タスクが終わらないのは ”これ” が原因。仕事の速い人がつくっている「やらないことリスト」を試してみた。

ノート紙面

月曜日の朝、デスクに向かいながら「今週こそは全部片づける!」と意気込んでToDoリストを書き出す。しかし気がつけば金曜日、未完了タスクが山積みで「また来週に持ち越しか……」とため息をつく——。

そんな経験、ありませんか?

真面目で責任感の強いビジネスパーソンほど、この「ToDoリストが終わらない」ジレンマに陥りがちです。「時間管理が下手なのかも」「自分の能力が足りないのかも」と自分を責めてしまう人も少なくありません。

このようにToDoリストが片付かないのには、じつは脳のクセが関係しています。そこで注目したいのが「やらないことリスト」という逆転の発想。やるべきことを増やすのではなく、あえて「やらないこと」を明確にすることで、本当に重要なタスクに集中できるようになるのです。

本記事では、なぜToDoリストが終わらないのかという根本原因から、「やらないことリスト」の作り方まで、筆者の実体験を交えながら詳しく解説します。毎日のタスクに追われて疲弊している方、優先順位の決め方に悩んでいる方は、ぜひ最後までお読みください。

終わらないToDoリストは心理バイアスのせい

ToDoリストを作るとき、「企画書の作成は1時間、メール返信は30分、資料整理は45分」といった具合に、楽観的な時間配分をしてしまった経験はありませんか?

しかし実際には、企画書作成だけで2時間かかり、割り込みのメールや電話で予定は大幅に狂い、結局半分も終わらない——。こうした現象の背景には「計画錯誤」という心理バイアスが深く関わっています。*1

 

 計画錯誤 
人が物事にかかる時間や労力を一貫して過小評価してしまう傾向

この計画錯誤は、私たちが計画を立てる際に「理想的な状況」を前提に考えてしまうことから生じます。

たとえば、資料作成を60分と見積もるとき……

🧠 脳が想定する状況
  • 集中して一気に作業できる
  • 必要な情報がすぐに見つかる
  • 途中で邪魔が入らず、集中力が持続する
現実には……
  • 作業の途中で上司から急な相談を受ける
  • 必要なデータが見つからずに時間をとられる
  • 集中力が途切れて休憩が必要になる

私たちの脳は、こうした「起こりうる障害」を計画段階では軽視してしまう傾向があるのです。

その結果、「今日やることリスト」には、そもそも今日中には物理的に完了できない量のタスクが並ぶことになります。そのため、いつまでもToDoリストが空にならないのです。

TODOリスト

解決の鍵は「やらないこと」を決めること

いつまでも「やるべきタスク」から逃れられず、ストレスを抱えている状態から抜け出すにはどうすればいいのでしょうか? 有効な解決方法のひとつが「やらないことリスト」をつくることです。

メンタルコーチの大平信孝氏は、やるべきタスクが積み重なっている状況では「やらない決断」をすることを勧めています。*2

やるべきタスクを多く見積もってしまうのなら、意図的に「やらないこと」を差し引けば、そのぶんの時間とエネルギーを「やるべきこと」に集中できるようになります。

「ToDoリストの不要なタスクを削ればいい」というのは正論ですが、削りたくてもどれも同じくらい重要に思えてしまうという人も多いはず。そんな人たちにとって、あらかじめ「やらないことを決めておく」という行動は非常に有効なのです。

仕事をしている人の手元

やらないことリストの作り方

脳科学者の中野信子氏は「目標達成のために何よりするべきこととは、やるべきでないにもかかわらず普段からやってしまっていることを、『削り取る』こと」だと述べ、なにかに取り組む前にやらないことリストを作成することをすすめています。*3

「やるべきこと」に割く時間と労力が増え、さらに目標達成がしやすくなるのなら、「やらないことリスト」をつくらない手はありません。

 
 
 

やらないことリストの作り方

  1. 数日の間、なにに時間と気力を使ったかをメモする
  2. 「無駄だった・気分が落ちた」行動をピックアップする
  3.  10個程度「やらないことリスト」に入れる

急に「やらないことを決めよう」と言われても、そもそもなにがいらない時間なのかわからない、という人も多いでしょう。そこで、まずは数日間なにに時間と気力を使ったかをメモするのです。

ちなみに中野氏は「一日ごとに、『やるべきこと』『やらないこと』のチェックリスト」をつくり、さらに「これを一日の終わりにチェックすることで、『やらないこと』をしないようにする習慣をつける」ことをすすめています。*3

そのため、1と2は毎日行ない、数日後にメモを振り返って3を行なうのがおすすめです。

実際に「やらないことリスト」を作ってみた

実際に筆者も3日間、寝る前に15分時間をとり、一日の行動を書き出してみました。時間ごとに行なったことと、そのときになにを感じていたかをざっくりと書き出します。この作業では、Googleカレンダーで予定を確認したり、仕事のメールやSlackの履歴を振り返ったりしながら書き出すと、記憶があいまいな部分も正確に把握できます。

書き出せたら、メモを見ながら「無駄だった・気分が落ちた」行動をピックアップします。筆者はマーカーでチェックしました。

筆者が1日の行動を書き出した紙面

このようなメモを3日分つくり、3枚のメモを見ながら「無駄だった・気分が落ちた」行動を「やらないことリスト」にあらためて書きます。

「やらないこと」をリストアップした紙面

たった3日間の振り返りでしたが、「やらないことを見つけよう」という明確な目的を持って日々の行動を客観視すると、驚くほど多くの時間の無駄遣いが浮き彫りになりました。

一見「やったほうがいい」と思える行動のなかに、明らかに優先順位の低い、あるいは非効率な取り組みが数多く紛れ込んでいることに気づけたのです。書き出してみれば一目瞭然なのですが、ルーティンになっているとなかなか気付けないもの。

「やらないことリスト」の行動をやめたところ、なんとなく疲れ気味だった心身が軽くなり、時間にも余裕ができました。タスクにも集中できるようになり、心にもゆとりができた気がします。

***

「やらないことリスト」は、時間と気力の浪費を防ぎ、本当に必要なことへ集中させてくれます。ToDoリストを前にぐったりしているなら、一度試してみてはいかがでしょうか。

【ライタープロフィール】
柴田香織

大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。

会社案内・運営事業

  • 株式会社スタディーハッカー

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
    >>株式会社スタディーハッカー公式サイト

  • ENGLISH COMPANY

    就活や仕事で英語が必要な方に「わずか90日」という短期間で大幅な英語力アップを提供するサービス。プロのパーソナルトレーナーがマンツーマンで徹底サポートすることで「TOEIC900点突破」「TOEIC400点アップ」などの成果が続出。
    >>ENGLISH COMPANY公式サイト

  • STRAIL

    ENGLISH COMPANYで培ったメソッドを生かして提供している自習型英語学習コンサルティングサービス。専門家による週1回のコンサルティングにより、英語学習の効果と生産性を最大化する。
    >>STRAIL公式サイト