海外転勤の辞令から渡航まで約3か月。リスニングとアウトプットのスキルを効率的に身につけたトレーニングの全貌
短期集中型の英語パーソナルジム『StudyHacker ENGLISH COMPANY』。言語学や英語教授法についての高い専門性をもつ英語のパーソナルトレーナーが、言語習得の科学「第二言語習得研究」の知見に基づいたトレーニングを提供し、多くのビジネスパーソンの英語力を伸ばしています。
今回は、ENGLISH COMPANYのパーソナルトレーニングコースをご受講されて海外転勤に必要な英語力を大きく伸ばした山本亮さんと、担当の大坪トレーナーにお話をうかがいました。
タイの首都バンコクに赴任することになった山本さんは、90日間のトレーニングを経てTOEIC® IPテストで890点を取得。トレーニング最終回で受けたTOEIC®模試でも、スコアを760点台から920点台(中央値)まで伸ばすことに成功しました。特にリスニング力の伸びが顕著で、トレーニング初回での正解率が100問中75問だったのが、最後は100問中94問まで上がったとのこと。さらに、英会話の正しい学習法を身につけたおかげで、海外での生活や勤務に欠かせないコミュニケーションの土台も築くことができたと語ります。
どのようなトレーニングが行なわれたのか、詳しく見ていきましょう。
※インタビューはオンラインにて実施しました。
海外転勤が決まり、早急に英語力を上げる必要があった
――山本さんは現在、日系のエネルギー関連企業にお勤めだとうかがっています。海外転勤の辞令が出て、日本を離れることが決まったときはどんなお気持ちでしたか?
山本さん:驚きましたね。タイには一度だけ滞在経験がありましたが、私の勤務先ではそもそも海外転勤の例がそれほど多くなかったこともあり、海外で働くイメージはもっていませんでした。くわえて、英語をあらためて学び直さないとマズいと感じましたね。それまでは仕事で英語を使う機会はあまりなかったため、海外で英語を使って仕事をすることになった以上、なにかしらの準備をしておかないといけないなと思いました。
――英語に関しては、具体的にどんな点で不安をおもちだったのでしょう?
山本さん:英語を聞き取れるか、そして自分の言いたいことを言えるかという部分ですね。きちんとレベルアップをしないと、仕事をするときに非常に困るだろうなと思いました。あとは文法の瞬発力ですね。受験勉強やTOEIC受験の経験はあったので、ある程度の知識はありましたが、即座にアウトプットできる段階には至っていませんでした。
じつは、5年ほど前に某英会話スクールに通って英会話を学んだ時期もありました。ただ、上達している感じがせず、長続きしなかったんです。評価基準が曖昧で、「次はこの練習をしましょう」「ここを伸ばしましょう」といった具体的なアドバイスやフィードバックがなかったため、時系列で自分の英語力がどう変化していっているのかが見えませんでした。
――なるほど。今回ENGLISH COMPANYを選ばれたのも、そのようなご経験をふまえてでしょうか?
山本さん:2020年12月下旬に海外転勤の辞令が出たのですが、赴任先での業務開始が2021年4月からと伝えられました。準備する期間が約3か月しかなかったんです。限られた時間で集中的に英語力を鍛えられるスクールをインターネットで必死に探しました。
ENGLISH COMPANYを選ぶ決め手となったのは、3か月間で英語力を大幅にアップさせた実績が豊富だったこと、そして専門性の高い講師がそろっていることでした。実際に体験授業を受けた際も、英会話スクールのようにただおしゃべりして終わりではなく、トレーナーが私の課題や弱点をしっかり分析したうえで解決方法を的確に提案してくださったことがとても印象的でしたね。そして提案する際に、私が腑に落ちるように、その学習法がなぜ有効なのかロジカルに説明してくださったのも好印象でした。
ENGLISH COMPANYならば、3か月という短い期間でも海外で通用する英語力を身につけられそうだと感じ、受講を決めました。
ディクテーションとオーバーラッピングで「聞き取る力」を強化
――ここからは、担当した大坪トレーナーも交えてお話をうかがっていきます。まず、山本さんは「聞き取り」に不安を抱えられていたとのことですが、具体的にどのような課題をおもちだったのでしょうか?
大坪トレーナー:リスニングは「音を聞き取る」「意味を理解する」という2つのプロセスに分かれています。つまり、そもそもなんと言っているのか聞き取れないと、意味を理解するというところまで到達しづらくなるのです。山本さんの場合は、最初の「音を聞き取る」ステップ、つまり音声知覚に課題をおもちで、そこに大きな伸びしろがありました。
具体的には、まず個々の発音を再現できるようになる必要がありました。正確に発音できる音ほど、正確に聞き取れる可能性が高くなるからです。具体的には、母音全般や、日本語の「ス」に近い/s/と「シュ」に近い/ʃ/のような似た発音の区別、また /θ/(例:thank, three, throughの "th" の音)と/ð/(例:those, that, thenの "th" の音)のような、喉を震わせて発音する有声音と震わせないで発音する無声音の区別を苦手としているようでした。
同時に、ネイティブ特有の “省エネ型” の発音「音声変化」にも慣れていただく必要がありました。ネイティブは、発音しやすくするために音をつなげたり弱く発音したりすることがあります。音声変化には5つのルールが存在しますが、山本さんの場合は、あるべき音が発音されない、もしくは聞こえにくくなる「脱落」の聞き取りに特に苦労されているようでした。“last night” が「ラスト ナイト」ではなく、語尾の/t/の音が聞こえにくくなって「ラスッナイッ」のように発音される、といった類いの変化ですね。
ーー個々の発音や音声変化の聞き取りの強化のために、どのようなアプローチをしましたか?
大坪トレーナー:個々の発音については、シャドーイング(流れる音声のあとに続いて1、2語遅れで発音していくトレーニング)やオーバーラッピング(流れる音声にピッタリかぶせて発音していくトレーニング)のフィードバックを通して、山本さんが課題としていた発音の舌と唇の位置を重点的にチェックしました。
また音声変化については、まずは聞いた音声を紙に書き取る「ディクテーション」を行ないました。ディクテーションをすることで、自分が聞き取れていない音を客観的に把握することができます。次に、音声変化が無意識に再現できるまで、繰り返しオーバーラッピングに取り組んでいただきました。音声変化をしている箇所を含む英語の音声を、最初から終わりまでピッタリかぶせて発音し、自分の想定する発音とネイティブの自然な発音のギャップを埋めていけば、細部まで聞き取る力も鍛えられます。
1か月目は、ディクテーションからオーバーラッピングまでの一連の流れを正しくできているかチェックをしました。2か月目以降はディクテーションとオーバーラッピングを自習として行なっていただき、レッスンではオーバーラッピングのフィードバックをさせていただきました。トレーニングを重ねることで、全体的なリズムや抑揚、個々の発音において自然さが増し、結果リスニングの伸びにつながりました。
山本さん:音声変化のルールがたったの5つに集約されていることを知ったときは驚きました。しかし、たった5つとはいえ、この規則性を知っているのと知らないのとでは、聞き取りの精度は大きく変わると思います。知らないまま一生懸命聞こうとしても、聞く力はなかなか上がらなかったでしょう。以前はどんなときでも強く発音してしまっていた助動詞 “would” や前置詞 “to” なども、自然な発音のなかでは「弱形」となって弱く短く発音されていたんだと気づけたことも新鮮でしたね。
こうした規則性は学生時代には教わる機会がありませんでしたが、トレーニング中に教えていただいてからは、音声変化やうまく再現できていない発音にさらに意識が向くようになりました。また、発音の具体的なアドバイスも頂くことができ、しだいに細部まで聞き取れるようになってきたように思います。実際に海外転勤してからは、英語ネイティブやそれに近い発音のタイ人が話す英語を聞き取る際に、このトレーニングがとても役立ちました。
パターンプラクティスと音読で文法知識と読解力を強化
――山本さんは文法の瞬発力も鍛えたいと当初思っていたとのことでした。文法面ではどのようなトレーニングに取り組まれたのでしょうか?
大坪トレーナー:山本さんは受験勉強やTOEIC受験のご経験はありましたので、基礎的な文法知識はすでにおもちでした。ただ、実際のリーディングで意味の理解が少々不正確な部分があり、詳しく原因を探ってみると、接続詞がどのように話をつなげているのか、関係詞が何を説明しているのかといったところで文脈を取り違えてしまうことがあるようでした。そこで、接続詞や関係詞を中心にトレーニングに取り組みました。
1か月目に行なったのは「パターンプラクティス」です。これは、課題の文法項目を含んだ例文の主語や目的語を瞬時に変化させながら言えるようにするトレーニングで、頭に入っているだけの知識を “瞬時に使える” 知識に変えることを目指しました。
2か月目からは、意味のかたまりであるチャンクが前後でどのようにつながっているのかを明示的に説明していただき、文脈を正確にとらえられているか確認しました。トレーニングが進むにつれて、接続詞や関係詞などに意識を向けながら、チャンクの前後のつながりを自力で正確に把握できるようになってきたように思えます。
その後は、リーディングの理解力を上げるために、スピードを意識した音読にも取り組んでいただきました。私たちは黙読している際でも、文字を頭のなかで音声化してから意味を理解しています。この音声化のことを「音韻符号化」といいますが、より速く音読できるようにすることで音韻符号化が自動化され、その後の「理解」の処理がスムーズに進むようになるのです。最終的には200wpm(wpm=words per minute、1分あたりに処理する単語数)というスピードで音読できるようになり、短時間で理解できる量も増えてきましたね。
山本さん:パターンプラクティスを通して特定の文法項目を重点的にトレーニングしたことで、接続詞が前後の文をどう関連づけているのか、関係詞以降でどういう説明がなされているのかなどのイメージが自然とできるようになってきましたね。また音読練習においても、チャンクどうしのつながりをイメージしながら読むコツがだんだんとつかめてきました。設定された時間内に読みきったときは達成感がありましたね。実際に英語の新聞を読む際に効果は感じていて、文章がどう展開されているのかがスムーズにつかめるようになったと思います。
アウトプットトレーニングで「理由を深掘りする力」を強化
――海外で勤務されるにあたり、アウトプットスキルも強化する必要があったと思います。山本さんも「自分の言いたいことを言えるかという部分が不安だった」とおっしゃっていましたが、アウトプット面ではどのようにアプローチしたのでしょうか?
大坪トレーナー:まず導入したのは、あるお題に対して次々に説明を加えていく「Guessing Game」というトレーニングです。たとえば “an apple” というお題が出たら、 “It’s a fruit.” “It’s red.” のように説明をつけ足していきます。
また、「新幹線がいいか飛行機がいいか」「紙の本か電子書籍のどちらが好きか」といったふたつの選択肢から好きなほうを選んでその理由を瞬時に答えていく「Comparison & Why Game」にも取り組みました。日本語のコミュニケーションは共感がベースですが、英語のコミュニケーションでは理由を深掘りすることで相手への理解を深めていくという特徴があります。そこに戸惑う日本語話者はかなり多く、理由をたずねられた際に英語で瞬時に簡潔に言えるようにする必要がありました。
答えが簡単な表現になってしまうことを山本さんは気にされていたようですが、実際のコミュニケーションでは難解で高度な表現は必要ありません。山本さんには「言いたいことをシンプルに表現できるか」という部分を意識して練習していただきました。英語らしい言い回しを紹介したり、瞬時に出てこなかった英語表現をフィードバックしたりといったサポートもしながらトレーニングを繰り返したことで、アウトプットする英文の質もかなり上がったと思います。
山本さん:日本人と英語ネイティブのコミュニケーションの仕方の違いに関するお話が印象的でしたね。因果関係を具体的に述べたり、自分が求めることをはっきり述べたりしないと仕事にならない場面もビジネスでは多々ありますから、日本語と英語とで異なる論理展開の傾向を知るのはとても重要だと感じました。
一般的な英会話スクールだと、決まったスクリプトにのっとった練習のみに終始するため、理由を深掘りするようなトレーニングはあまりないですよね。一方でENGLISH COMPANYのアウトプットトレーニングは、より実践的なコミュニケーションの訓練になりました。アウトプットに関してはまだまだ練習が必要ですが、実践の場で実力が伸びていくための土台を築くことができたように思えます。実際に会話する際も、教えていただいた表現を使ってみたり、理由の深掘りの仕方を意識してみたりすることで、さらに流暢にコミュニケーションできるようにしていきたいですね。
ーー続いて、毎日の自宅学習についてもお話をうかがいます。山本さんは受講中、1日の学習習慣をどのように確立させましたか?
山本さん:夜になって学習すべきことをため込むことは極力したくなかったので、できるだけ朝早く起きて学習時間を確保しました。くわえて、通勤途中の電車内や歩いているあいだ、昼休憩など、日常のスキマ時間を見つけて少しずつ学習を進めていきました。
大坪トレーナー:ENGLISH COMPANYでは、大量に詰め込む学習ではなく、10〜15分程度のスキマ時間を見つけて合計で1日1〜1.5時間の学習時間を確保するように受講生様にお願いしています。ただ、朝のランニングを習慣にしているだけあって、山本さんは習慣形成のコツをすでにつかんでいらっしゃいました。そのため私が、どの時間に何をすればいいのか、どのような配分が好ましいかについて具体的にアドバイスすることを心がけました。
その期待通りに、山本さんは私が提示したメニューをコンスタントに実施し、完成度も上げてから毎回のトレーニングに臨んでくださったため、成長が大きかったように思えます。
今後の独学にも応用できる “正しい学習法” が身についた
ーー90日間のトレーニングを経て、最終的にはTOEIC® IPテストで見事895点を取得されましたね! 山本さんご自身が考える、点数アップの一番の要因はなんでしょうか?
山本さん:ありがとうございます。リスニングにおいて、受講前と比べて確信をもって答えられる問題が増えたことが一因だと思います。やはりトレーニングで実力が大きく伸びましたね。またリーディングでも、10~15分程度時間を余らせて解き終えられるようになり、見直しに余裕ができたのもありました。もちろん、TOEICの点数に現実の英語力すべてが反映されるわけではないので、今後も英語学習は継続していくつもりです!
ーーENGLISH COMPANYの受講を通して、海外転勤への不安は和らぎましたか?
山本さん:やれるだけのことはやったという感じですね。何もしないまま不安な日々を過ごすよりも、渡航に向けての最低限の準備ができたという意味で不安を和らげることができました。
海外転勤の不安とは離れるのですが、スキマ時間を使って、英語の新聞を読んだり英語ニュースを聞いたりすることがルーティーンとして身についたのも大きな収穫でした。会社まで車で通勤するあいだに学習したり、寝る前に最低1本は英語ニュースを聞いたりと、探してみればスキマ時間はたくさん見つかるんですね。スキマ時間の有効活用の仕方が学べたのは大きかったと思います。
ーーそして現在は、タイに移住してお仕事をされていますね。ENGLISH COMPANYでトレーニングしていてよかったと思う場面は何かありましたか?
山本さん:資料を説明するときに最初に結論を述べてから理由を説明する、理由を深掘りして話すなど、論理的な構造を意識して英語で話せるようになった点ですね。おかげで何をどのような順で話そうか考え込む時間が減ったように思えます。アウトプットトレーニングで教えていただいたことが実際に活きていますね。
あいにくコロナ禍で在宅勤務が多くなったこともあり、直接会って話をする機会はまだまだ少ないのですが……。それでも徐々にコロナウィルスの規制が緩和されていけば、英語で話をする機会は間違いなく増えていくと思います。
ーーそれではあらためて、90日間のトレーニング全体の感想をお聞かせください。
山本さん:トレーニングを経て、相手の話すスピードやニュースで流れる英語の音声がゆっくりに感じるようになったので、ENGLISH COMPANYに通ったおかげで英語力が成長していることを実感できました。私が求めていた英語力の段階に達するまでおそらく1、2年かかりそうなところを、ENGLISH COMPANYではたった3か月で到達できたのがとてもありがたかったです。
大坪トレーナー:私が山本さんに対して印象的だったのは、できないことをできるようにしていく過程を楽しみながら学習をされていたことでした。ご自身の課題を前向きにとらえ、ホームプログラムの質をよくしようという姿勢が随所に見られたように思います。
より英語らしい言い回しや、より自然なコミュニケーションを身につけていくためには、今後もインプットとアウトプットのサイクルを回していくことが大事です。失敗を恐れずに、たくさん話して、たくさん読み聞きする機会を増やしていっていただきたいですね。そうすれば間違いなくいまよりも英語力が伸びていくと思います!
山本さん:受講前の私のように英語力アップの必要性に駆られている方にとって、英語力を早く高められる場がENGLISH COMPANYです。そして、受講期間中に身につけた正しい英語学習法は、卒業したあとの独学にも必ず活きてきます。海外転勤を予定している、仕事で英語を使わなければいけないという人には、ぜひENGLISH COMPANYをおすすめしたいと思います!
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海外転勤の辞令から渡航まで約3か月しか準備期間がないなか、リスニング力を中心に効率的に英語力を伸ばした山本さん。渡航した現在でも、スキマ時間を活用した英語学習は継続されているとのこと。英語を武器に今後もお仕事でご活躍されることを心より応援しています。
ENGLISH COMPANYは、関東3スタジオ(神田、新宿、銀座)、関西3スタジオ(京都/四条烏丸、大阪/梅田、兵庫/神戸)にてご受講が可能です。(2022年12月現在)
また、完全オンラインでもトレーニングをご受講いただけます。人が集まる場所を避け自宅で本格的な学習をされたい方、スタジオがない地域にお住まいの方は、ぜひお気軽にご相談くださいませ。