の実施もしくは改善が必要な場合は「提案する」にチェックを入れる。また、その項目が職場ですでに実施されている場合、どのように行われているかをメモ欄に記入する。

・ 職場ドックを実施するにあたって、各職員は記入したチェックリストを持ち寄り、職場における良い点・改善点を話し合う。その際に大事なのが、まず先に良い点を確認・共有することである。これにより職員同士のコミュニケーションが活性化するためだ。その上で改善点について話し合うと、職場についてどう考えているか話しやすくなり、「普段は言いにくいこと」や「気になってはいたが、あえて言うほどでもなかったこと」が引き出されやすくなる。

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職場ドック実施の事例

・ 高知県庁では、ほぼ全ての課や室などで職場ドックが取り組まれており、2017年度の実施率は97.7%だった。改善されたことのひとつには、地域観光課における書棚の整理状況がある。従来は、書棚に不要なファイルが置かれるなどしており、必要な書類を探すのに時間を取られてしまっていた。そこで、不要な書類は地下倉庫に移した上で一覧表を作成し、棚に残したファイルを種類別に分けてラベルを貼ったことにより、職場環境が改善されたという。

・ タッチセンサーの製作などを手がけるNISSHA株式会社(前・日本写真印刷株式会社)は、2015年から職場ドックを実施している。成功事例のひとつに、生産系企画部門における環境改善がある。改善点として、「部屋が暗く、閉塞感がある」「座席にマンネリ感」の2つが挙がった。そこで、窓に貼られていたフィルムを剥がして太陽光が入るようにし、窓際に野菜の鉢植えを置いた。また、3カ月に1回、管理職も含めてくじ引きで席を決めるようにした。これによって職員は気持ちよく仕事ができるようになり、会話が弾むようになったという。

(参考)
地域社会ライフプラン協会|職場のコミュニケーション活性化ツール「職場ドック」いきいき職場は心とからだの健康から~「元気な県庁」へ~
千葉県市町村総合事務組合|PART 2  メンタルヘルス一次予防のための職場環境改善 ~皆で進める職場ドック~
こころの耳|職場改善のためのヒント集(メンタルヘルスアクションチェックリスト)
一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会|コミュニケーション活性化の優れたツール・「職場ドック」
全国知事会|「職場ドック」による健康推進(メンタルヘルス対策)
NISSHA株式会社|社員の安全と健康
YouTube|実践報告⑤NISSHA株式会社(平成29年度職場のメンタルヘルスシンポジウム)