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英語のコミュニケーション・ストラテジーとは? 言葉が出なくても会話を続けるためのコツ

コミュニケーションを維持できるコミュニケーション・ストラテジー01

みなさんは「コミュニケーション・ストラテジー(伝達方略)」を知っていますか。英語で会話をする際に、コミュニケーション・ストラテジーを知っておくことで、言葉に詰まったり、相手の言ったことが理解できずに困ったりするといった、コミュニケーション上で起こりうる問題を解決しやすくなりますよ。

今回は、コミュニケーション・ストラテジーがどのようなものか、英語パーソナルジム「ENGLISH COMPANY」がご紹介しましょう。



コミュニケーション・ストラテジーとは

コミュニケーション・ストラテジーとは、コミュニケーションを達成するために用いられる方略、手段の総称を指します。

みなさんは外国語で話しているときに、相手の言ったことがわからなかったり、適切な言葉が出てこなかったり、使った言葉がうまく伝わらず、なんと説明しようかと悩んで行き詰まったりした経験はありませんか。うまく返答や発言ができないときは、つい黙り込んでしまうこともあるでしょう。

しかし英語のコミュニケーションにおいて、沈黙はご法度。金沢学院大学の岡秀夫特任教授は、日本人と違い、英語ネイティブスピーカーは黙っている人を「意見のないつまらない人」とみなし、否定的な評価をする傾向があると指摘します。英語のコミュニケーションは、交互に絶え間なく進むのが特徴。沈黙が続くことで、コミュニケーションの流れを止めてしまい、相手に居心地の悪さを与えてしまう恐れがあるのです。

沈黙でコミュニケーションがストップしそうになったら、コミュニケーション・ストラテジーを使いましょう。コミュニケーション・ストラテジーは、文法力や語彙力の不足によって、うまく自分の意思や考えを伝達できないとき、うまく相手の発言の意図がつかみきれないときに、意図的に使用していきます。問題を乗り越えてコミュニケーションを維持するには、コミュニケーション・ストラテジーを積極的に使用することが肝要なのです。

どのようなコミュニケーション・ストラテジーがあるのか、ご紹介しましょう。

コミュニケーションを維持できるコミュニケーション・ストラテジー02

コミュニケーション・ストラテジーの種類

コミュニケーション・ストラテジーは、「聞き返し」のストラテジーと、「発話」のストラテジーに分けて考えることができます。まずは「聞き返し」のストラテジーを見ていきましょう。

聞き返し

「聞き返し」のストラテジーは、次の4種類にさらに細かく分類されます。

  • 反復要求
  • 説明要求
  • 聞き取り確認
  • 理解確認

1つめは反復要求。相手の話が聞き取れなかったときに、発話の繰り返しを要求することです。

【例】

  • Say that again? 「もう一度お願いします」
  • Sorry? 「なんですって」
  • Excuse me? 「なんですって」
  • Pardon? 「なんですって」
  • What did you say? 「なんと言いましたか」
  • Can you repeat what you just said? 「言ったことを繰り返してもらえますか」
  • Sorry, I didn’t quite catch what you said. 「すみません、言ったことが聞き取れませんでした」
  • Could you say that again? 「もう一度言っていただけますか」
  • Would you mind saying that again? 「もう一度おっしゃってくださいますか」

さらに、たとえば "Pardon?" などはイントネーションによって威圧的な発言ともみなされかねませんが、"I didn’t quite catch what you said." のように「自身が困っている状況の描写」を添えて発言することで、誤解なく「反復要求」の意図が伝わります。これもまさにコミュニケーション・ストラテジーのひとつです。

2つめは説明要求。相手の話は聞き取れたものの、言葉の意味がわからないときに説明を要求することを指します。

【例】

  • What do you mean by ~ ? 「〜で何を意味しますか」
  • Could you explain it from a different angle? 「違う観点から説明してもらえますか」

3つめは、聞き取った内容が正しいかどうか確認する、聞き取り確認のストラテジーです。

【例】

  • Did you say ~ ? 「〜と言いましたか」
  • You’re saying ~ , right? 「〜と言っているのですよね」

最後は、理解確認。相手の発話に対する自分の理解を確認するストラテジーです。

【例】

  • Does “warehouse” mean that building?
    「『倉庫』はあの建物ですか(倉庫を指差して)」
  • Just to clarify, would I be right in thinking that ~ ?
    「確認ですが、〜と考えてよろしいですか」

発話

発話」のストラテジーは、適切な言葉が思い浮かばなかったり、返答の仕方に困ったりしたときに使用します。細かく分けると以下の3種類のストラテジーです。

  • 言い換え
  • 逐語訳
  • 援助要請

言い換え

ある語や言い方を、それに似た別の表現で説明することを表します。“dump truck” の代わりに “car” と言うなど、未知語を、類語や上位語(ある言葉に対して、その言葉が意味する概念の範囲を覆う、より広い範囲の概念を意味する言葉)などで代用するのは、言い換えのテクニックです。

言い換えには、未知語を遠回しに表現するストラテジーもあります。ノートパソコンを表す “laptop” が言えなければ、“a small computer we can carry with us” などと、伝えようとしている言葉がどのようなものかを遠回しに伝えるのも言い換えのひとつです。

逐語訳

英語の言い方がわからなければ、母語をそのまま訳す逐語訳をすることもあります。たとえば、「東京の人口は多い」を英語でなんと言うかわからなければ、ひとまず “The population in Tokyo is many.”(正しくは、“The population in Tokyo is large.” )と直訳してみることです。正確性には欠けますが、コミュニケーションを維持するためには、逐語訳を活用したほうが有効な場面もあります。

援助要請

援助要請は、わからない言葉をネイティブに質問して助けを求めたり、辞書を使って調べたりすることを指します。“What do you call that?”「あれはなんと呼びますか」などと言って、英語でなんと言うかわからないものを指で差すのも援助要請です。間接的だと、語尾を上げてオウム返しをしたり、わからなさそうな表情を浮かべてみたりすることで、相手に助けを求めます。

その他のストラテジー

その他の「発話」のストラテジーは、ジェスチャーやものまねなどの非言語コミュニケーションや、沈黙を埋めるための時間稼ぎです。時間稼ぎには以下の表現があり、日本語の「えっと」に近い意味をもちます。

  • Well, ...
  • Let me see, ...
  • You know, ...
  • I mean, ...

ただ、相手に冗長な印象を与えるため、同じ時間稼ぎの表現を頻繁に使いすぎるのは望ましくありません。そこでおすすめなのが、以下の時間稼ぎの表現です。

  • How should I put this? 「どう言えばいいだろう」
  • What's the best way to put this? 「一番よい言い方はなんだろう」
  • How should I say this? 「どう言えばいいだろう」
  • I’m not sure how to explain it, but… 「どう説明したらいいかわかりませんが……」
  • What I mean is… 「私が意図しているのは……」

上記のようなフレーズを参考に、コミュニケーション・ストラテジーを駆使することで、コミュニケーション上で起こりうる問題を解決しやすくなるでしょう。相手の話がうまく聞き取れなかったときや、意図が明確にわからなかったとき、伝えたい言葉がすぐに出てこないときなどに、コミュニケーション・ストラテジーで相手とのやり取りをどうにか維持できるはずです。

コミュニケーションを維持できるコミュニケーション・ストラテジー03

コミュニケーション・ストラテジーを学ぶ方法

コミュニケーション・ストラテジーは、専門的な知見を活用し、実践練習を通して学ぶと効果的に習得できますよ。言語習得の科学「第二言語習得研究」の知見に基づき、効率的な英語学習をサポートする自習型コンサルティングサービス『STRAIL』では、新たにコミュニケーション・ストラテジーの習得にも焦点を当てたカリキュラムが誕生しました!  

海外の取引先とのウェブ会議をイメージしてみてください。「あなたはどう思う?」と英語で聞かれても、角が立たないような配慮も織り交ぜながら、即座に自分の意見を展開できますか? 何を言っていいのかわからず、沈黙することだけは避けたいですよね。

こんなときも、コミュニケーション・ストラテジーが役立ちます。効果的な情報伝達が可能になるようなストラテジー、それを組み込んだ特定の言い回しを覚え、とっさに口から出るよう練習しておくだけでも、沈黙することなく、ネイティブのようにテンポよく会話しやすくなるのです。では、そのようなコミュニケーション・ストラテジーをうまく機能させるためには、どのような訓練が最も効果的なのでしょうか?

答えは、STRAILのコンサルティングを通して、コミュニケーション・ストラテジーを使いこなすための知識・技能を集中的に鍛えていくなかで、明らかになりますよ。あなた自身の英語学習の課題や解決策がわかるだけでなく、コミュニケーション・ストラテジーも集中的に学べるSTRAILの詳細は、公式サイトからご覧いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。

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相手の言った内容が理解できなかったり、言いたい言葉がうまく出てこなかったりしたときに役立つコミュニケーション・ストラテジー。今回の記事を参考に、ぜひ活用してみてください。



参考資料
白畑知彦, 冨田祐一, 村野井仁(2009), 『英語教育用語辞典』, 大修館書店.
岡秀夫(2017), 「異文化理解のための英語コミュニケーション」, 神奈川県立国際言語文化アカデミア紀要, 6巻, pp.69-78.
椿由紀子(2010), 「コミュニケーション・ストラテジーとしての 『聞き返し』 教育」, 日本語教育, 147巻, pp.97-111.
佐々木良造(2007), 「発話能力を補うコミュニケーション・ストラテジーとは」, 言語科学論集, 11巻, pp.47-58.
池田伸子(2003), 「ビジネス会話における『聞き返し』ストラテジーの使用傾向―ビジネス日本語教育用教材開発の基礎として―」, 広島大学留学生センター紀要, 13巻, pp.37-45.
池田伸子(2001),『ビジネス日本語教育の研究』, 東京堂出版.
Brown, H. Douglas (2000), Principles of Language Learning & Teaching, 4th ed., New York, Longman.
和泉絵美, 内元清貴, 伊佐原均(2005), 「学習者コーパスからの表現バリエーションの抽出と言い換えストラテジー指導への利用」, 自然言語処理, 12巻, 4号, pp.193-210.
Savignon, Sandra J. (1997), Communicative Competence: Theory and Classroom Practice: Texts and Contexts in Second Language Learning, 2nd ed., New York, McGraw-Hill.
Tarone, Elaine (1983), “On the Variability of Interlanguage Systems,” Applied Linguistics, Vol. 4, pp.91-112.
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