「何気ない雑談のつもりが、相手の反応が微妙だった」
「話が広がらず、盛り上がらなかった」
職場や取引先の相手とこのようなことが続くと、雑談に対して苦手意識をもってしまうでしょう。
しかし、避けるべき話題や言い回しを知っておけば、雑談は恐くありません。
雑談がうまくなれば下記のようなメリットを得られます。
- 人間関係が円滑になる
- 活発な意見交換による意思決定のスピードや質の向上
- 課題の早期発見
話題やちょっとした言葉の選び方を見直すだけで、雑談力は誰でも伸ばせるのです。
本記事では、雑談に苦手意識がある人や、会話を振ってもイマイチ盛り上がらず悩んでいる人に向けて、NG雑談例とその改善ポイントをご紹介します。
NG雑談例1. 「〜はどうでしたか?」
軽い雑談から会話の糸口をつかもうとして、こんな質問をしていませんか?
「この前の休みはどうでしたか?」「研修はどうだった?」
一見、気楽に答えることができる質問のように思えますが、「〜はどうでしたか?」というざっくりとした質問は相手に負担をかけているかもしれません。
なぜなら、質問が漠然としていて、何を答えればいいかわかりにくいからです。
筆者も「最近仕事どう?」と聞かれることが多く、どう答えるのが正解なのか悩むことがあります。
相手からすると深い意味はないのでしょうが、無難に答えたつもりが深くつっこまれることもあったりして、悩ましいのです。
では、相手に負担をかけず、答えやすい質問をするにはどうすればいいのでしょうか。
『質問術』についての著作がある中田豊一氏は、「5W1H(ただしWhyとHowは除く)を使って、相手に細かく質問を継」ぐようにすすめます。*1
つまり、4Wを使って、どのWの部分を聞きたいのか具体的に質問するのです。
【4W】
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(だれが)
- What(なにを)
上記4Wを使って、雑談の例を考えてみましょう。
- 「先週末はいい天気でしたね。どこか行かれましたか?」
→When(いつ)・Where(どこで)を問いかける - (「お花見に行った」という答えに対して)「ご家族で行かれたんですか?」
→Who(だれと)を問いかけ、会話を発展させる - 「午前中に受けてきた研修はどこでやったんですか?」
→When(いつ)・Where(どこで)を問いかける - 「最近お忙しそうですが、休みはとれていますか?」
→What(なにを)を問いかけ、答えやすいように配慮する
ポイントは、相手が答えやすいかどうか。
相手の立場に立ち、回答のハードルを下げることで、相手も安心して雑談に参加できます。
NG雑談例2. 「趣味は何ですか?」
相手を深く知るために、「趣味は何ですか?」と聞いたことがある人もいるでしょう。
筆者も後輩に「趣味とかあるの?」と聞いたことが何度かあります。
趣味について饒舌に語ってくれる人もいれば、特に趣味と呼べるものがない人とは会話が広がらなかったことも。
趣味に関する質問はよくありますが、じつはリスクが高い話題のひとつなのです。
なぜなら、趣味というと「何か特別な活動」というイメージがあり、「ちゃんとしたことを言わなきゃ」というプレッシャーが生まれるからです。
また、特にこれといった趣味がない人にとっては、少し気まずい話題でしょう。
この場合もより具体的に質問するのがおすすめです。
日本マーケティング学会常任理事の岡田庄生氏は、「最近、ハマっているものは?」という言い回しをすすめています。*2
「最近、ハマっているものは?」
なぜなら、趣味とまで言えなくても直近で行なったことについて話せばいいので、答えやすく、話しも広がりやすいからです。*2よりまとめた
それだけでなく、「ハマっているものを話すことでポジティブな感情になるので、その後に続く打ち合わせや商談も、前向きで明るい雰囲気になるという効果」もあると、岡田氏は話します。*2
ほかの表現として、次のような質問をして雑談を広げるはいかがでしょうか。
- 「仕事終わりはどのように過ごしてリフレッシュしていますか?」
- 「休日の過ごし方は、アクティブ派ですか? それともインドア派ですか?」
趣味やハマっていることにつながる話題は、価値観や人となりに触れる絶好の機会です。
言い回しを工夫すれば相手との関係性が深まり、仕事がしやすくなるでしょう。
NG雑談例3. 「最近雨が続きますね」
雑談にはポジティブな効果があるとは言え、あまりプライベートな話題に踏み込まれると不愉快に感じる人がいるのも事実です。
しかし、そこで無難な話題で場をあたためようとして、天気の話題を振るのは考えものなのはご存じでしたか?
その理由を、前出の岡田氏は「天気のような『当たり障りのない話題』だと、自己開示につなげるのは難しくな」るからだと言います。*2
自己開示とは自分の考えや意見、価値観などを相手に正直に伝えること。*2
互いにある程度の自己開示をし合わなければ、共通の話題も見つけにくく、会話が広がりません。
これをふまえ、天気の話題に自己開示の要素を組み合わせた質問をすることをおすすめします。
天気の話題だけでなく、自己開示の要素を組み合わせる
- 「雨の日は何をして過ごされることが多いですか?」
- 「雨が続くので室内で楽しめるところに出かけたいのですが、おすすめの場所はありませんか?」
「今日は雨ですね」という漠然とした天気の質問は自己開示につながりませんが、天気を切り口にして互いの自己開示につながるような質問を考えてみましょう。
お互いに自己開示した関係を築ければ、打ち合わせや情報共有など仕事上のコミュニケーションも円滑になるはずです。
注意点:的外れな質問を避ける
雑談で避けるべき話題や言い回しをお伝えしてきましたが、相手の話への「返し方」にも注意が必要です。
せっかく相手が話してくれていても、的外れな返答をしてしまっては、相手は「話さなければよかった」と感じてしまうかもしれません。
たとえば、次のような状況です。
Aさん:「週末は有楽町で映画を観たんだ」
Bさん:「え? なんで有楽町なの? 横浜のほうが近いよね?」
Aさん:「(映画について話したかったのに……)」
話し方についての本などの著者でフリーアナウンサーの魚住りえ氏は、NG質問のひとつに「趣旨とズレた質問」を挙げ、趣旨からズレた質問は「話をひととおり聞いたあと」にするようすすめています。*3
相手は何を話したいのかを理解し、相手目線で会話を進められる返答を忘れずに雑談を楽しみましょう。
そうすれば、職場の人間関係が円滑になったり、仕事の成果を上げられたりといったメリットを得られるのです。
***
雑談で大切なのは、話題選びや言い回しです。最初から完璧を目指さず、できそうなところから取り組んでみてはいかがでしょうか。その積み重ねが雑談力を向上させ、円滑な人間関係や仕事の成果につながるのです。
※引用の太字は編集部が施した
*1 ダイヤモンド・オンライン|「休暇は“どう”でした?」と聞く人は嫌われる。“頭の良い人”ならどう聞く?
*2 プレジデントオンライン|天気でも、趣味でも、仕事の話でもない…仕事ができる一流が「最初の10分」に話す"人に好かれる"雑談の中身
*3 東洋経済オンライン|嫌われる人の「ウザい質問」、よくある5大NG
澤田みのり
大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。