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「claim」は「クレーム」じゃない!? 日本人が誤解しがちな4つの英単語の本当の意味

通じない英語に混乱する女性

英語を話しているとき、「その単語の使い方、ちょっと違うよ」とネイティブの友人や同僚から指摘された経験はありませんか? もしくは、英語を学んでいて「この単語、こんな意味だったの!?」と驚いた経験がある方もいるでしょう。

英語には、日本語の感覚でそのまま使うと誤解を生む単語がいくつか存在します。今回は、日本人がよく誤解する英単語をENGLISH COMPANYが4つピックアップして、それぞれの単語の本当の意味や背景を探ってみましょう。



【誤解しがちな単語その1】「expect」

「期待する」と日本語に訳されることの多い「expect」。たとえば、曇りの日、会話の相手に次のように言われたとしましょう。

I expect it to rain later.


あなたはこの文を「あとで雨が降るのを期待している」と解釈して、「このあと雨が降ってほしいのかな?」と相手に対して思うかもしれません。

じつは、これは誤った解釈。相手は「あとで雨が降るだろう」と予測を述べていたのです。

日本語の「期待する」と英語の「expect」には、異なるニュアンスが隠れています。日本語の「期待する」に含まれているのは「望ましい結果を心待ちにする」というニュアンスです。

一方、英語の「expect」は単に「起こるだろうと考える」という意味で、よい結果を望む感情は含みません

The company expects to complete the work in April.
「会社は4月に作業が完了すると考えている」


この「expects」は、4月に作業を終えるという「予測」を意味するのであって、「4月に終えられたらいいな」と心待ちにしている意味は含んでいません

では、日本語の「期待する」の表現に近い英単語はなんでしょうか? そのひとつは「hope」です。

I hope you will realize your mistake.
「君が間違いに気づくことを期待している」


上記のような文脈で、「expect」は使わないようにしましょう。「I expect you will realize your mistake.」は、「君は間違いに気づくことになるだろう」という「予期」を示し、「期待する」意図とは異なるかたちで伝わってしまいます。

よって、予測や予想といったニュアンスでの「期待」には「expect」を使い、「こうなればいいな」というニュアンスの「期待」には「hope」を用いるのがポイントです。

外を見て雨が降りそうと電話で伝えている女性

【誤解しがちな単語その2】「body」

英単語「body」は、ご存じのとおり「体」という意味です。では、「体」以外の意味をみなさんはすぐに思い浮かべられますか? 「body」の語源を理解すると、意外な意味が隠れていることがわかるのです。

動物の胴体をイメージしてみてください。内臓や血液などがひとつにまとまって、体を形成していますよね。このような「ひとつのまとまり」というイメージが「body」なのです。

日本人の英語学習者は、「body」という言葉を、物理的な「体」や「胴体」としばしばとらえがちです。しかし、「body」を「ひとつにまとまったもの」ととらえると、さまざまな意味や用途があることに気づきます。「body」は「体」以外だと、どのような用途で使われているのでしょうか?

1. エッセイライティングの「body」

エッセイには、「序論」「本論」「結論」の3つが基本的に存在します。この「本論」の部分を英語では「main body」と呼びます。エッセイの主要な内容や論点が、しっかりとまとまっている箇所です。

2. 組織としての「body」

「body」は、「まとまったひとつの集団」や「組織」という意味合いでも使われます。

the governing body of the school「学校の理事会」
→学校における統治層がひとつにまとまった集団、組織のこと


3. 量や集まりを示す「body」

「ひとつのまとまり」というイメージから、大きな集団やかたまりを示す意味で「body」を使うこともあります。

  • a large body of people「大勢の人々」
    →数多くの人が集まってできたひとつの大きなかたまり
  • a body of water「水域」
    →ひとつの大きな水のかたまり

4. ワインや美容に関する「body」

「ひとつにまとまっていて、バラバラではない」という意味合いから、「body」はワインの文脈でも使えるのです。

  • full body「味がしっかりまとまっていてコクがある、濃さの強いワイン」
  • medium body「軽い口当たりのワイン」

また、美容に関連して、髪の毛のコシや張りを表現するときにも「body」という言葉が使われます。

This shampoo will give your hair more body.
「このシャンプーを使えば、髪にもっと張りが出ます」


以上のように、「体」のほかにもさまざまな意味で使用される「body」。その核となる概念は「ひとつのまとまり」です。多様な意味をもつ言葉の使い方と、その中心的な意味を知ることは、英単語の使い方を正確に学ぶうえで非常に役立ちます。

シャンプーをしてもらう女性

【誤解しがちな単語その3】「party」

日本人の多くが「party」と聞くと、おそらく宴会や祝賀会のような楽しい場面を想像するでしょう。もちろん英語でもこの使い方は一般的ですが、歴史的に見ると比較的新しい使い方です。「party」には、じつは興味深い背景が隠れています。

「party」の語源を考えるヒントとなるのが、「part」という言葉。全体から分離した「一部」や「部分」という意味です。

英語では動詞としても使い、髪の毛をふたつのパートに分けることを「part my hair」と表現します。この動詞「part」から、「分ける」や「離れる」というイメージが生まれます。さらに、副詞「apart」のような言葉にも「離れる」意味が隠れ、「離れて」という意味になるのです。

よって、「party」の根本的な意味は、「分けてできた集団」。つまり、分かれて同じ目的をもった者どうしが集まってできた集団です。このイメージを思い浮かべると、「party」が「政党」や「集団」という意味をもつことが理解しやすくなります。

the Republican Party「アメリカの共和党」
→この「Party」は「同じ政治目的をもった集団」という意味


そして、レストランでの予約時でも「party」が使える場面があります。

I'd like to book a table for a party of four.
「4名で予約したいのですが」


この「a party of four」は「4人グループ」という意味で、ここでも本来の意味である「集団」が示されています。

ちなみに、みなさんがご存じの「宴会」を意味する「party」は、人が集まってワイワイ騒ぐ意味として、あとの時代になって生まれました

このように、「party」は一見単純な言葉のように思えますが、その背後には深い意味と歴史が隠されています。「同じ目的をもったグループ、集団」という根本的な意味でとらえると、「party」の使い方が、はっきりと理解しやすくなるのです。

パーティーを楽しむ男女

【誤解しがちな単語その4】「claim」

英語の「claim」と日本語の「クレーム」は、一見すると同じ意味のように感じるでしょう。しかし、背後にある意味や使い方は異なります。英語の「claim」はどのように使うのか、そして日本語の「クレーム」とどう違うのか見ていきましょう。

「claim」の語源

まずは、英語の「claim」の語源を探ります。英語の「claim」は、もともと「叫ぶ」という意味です。そこから、「要求」や「請求」といった意味合いに派生してきたと考えられます。

叫ぶや呼ぶといった行為は、要求があるからこそ行なわれるものです。たとえば、「助けてくれ!」や「こっちに来て!」などと声を上げるのは、何かを求めるためであることが多いですよね。

そして、英語の「claim」は、多くの日本人が想像する「苦情」の意味で使われることは、まずありません。日本語の「クレーム」に最も意味の近い英単語は、「claim」ではなく「complaint」です。

英語の「claim」は、「叫ぶ」という根本の意味から主に以下の3つの意味をもちます。

  • 「主張する」
  • 「(権利があって)請求する」
  • 「(自然災害・事故などが)人命を奪う」

それぞれ詳しく見ていきましょう。

主張する意味の「claim」

英語の「claim」には、実際に声を大にして叫ぶという意味合いが含まれています。自分の意見や考えを強く伝えたいとき、その主張に熱意を込めると、自然と声が大きくなるものですよね。英語の「claim」は、意見を主張するために叫ぶイメージをもちます。

ただし、英英辞典を詳しく見てみると、「証拠もなしに真実だと述べること」などと定義づけられています。つまり「claim」は、第三者にとって真偽が定かではない事柄に対して、「こうだ」と主張する意味を含んでいるのです。

以下の例文を見てみましょう。

The product claims that it can make you thin without dieting.


その製品は、食事制限なしに痩せられることに対して、苦情を出しているのでしょうか? 正しい解釈は「その製品は、食事制限をしなくても痩せられると主張している」です。ただし、食事制限なしで本当に痩せられる製品かどうかは客観的に定かではないことを示唆しています。

このように、日本語「クレーム」としてとらえると、まったく異なる解釈をする場合があるのです。

請求する意味の「claim」

正当な権利をもつ人が、ある行動をしてほしいと要求する行為が「請求」です。一例として、事故を起こしたとき、保険会社に「保険金を支払ってください」という要求をすることが挙げられます。

I'm calling to claim on my insurance due to a recent car accident.
「最近の自動車事故による保険を請求するために電話をかけています」


同様の意味で使われるその他の例が、「baggage claim(空港の手荷物受取所)」や「claim tag(飛行機の荷物の引換証)」。苦情を述べるのではなく、預かった自分の荷物を返すよう請求するときに使う「claim」です。

加えて賠償請求の例でも、「claim」が使えます。

If you’re not still satisfied, you may be able to claim compensation.
「もしあなたがまだ不満なら、賠償を請求できるかもしれません」


日本語の「クレーム」が「苦情」を意味する背景は、英語の「claim」がもつ、権利に基づく請求の意味合いと関わりがあるかもしれません。

しかし、「クレーム」という外来語はもともと、「苦情」を遠回しに伝えるために、「請求する」を意味する英語の「claim」から導入されたもの。日本語では、きつい言い回しを緩和する目的で、意味がずれている外来語を採り入れることがよくあるのです。

人命を奪う意味の「claim」

さらに、「claim」には「自然災害や事故が人命を奪う」という意味もあります。「要求する」意味合いから「取る」という感覚が生まれたことで、「人命を奪う」意味が生まれたのでしょう。

特に災害や事故、戦争などでの人命を示す表現として、「claim + 数字 + lives」のかたちで使用されます。

The typhoon claimed 75 lives. 「その台風で75人が死亡した」


上記のように、特定の事象が多くの人の命を奪ったというニュアンスで、主に新聞やニュースで使われる表現です。

以上のように英語の「claim」は、さまざまな文脈で使用されます。日本語の「クレーム」の感覚に惑わされずに、文脈に応じて適切に解釈する必要があるのです。



***
英語を学習する際には、単語の正確な意味や語源を知ることが大切。特に日本語と英語で似たような言葉が存在する場合、勘違いしやすくなります。正しい意味を理解し、適切に使うことで、より自然なコミュニケーションが可能になるのです。

※本記事は、YouTubeチャンネル「時吉秀弥のイングリッシュカンパニーch」内の「【知らなきゃやばい】実は超間違えやすい英単語4選!英語のプロが徹底解説【expect/body/party/claim】」をアレンジしたものです。

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