英文メールの7つの構成と8つの作成ポイント!ビジネスで使えるフレーズも紹介
「メールでどんな英文を書いたらいいかわからない」
「英文を考えるのに時間がかかって、メール送信がいつも遅くなる」
「英語でメールを送ると、『再度説明してほしい』という返信がよく来る」
そんな悩みをもっていませんか? 英文メールの作成が遅いと、仕事が思うように進まないこともあるでしょう。
「単に翻訳すればすむのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、英語と日本語ではビジネスメールのルールが異なるもの。ルールを無視した書き方では、信頼度や好感度を下げかねません。
本記事では、英文のビジネスメール作成に最低限必要な知識を、ENGLISH COMPANYがまとめました。基本構成、目的に応じた書き方、重要な8つのポイントなど、明日からの仕事に役立つ情報が満載です。
英文ビジネスメールの基本的な構成とポイント
英文ビジネスメールには、決まった構成があります。まずは、どのような構成でメールを作成していくか見ていきましょう。
英文のメールは、次のような順序で書きます。
- 件名
- 宛名
- 書き出し
- 本文
- 結びのひとこと
- 結びのあいさつ
- 署名
それぞれどのようなポイントがあるでしょうか?
1. 件名
件名には、メールの目的と内容をわかりやすく示します。相手がひとめで内容を把握できるよう、具体的で明確な件名を選ぶことが重要です。
英文メールの件名として望ましくない例と望ましい例を比較してみましょう。
【件名として望ましくない例】
- Meeting(会議)
- Inquiry(問い合わせ)
- Urgent!(緊急!)
【件名として望ましい例】
- Request for Meeting Date Confirmation
(会議日程の確認依頼) - Follow-up on Sales Inquiry
(営業問い合わせのフォローアップ) - Urgent: Payment Delay Notice
(緊急:支払い遅延のお知らせ)
「件名として望ましくない例」では、なんの会議や質問なのか、どれくらいの緊急性のあるメールなのかが明瞭ではありません。対して「望ましい例」の場合、何を依頼しているかや、どんな案件で急ぎの確認を求めているかなどが、ひとめでわかる件名になっていますね。
相手に重要度や内容がスムーズに伝わるような件名を書くのがポイントなのです。
とはいえ、具体的な情報を入れすぎて件名が長くなると、相手に読み飛ばされる恐れがあります。長くとも7語以内の単語数にして、受信箱で見たときに画面に収まる程度の長さで書くのがおすすめです。
緊急で送るメールや、早急な行動を要求する場合は、緊急性や期限を件名に明記します。
2. 宛名
宛名を書く際には、さまざまなポイントがあります。たとえば、相手との関係性に応じ、呼び方を変えること。組織内の立ち位置や相手の地位、親密度の深さによって次のように変えていきます。
- まだ面識の少ない上司、クライアント宛に初めてメールをするとき
→Dear + 敬称つきの名字 - 距離感を少し縮めたいとき
→Dear + ファーストネーム - 普段メールのやり取りをしている相手に送るとき
→Hello / Hi + ファーストネーム - 気の知れた相手や同僚に送るとき
→ファーストネームのみでもOK
相手との関係性が深くなるにつれて、くだけた呼び方にしていくのですね。
ちなみに、一斉メールのときの宛名は、 "Dear All", "Dear Managers", "Dear Colleagues", "Dear Customers" などとします。担当者がわからない場合は、"To whom it may concern"(ご担当者さま)と書きましょう。
また、ビジネスの場面では、役職(President, Managerなど)や敬称(Mr., Ms., Dr.など)を使用して、相手への敬意を示すことが重要です。女性に対しては、既婚女性を指す "Mrs." や未婚女性を指す "Miss" よりも、"Ms." を使用するほうが好まれます。宛名が不明な場合は、"Dear Sir or Madam"と書きます。
3. 書き出し
書き出しは、具体的かつ簡潔に1〜2行で書くのがポイントです。日本のビジネスメールで時に見られる時候のあいさつは必要ありません。よく使われるフレーズは次のとおり。
【通常】
I hope this email finds you well. / I hope you are doing well.
(ご健勝のことと存じます)
【お礼】
Thank you for your time the other day.
(先日はお時間をいただきありがとうございました)
【久々の連絡】
It’s been a long time.(ご無沙汰しています)
【目的の明示】
I am writing to ~.(~するためにメールを書いています)
The purpose of this email is to ~.(このメールの目的は~することです)
目的に応じて、適切な書き出しをするようにしましょう。
4. 本文
本文を書く際は、相手に敬意を示すため、丁寧な表現を使いつつ、礼儀正しい文章を書くのが重要です。
以下の文は「商品発送の遅れを謝罪する」メールの悪い例です。この文章が適切でない理由を考えてみましょう。
【例】
We had some issues. Sorry for the delay. You'll get it eventually.
(問題がありました。遅れてすみません。いずれ届きます)
このような本文では謝罪が不十分で説明不足であり、顧客への敬意が欠けています。では、次のような本文はいかがでしょう?
【例】
We sincerely apologize for the delay in shipping your order. We encountered unexpected logistical challenges, but rest assured, we are working diligently to resolve them and ensure prompt delivery.
(ご注文の出荷が遅れてしまい、誠に申し訳ございません。予期せぬ物流上の課題が生じましたが、早急に解決し、迅速な配送の確保に努めております)
こちらの本文では、発送の遅れの原因が明確に書かれていますね。誠意のこもった謝罪や、問題の解決に取り組む意欲も伝わります。
相手に伝わる本文を書くためには、先に要件を述べつつ、ビジネスに適した表現を使い、必要に応じて今後の対応の仕方を記すのが重要です。
5. 結びのひとこと
日本語の「よろしくお願いします」に相当する万能に使える結びのひとことは、英語にはありません。目的に応じて、適切なひとことを入れて締めくくりましょう。
たとえばお礼の気持ちを表現する場合、次のような一文が便利です。
【例】
Thank you for your attention to this matter.
(この件に対するご配慮ありがとうございます)
具体的なお礼の言葉を使って、相手に感謝の気持ちを伝えましょう。良好なビジネス関係を築けますよ。
もし相手が追加のサポートや質問を求める可能性があるなら、それに対応する姿勢を示します。
【例】
If you have any further questions, please feel free to ask.
(ご質問等がありましたら、お気軽にお知らせください)
また、本文の代わりに結びのひとことの箇所で、期日を示すこともできます。
【例】
If you could submit your comment by Monday, that would help.
(月曜までにコメントをご提出いただけると、助かります)
6. 結びのあいさつ
結びのあいさつでは、状況や相手との関係性に応じて表現を使い分けます。よく使われる結びのあいさつを丁寧さの度合いで分けると以下のとおり。
【非常にカジュアル】
Thanks,
Regards,
【ややカジュアル】
Warm regards,
Kind regards,
【標準】
Best wishes,
Best regards,
【丁寧】
Sincerely,
Respectfully,
【非常に丁寧】
With deepest gratitude,
With utmost respect,
7. 署名
ビジネスメールの締めとなるのが、署名。日本語とは逆で、上から順に、「氏名→役職(ある場合)→所属部署→会社名→連絡先(電話番号、メールアドレス)」を記載します。
*以下の例文中に登場する人名、団体名、メールアドレスなどはすべて架空のものです。
【署名例】
Ken Ebisu【氏名】
Manager【役職】
Marketing Department【所属部署】
STUDY HACKER 【会社名】
Phone: 03-xxxx-xxxx【連絡先(電話番号)】
Email:ken.ebisu@xxxxx.xx【連絡先(メールアドレス)】
もしご自身の勤務先で署名の書き方に関する規定がある場合は、そのルールに従って記載しましょう。
以上のような構成とポイントに従うことで、相手により伝わる英文ビジネスメールが書けるようになりますよ。
【場面別】英文ビジネスメールのサンプル
ビジネスではさまざまな場面で英文メールを作成します。ここでは、仕事でよく遭遇するシチュエーションにおける英文ビジネスメールのサンプルと、作成上のポイントをご紹介しましょう。
自己紹介
入社した際に必ず行なうのが、新しい同僚や上司への自己紹介。明確かつ簡潔に行ない、相手がすぐに理解できるように書くのがポイントです。
最初に伝えるのは、自分の名前と役職。その後、これまでの経歴を短く紹介しましょう。関連するスキルや経験を強調すれば、自分がどのような価値を提供できるのかを相手に示せます。
さらに、相手のビジネスや役割への興味を示し、協力や連携の意志を伝えることも大切。自己紹介の最後には、相手が必要なときに連絡がとれるよう、連絡先情報を提供します。
【サンプル(自己紹介)】
Subject: Introduction and Warm Greetings
Dear Team,
I am pleased to introduce myself as the newest member of SH Corporation. I'm Kyoka Kanda, and I recently joined as a Sales Associate.
With a background in sales and customer service, I am excited to contribute to the team's success. I look forward to collaborating with all of you and learning from your expertise.
If you have any questions or would like to connect, please reach out to me at kyoka.kanda@shc.xx.yy or visit me at my desk in the sales department.
Thank you for the warm welcome, and I am eager to work together towards our shared goals.
Best regards,
Kyoka Kanda
Sales Department
SH Corporation
Email:kyoka.kanda@shc.xx.yy
(日本語訳)
件名:自己紹介とごあいさつ
チームのみなさま
SHコーポレーションの新しいメンバーとして、自己紹介させていただきます。私はカンダキョウカで、最近販売員として入社しました。
営業とカスタマーサービスの経験をもっており、チームの成功に貢献できることに興奮しています。みなさまと協力し、みなさまの専門知識から学ぶことを楽しみにしています。
ご質問や連絡がありましたら、kyoka.kanda@shc.xx.yy までお気軽にご連絡ください。営業部にデスクがありますので、お立ち寄りいただいても結構です。
温かい歓迎に感謝申し上げます。みなさまとともに共通の目標達成に向けて働けるのを楽しみにしています。
カンダ キョウカ
営業部
SHコーポレーション
メールアドレス:kyoka.kanda@shc.xx.yy
依頼
英文メールにおいて何かを依頼するときは、依頼内容や目的を具体的かつ明確に伝えることが大切。依頼が適切に遂行されるようにするには、期限の明示も効果的です。ただし、相手に負担をかけないように、無理のない期限を設定するなど、配慮する必要もあります。
また、協力の意欲を高めやすくするため、相手の協力や労力に対して感謝の言葉を添えるのもよいですね。さらなる支援や質問を求められた場合は、迅速かつ適切に対応します。
【サンプル(依頼)】
Subject: Request for Latest Sales Data
Dear Kate,
I hope this email finds you well. I am reaching out to request your assistance regarding the upcoming project. Could you please provide the latest sales data for analysis? It would greatly contribute to our decision-making process.
If possible, I would appreciate receiving the information by the end of this week. Thank you for your attention to this matter.
Best regards,
Yukio Karasuma
Section Head
Public Relations Department
SH Mart
Email: yukio-k@shmart.xx.yy
(日本語訳)
件名:最新の売上データの提供のお願い
ケイトさん
ご健勝のことと存じます。今度のプロジェクトに関してお手伝いをお願いしたく連絡いたしました。最新の売上データを分析のために提供していただけますか? 私たちの意思決定プロセスに大いに寄与するものになります。
可能であれば、今週末までに情報をいただけると幸いです。この件に関してのご配慮、よろしくお願い申し上げます。
カラスマ ユキオ
係長
広報部
SHマート
メールアドレス:yukio-k@shmart.xx.yy
督促
期日を過ぎても適切な対応がなされていない場合、督促メールを送ることもあるでしょう。依頼した際よりも、緊急性や期限を強調します。
しかし、"Submit the document immediately!"(書類をすぐに出して!)のように感情的に伝えるのはご法度。以下のように丁寧な言葉づかいをして、冷静にアクションを促すのがポイントです。
【例】
As we approach the deadline, we would greatly appreciate it if you could provide the required documents at your earliest convenience.
(期限が近づいてまいりましたので、なるべく早めに必要な書類をご提出いただけると大変助かります)
【サンプル(督促)】
Subject: Payment Reminder
Dear Mr. Benson,
Just a friendly reminder regarding the outstanding payment for the invoice dated July 3. The amount of $330 is now 20 days overdue.
We kindly request your prompt attention to settle the payment as soon as possible. If you have any questions or concerns, please don't hesitate to contact us.
Thank you for your immediate action.
Best regards,
Hanako Ginza
Accounting Department
SH Electric Power Company
Email: ghanako@shepc.xxx
(日本語訳)
件名:お支払いのご連絡
ベンソンさま
7月3日づけの請求書の未払いについて、ご連絡いたします。金額は330ドルで、現在20日の遅延が発生しております。
早急にお支払いのご対応をいただけますよう、心よりお願い申し上げます。ご不明な点や懸念事項がございましたら、お気軽にご連絡ください。
早急なご対応、よろしくお願い申し上げます。
ギンザ ハナコ
経理部
SH電力
メールアドレス:ghanako@shepc.xxx
問い合わせ
問い合わせを行なう際には、具体的にどの件について問い合わせているのかをはっきりと伝えます。適切な回答をもらうためには、問い合わせ内容に関連する詳細な情報や必要な資料を提供することがポイントです。
メールの結びには、お礼や感謝の意を表し、返信を待つ旨を伝えます。
【サンプル(問い合わせ)】
Subject: Inquiry about Your Products
Dear Customer Support Team at EC Company,
I am Kobe, writing to you as the sales representative of SH Company. I have a question regarding your products. Could you please provide me with information about the warranty period and the conditions for returns?
I apologize for any inconvenience this may cause, and I would greatly appreciate your guidance on this matter. Thank you for your time, and I look forward to your response.
Sincerely,
Sho Kobe
Sales Department
SH Company
Email: showkobe@sh.xx.yy
(日本語訳)
件名:商品に関する問い合わせ
EC株式会社カスタマーサポートチーム御中
私はSH株式会社の営業担当を務めるコウベと申します。貴社の商品について質問があります。製品の保証期間と返品に関する条件を教えていただけますか?
お手数をおかけしますが、ご教示いただければ幸いです。お忙しいなか、お時間を割いていただきありがとうございます。ご回答をお待ちしております。
コウベ ショウ
営業部
SH株式会社
メールアドレス: showkobe@sh.xx.yy
お礼
プロジェクトや取り組みが成功した場合など、相手の貢献と支援に対してお礼のメールを入れる場面もあります。メールでお礼を述べる際には、直接的かつ具体的な感謝の言葉を使うのがポイントです。
【サンプル(お礼)】
Subject: Appreciation for Your Support
Dear All
I wanted to express my heartfelt gratitude for your incredible support. Your dedication and expertise have been truly invaluable.
Thank you for going above and beyond to ensure our presentation is a success.
Best regards,
Sakuko Umeda
Manager
R&D Department
EC Pharmaceutical Company
Email: umesaku@ecpharma.xxx
(日本語訳)
件名: ご支援への感謝
各位
みなさんの信じられないほどのご支援に心から感謝の気持ちを表したく、この場を借りてお礼申し上げます。みなさんの熱心なご支援と専門知識は本当に貴重なものでした。
プレゼンテーションの成功を確保するために一歩先を行く努力をしてくださり、ありがとうございました。
ウメダ サクコ
部長
研究開発部
EC製薬
メールアドレス:umesaku@ecpharma.xxx
以上のポイントやサンプルを参考にして、英文ビジネスメールを書いてみましょう。
英文メール作成で注意すべき8つのポイント
英文ビジネスメールでは、文面だけで相手に自分の意図を伝える必要があります。電話や直接の会話とは異なり、声のトーンや身振り手振りで意味を補うことができません。そのため、正確で読みやすい英文の作成が求められます。
そこで、英文ビジネスメール作成において注意すべき主なポイントを、以下にまとめました。
- メールの目的を明確にする
- 文体を簡潔に保つ
- 適切な箇所で改行する
- 丁寧な言葉づかいをする
- 英語のビジネスメール特有の表現を把握する
- スペルチェックをする
- 負の感情を示す言葉を避ける
- 返信が欲しい場合、その期日を伝える
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. メールの目的を明確にする
日本語のビジネスメールでは、初めに時候のあいさつや状況を紹介し、最後に結論を伝えることが多いもの。一方、英語のメールでは、冒頭の段落で要件や目的を明示します。
情報の共有、提案、依頼など、メールの核となる内容を先に提示し、受取人がメールの目的を速やかに把握できるよう努めます。その後、詳しい背景や理由を続けて説明するのが、英文メールの構成です。
2. 文体を簡潔に保つ
文体を簡潔に保つことも重要。メールで遠回しに話したり、難解な単語を使ったりすると、相手にとって読みにくい印象を与えてしまいます。
相手が読みやすいように、シンプルな語彙を用いて、メッセージを直接的に伝えるのがポイント。これは英語が母語でない相手が読む場合、特に有効です。
3. 適切な箇所で改行する
画面全体に英文がギッシリ詰まったメールが届いたら、読むのが大変ですよね。あなたがメールを送る際も、適切な箇所で改行を入れることが重要です。
ポイントは、ひとつの段落ではひとつのトピックだけを扱うこと。一段落のセンテンスは、画面が文字でいっぱいにならない程度の長さにするとよいでしょう。
特に、相手がスマートフォンで読む可能性が高い場合は、一回のスクロールで読みきれる程度の長さにするのがおすすめ。なお、段落と段落のあいだは一行空けます。
相手に「読みにくいメールだな……」と思わせないよう、送信前に、段落の長さがちょうどよいかや、適切な箇所に改行が入っているかを確認しましょう。
4. 丁寧な言葉づかいをする
ビジネスメールや業務上のコミュニケーションでは、丁寧な言葉づかいをすることが大切です。
英語には日本語の尊敬語や謙譲語に相当する言葉が存在しないため、英語のコミュニケーションは日本語と比べてカジュアルに感じられるかもしれません。しかし、初対面の人やまだ関係が深くない人に対してカジュアルな言葉を使いすぎると、相手に失礼だと思われる可能性があります。
たとえば取引先に対してミーティングの中止を連絡する際、"Cancel the meeting next week."(次週のミーティングはキャンセルして)と命令文で直接的に書くのは、失礼にあたります。代わりに、次のように丁寧に書いてみるのはいかがでしょうか?
【例】
I apologize for the inconvenience, but would it be possible to cancel the meeting scheduled for next week?
(ご不便をおかけして申し訳ありませんが、次週予定されているミーティングをキャンセルすることは可能でしょうか?)
この一文のポイントは、"I apologize for the inconvenience," のようなクッション言葉を使って、相手に不快感を与えないように配慮している点です。
そして、助動詞 "will" の過去形 "would" を使っています。過去の出来事を示しているわけではないのに、なぜ過去形を使うのでしょうか?
その理由は、認知文法(*)で過去形をとらえていくとわかりやすくなります。
*認知文法:「人間がどのように身のまわりの物事を認知し、それがどのように言語表現に反映されているか」というアプローチで、文法を説明しようとする文法理論
過去形の中心的意味は「距離感」。つまり、現在から離れた「過去」を示す「時間的な距離」だけでなく、「心理的な距離」も表すのです。
過去形を使うと、直接的な要求や提案から一歩引いた、やわらかいニュアンスを含められるため、要求や提案をより優しく、控えめに伝えられます。直接的な表現を避け、間接的な表現を用いるほど、より丁寧なコミュニケーションが実現できるのです。
相手からの信頼を維持し、良好な関係を築くために、英文メールでは上記のような丁寧な言葉づかいをすることが重要です。
5. 英語のビジネスメール特有の表現を把握する
英文メールには、日本語のメールにはあまり馴染みのない表現があります。
たとえば、メールの件名などでよく使われる "Warm greetings"(直訳:温かいあいさつ)。英語圏のメールは、相手に対して親しみや温かさを示すのが特徴です。ビジネスメールでも、丁寧で友好的な印象を与えるために、"Warm greetings" のようなフレーズを使うことがあります。
ほかには、英語の督促メールでよく使われるフレーズとして "a friendly / kind reminder"(直訳:友好的な/親切なお知らせ)があります。 "friendly" や "kind" のように、友好関係や、親しみに関連した言葉を使うと、単なる注意喚起を意味する "reminder" という言葉で伝えるよりも、相手との関係を良好に保ちやすくなります。
一方、日本語圏のビジネス文化で重視されやすいのが、敬語や謙虚さですね。日本語での督促メールの場合、「ご多忙のなか恐縮ですが」のような、へりくだった表現を用いることが多いものです。
言語や文化によって、コミュニケーションのスタイルや表現は異なるもの。英語のメール特有の表現を理解し、それを実際のメールコミュニケーションで効果的に使うことが重要です。
6. スペルチェックをする
ビジネスコミュニケーションにおいて、正確な英文を書く能力は必須です。スペルミスが多いと、相手はあなたが手を抜いていると感じるかもしれません。そのため、メールを送る前には、スペルチェックを強くおすすめします。
7. 負の感情を示す言葉を避ける
苦情を述べたり、間違いを指摘したりする場合、イライラしてついこんなメールを送りたくなることもあるでしょう。
I’ve never experienced such terrible support. Fix it right now!
(こんなひどいサポートは初めてだ。早急に直して!)
しかしこうした負の感情を込めたメールを送ると、相手との良好な関係を損ねるリスクがあります。
一度送ったメールは取り消しできないため、冷静になってからメールを送るのがおすすめ。どのような状況でも、第三者が見て適切だと言えるビジネスメールを書くことが重要です。
たとえば相手の対応に失望した場合は、次のように丁寧な伝え方をするとよいでしょう。
【例】
I must admit that I am disappointed with the level of service provided. I have never encountered such challenges before, and it has left me feeling frustrated.
I kindly request that you review the details of my support case and address the issues promptly.
(提供されたサービスのレベルに失望しております。これまでにこうした問題に直面したことがなく、不満を感じております。
お手数ですが、私の対応事例の詳細を確認し、問題を迅速に解決していただけると幸いです)
そしてどんな内容のメールでも、始めと終わりには礼儀正しいあいさつと感謝の言葉を添えるのが重要です。
8. 返信が欲しい場合、その期日を伝える
相手からの返信を期待する場合は、その期日を必ず明記します。期日を書いておかないと、相手がなかなか返信をしてくれない可能性があります。
期日を相手に明瞭に伝えるためには、次のように具体的な日付や曜日を指定するのが有効です。
【例】
Could you please get back to me by Friday?
(金曜日までに返信いただけますか?)
I would appreciate it if you could respond by the end of this week.
(今週末までにご回答いただけるとありがたいです)
逆に、もし返信が必要なメールを受け取ったら、メールに書かれた返信の期日をしっかり守ることが大切です。期日を過ぎると、相手の仕事の進行を妨げ、迷惑をかけるおそれがあります。
どの日に返信すべきかを最初にチェックし、それをカレンダーや手帳に書き込むのがおすすめ。返信の準備がその期日内に難しい場合、早めに相手に伝え、代わりの期日を提案するとよいでしょう。
以上のポイントを念頭におき、英文ビジネスメールを作成することで、より効果的なコミュニケーションが可能になるでしょう。
英文メールをもっとわかりやすく書くためには
英文ビジネスメールをより流暢に、理解しやすく書くためには、今回紹介したポイントと書き方を理解するだけでは不十分。あわせて、あなたがライティングにおいてどういった課題を抱えているのかを理解することも重要です。
効果的なメールを書くための工夫をする以前に、文法的なミスが多かったり、洗練された構文が使えなかったり、そもそも語彙の知識が限られていたりといった点が問題になっている場合もあります。
では、英文メールをはじめとする、ライティングスキルを根本から効率よく伸ばすにはどうしたらよいのでしょうか?
最も効率的なのは、「英語のプロ」からあなたの課題の診断を受けること。自立型英語コンサルサービスSTRAILでは、あなたのライティングの課題を詳細に診断し、いま抱えている課題に最適なトレーニングを提案します。
客観的な視点でご自身の課題を理解すれば、英文ビジネスメール作成をはじめとする、さまざまなビジネスシチュエーションで役立つライティングスキルを本質から習得できるでしょう。
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英文メールには、日本語のメールと異なるルールや構造があります。今回紹介したポイントを押さえながら、ご自身の課題を理解することも重要です。
確実に相手に伝わり、よい印象を与える英文メールが書けると、仕事の進行や人間関係の構築がスムーズになりますよ!