睡眠負債とは

・ 睡眠負債とは、軽い睡眠不足の状態が借金のように少しずつ積み上がり、肉体と精神に悪影響を及ぼすこと。日本人の約4割は睡眠時間が6時間未満で、睡眠負債に陥っているという枝川義邦教授(早稲田大学研究戦略センター)の指摘により、「多くの国民が目を覚まされた」として、2017年に睡眠負債は「ユーキャン新語・流行語大賞」のトップテンに選出された。

・ 神経化学を専門とする枝川教授によれば、多くの人にとって最適な睡眠時間は6時間半から7時間半。6時間程度の睡眠だと、本人はよく眠れたように感じるものの、実際には二晩徹夜したのと同程度に脳のパフォーマンスが低下するという。

・ 朝日新聞によると、睡眠負債への関心が高まった影響で、睡眠関連のビジネスが広がっている。高級なオーダーメイド枕が売れ、睡眠の質を高める手法を紹介する本『スタンフォード式 最高の睡眠』(西野精治著、サンマーク出版、2017年)が30万部を超えるベストセラーになった。「睡眠ビジネス市場」の規模は1兆円だと試算され、さらに拡大する見込みだという。

睡眠負債による悪影響

・ 枝川教授によれば、睡眠不足の影響により、判断力が低下する、もの忘れが増える、怒りっぽくなることが多くなる、などが起こりやすい。さらに、睡眠不足が常態化して睡眠負債に陥ると、免疫力の衰え、高血圧症、がん、肥満、うつ、認知症などに至る可能性が高くなるという。

・ トイレタリー製品などを手がけるライオン株式会社などによって設立されたプロジェクト「世界睡眠会議」も、睡眠負債によって「心と脳のコンディションが崩れる」と指摘している。睡眠が不足すると自律神経のバランスが保たれず、集中力・意欲の低下、注意維持の困難、イライラしやすくなることなどの症状が現れやすくなる。たとえば2016年に米国でまとめられた研究によって、睡眠時間が7時間未満の人は、7時間眠った人に比べて自動車事故を起こしやすいことが明らかにされた。睡眠時間が6~7時間のドライバーの事故リスクは、7時間の人に比べて1.3倍。5~6時間では1.9倍に、4~5時間では4.3倍にもなるという。

TOEIC 3ヶ月で400点アップ! 英語の「ジム」 English Company モニターインタビュー
人気記事

睡眠負債を解消するには

・ 枝川教授は睡眠負債について、「定期的に返していかないと、膨らみすぎて手が付けられなくなってしまう」と話す。睡眠負債を蓄積しないよう、夜間に充分な質と量の眠りを確保するには、以下のような方法がある。

- 起床したらカーテンを開けて日光を浴び、日中は精力的に活動する。
- 夕方以降にカフェインを摂取しない。
- ぬるめのお風呂につかる。
- 寝る前にPCやスマートフォンを使わない。
- 寝返りの打ちやすい寝具を選ぶ。

・ 夜間の睡眠時間を長く確保するのが難しい場合、10~15分の昼寝を取り入れるのが効果的だという。一方で、昼寝時間が長すぎたり、夕方に昼寝をとったりすると、夜間の睡眠が妨げてられてしまうとのことだ。また、静かな場所で5分間目を閉じるだけでも、脳の機能は回復するという。

(参考)
世界睡眠会議|最近の注目ワード「睡眠負債」のメカニズムを知っておこう
世界睡眠会議|1ー2時間の睡眠不足で車の事故はなんと倍に。
朝日新聞デジタル|「睡眠負債」防げ 1兆円市場?高級寝具・専門書が人気
NIKKEI STYLE|「睡眠負債」をためない術 6時間では徹夜と同じ?
WASEDA ONLINE|よい眠りは生活のデザインから
新語・流行語大賞