やる気なんて関係ない。結果を出す人が密かに続けている「仕組みづくり」の正体

筆者がやってみた「実践状況のチェック」

ご存知でしょうか。

「結果を出せる人」は、決して高いモチベーションを保っているわけではありません。彼らはむしろ、「やる気に頼らず動ける仕組み」を日常のなかに取り入れています。

「今日はどうしてもやる気が出ない」
「気づいたらスマホを触っていて、何も進まなかった」

そんな日が続くと、自分は意志が弱い、ダメな人間だと落ち込んでしまうこともあるでしょう。そんなときは、「やる気に頼らず動ける仕組み」を手に入れることで、悩みが少しずつ消えていくはずです。

今回は、やる気に関係なく成果を出している人々が密かに続けている3つの習慣を紹介します。

1. 言い訳せずに行動する

多くの人は、「キリのいいところで始めよう」「気分が整ったら始めよう」「やる気が出てきたら開始しよう」と思うかもしれません。

しかし、脳科学的には「とりあえず、いきなり始めること」が正解だと脳神経外科医の菅原道仁氏は言います。なぜなら、体を動かすことで大脳の「腹側淡蒼球」が活性化し、やる気をつかさどる「側坐核」が刺激されるからです。*1

この現象は「作業興奮」と呼ばれるもの。とにかく作業を始めることで、集中力や意欲があとから湧いてきて、「夢中になったり楽しくなったりする」ことを指しています。*1 

これは、ドイツの精神科医エミール・クレペリン氏が、作業の経過とともに能率が変化する様子を分析した研究がルーツとなっています。*2

もしも、ついさっきまで一緒に「やる気が出ないね」などと言っていた人が、思いっきり集中していたならば、その人は「とりあえず体を動かした」に違いありません。ただ、それだけではないのです。その人はきっと "やらないための言い訳" も、しなかったはずです。

菅原氏によれば「結果を出せない人」の共通点は、「やらないための理由」をいくつも頭のなかに連ね、なかなか始めようとしないこと。*1 

その点、「結果を出す人」は言い訳を並べる前に手を動かし始めています。もしも、それが難しければ、最初の行動のハードルを思いきり低くすることが役立つかもしれません。気の進まない仕事や勉強に取りかかろうとするときは、次のような行動を試してみましょう。

  • とりあえずPCの電源を入れる
  • とりあえずノートを机の中央に置く

こうした小さな行動は、作業を開始するためのスイッチの役割を果たし、私たちをその後も動きやすくしてくれるはず。動き始めれば脳が作業モードに切り替わり、いつの間にかその作業にのめり込んでいけるでしょう。

仕事もしくは勉強に没頭するビジネスパーソン

2. 迷わない仕組みをつくる

私たちは日々おびただしい数の決断をしており、そのひとつひとつが脳を疲れさせているといいます。

朝、何を着るか。昼に何を食べるか。仕事をどこから始めるか。どの勉強から始めるか。こうした小さな決断の積み重ねが、気づかないうちにエネルギーを奪っていくのです。

つまり、やる気が削がれる原因のひとつには、「決断疲れ」があるということ。

スタンフォード大学経営大学院教授、ジョナサン・レバーブ氏は、「身体を使い続けていると疲労するのと同じように、精神も疲れる」事実を、いくつかの実験で立証したといいます。*3

体の疲れは眠くなるなどの症状に現れますが、決断疲れ(脳の疲れ)の場合は、"本気で選ぼうとして迷った際" に結果として現れるそうです。*3

ずっと何かの購入を迷い、大量の商品を吟味した結果、最後にどうでもよくなって後悔するようなものを買ってしまった――なんて経験はないでしょうか。これが決断疲れの結果です。

また、本気で資格試験の勉強をしようとしているあなたが、「今日はどこまでやろう」「何から手をつけよう」などと考えているうちに疲れてきて、何もしないうちからパワー不足になるといった状況もあるかもしれません。結果として決断を誤り、その日にやるべきではなかった勉強を進めてしまうことだってありえます。

そうならないよう、「結果を出す人」にならいましょう。

Appleの共同創業者であったスティーブ・ジョブズ氏が、毎日同じデザインの服を着ていたことは有名な話です。同じように、たとえば仕事や勉強なら、

  • 最初に〇〇〇の作成から始める
  • 最初に使う問題集はこれ

などと、おおまかなことを先に決めておくのです。

一生懸命に考えている人ほど、本気で迷う場面が多くなります。そのたびにエネルギーを消耗し、結果的に選択ミスをする……。せっかく真面目にやろうとする気持ちがあるのに、そうした状況になってしまうのはとても残念なこと。

「結果を出す人」がやっているように、決断する場面を減らし、自然と行動が続くようにしましょう。

にこやかに仕事をするビジネスパーソン

3.「できた」をきちんと味わう

どんなに体によいことや将来のためになることでも、達成感をなかなか味わえない状況では長続きしません。

だからこそ「結果を出す人」は、日々の行動を肯定的に終わらせることを重視しています。つまり、「できた」をきちんと味わうようにしているのです。

東京慈恵会医科大学医学部 講師 島崎崇史氏(サワイ製薬の公式サイト内)は、継続するためのポイントとして「実施状況のチェック」を推奨しています。具体的には、「できた・できなかった」を、◎○△などの記号で評価しながら記録。その際に重要なのは「できた」に目を向けることです。*4

振り返りによって、「自分は何もできなかった」という思い込みが修正され、実際には少しずつ前に進んでいることが確認できます。

この確認が達成感につながり、次の行動への抵抗を下げてくれるでしょう。

筆者もやってみた

この実施状況のチェックについては、筆者も実際にやってみました。筆者の目標は、1日5時間の勉強です。

1時間未満の勉強を△、1~4時間の勉強が○、5時間の達成を◎で、ただ手帳に書き入れるだけという記録を実施。

5時間の達成にはうれしさを感じたので、赤い丸を重ねました。

すると――

筆者がやってみた「実践状況のチェック」

5時間の達成が思ったより少なかったのですが、「実感」という意味では不思議と十分なものでした。つまり、こんなに簡単な記録でも、やらないよりはずっと「できた」を味わうことができたのです。

また、これまで5時間に届かなかった日は、「今日も達成できなかった」という感覚ばかりが残っていましたが、そのときの感覚とはまったく違います。

記録を振り返ってみると、○が付いている日が想像以上に多く、自分は思っていたよりも継続できていたのだと気づかされた部分もありました。

「完璧にできたか」ではなく、「どれだけやったか」を可視化することで、達成感は確実に積み重なっていきます。この小さな成功体験の積み重ねこそが、やる気を落とさずに続けるための土台になるのだと実感しました。

***
やる気は、気合いや根性で維持するものではありません。スモールステップで行動スイッチを入れ、決断回数を減らし、できた事実をきちんと認識する。

こうした小さな習慣の積み重ねが、やる気に頼らない「結果を出せる人」を支えています。

もし最近、やる気が続かないと感じているなら、自分を責める前に行動や環境を少しだけ見直してみてはいかがでしょうか。その小さな調整が、思っている以上に大きな変化をもたらしてくれるはずです。

よくある質問(FAQ)

Qやる気が出ないときは何から始めればいいですか?

Aまずは「とりあえずPCの電源を入れる」「ノートを机に置く」など、ごく小さな行動から始めてみましょう。脳科学では「作業興奮」と呼ばれる現象があり、体を動かすことで側坐核が刺激され、後からやる気が湧いてくることがわかっています。

Q決断疲れを防ぐ具体的な方法はありますか?

Aスティーブ・ジョブズ氏のように「毎日同じ服を着る」ことで服選びの決断を省く方法が有名です。仕事や勉強でも、「最初に取りかかる作業」「使う問題集」などをあらかじめ決めておくことで、迷う場面を減らし、脳のエネルギーを温存できます。

Q「できた」を味わうためにはどうすればいいですか?

A実施状況を◎○△などの記号で簡単に記録することがおすすめです。「できた・できなかった」ではなく「どれだけやったか」を可視化することで、小さな達成感が積み重なり、継続のモチベーションにつながります。

Qやる気に頼らず行動するコツは何ですか?

A「仕組み」をつくることがポイントです。スモールステップで行動スイッチを入れ、決断回数を減らし、できた事実をきちんと認識する。この3つの習慣を取り入れることで、やる気の有無に関係なく安定して行動できるようになります。

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部

「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。