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英単語を覚えたいときに「ひたすら書く」が遠回りなワケ。デキる人は “この2つ” の方法を実践している

英単語を覚えたいときに「ひたすら書く」が遠回りなワケ。デキる人は “この2つ” の方法を実践している

「英単語の意味を思い出せず、スムーズにリーディングができない……」
「覚えた英単語をいざ使ってみると、なぜか通じないことが多い……」

そう悩んでいる人はいませんか。「読む・聞く・話す・書く」すべての技能の土台となる単語力。どうすれば効率よく鍛えていけるのでしょうか。

そこで今回は、英語パーソナルジム「ENGLISH COMPANY」が、英単語の学習を進めるうえで重要な2つのポイントをご紹介しましょう。



こんな単語の覚え方はNG!

たとえば、「英単語をノートに何度も書く」という方法で覚えようとしている人も多いのではないでしょうか。でも、これでは遠回りになる可能性が。

東京大学の池谷裕二教授は、単語帳などを見ながら書いて覚える方法は非効率的になりやすいと語ります。その理由は、脳の記憶において重要な「思い出す」というプロセスがないから。

常に膨大な情報が入ってくる脳は、不要な情報を忘れようとします。そのなかで、繰り返し思い出されるものが「生きるのに必要な情報」と判断されて、記憶として定着するのです。しかし、見て書くという作業は、単に情報を入れているだけであるため、肝心の「思い出す」というプロセスが発生しません。結果として、記憶の効率も悪くなってしまうのです。

また、英単語とその和訳をセットでひたすら覚えていくなど、意味だけを機械的に丸暗記するのもおすすめできません。たとえば、「多くの人口」の表現。ここでの「多くの」は “many” でも “much” でもありません。より自然な言い方は “a large population” 。なぜなら英語の “population” は、「数」ではなく「ひとかたまりの集団」としてとらえるからです。「人口」= “population” を直訳で覚えたとしても、「変な英語」と相手に印象づけてしまうことに。

英語には、慣習的に結びつきやすい単語の組み合わせがあります。それを知らないと、「文法的ではあるものの、違和感のある英語」になる恐れがあるのです。

では、どのように覚えると単語を確実に記憶でき、適切に使えるようになるのでしょうか。そのポイントが、これからお話しする「発音」「コロケーション」です。

発音して覚える

英単語は、発音して覚えましょう。発音を通して、目で見た単語の文字情報と発音で耳に入る音声情報を一致させ、脳内で覚えている意味と結びつけることで、より長く定着しやすくなるのです。

人は文字を認識するときに、眼球が一箇所に留まって文字や単語を知覚し、その文字を頭のなかで音に変換する「音韻符号化」を行なっています。こうして文字情報をいったん脳内で音声情報に変えたあと、頭のなかの「辞書」にアクセスして、意味を認識しているのです。

そして、関西学院大学の門田修平教授は、脳内で変換した音を実際に声に出すことで、音声情報に変えるスピードを速くできると述べます。なぜなら、発音練習を繰り返すことで、音に変換するプロセスが意識しなくてもスムーズにできるようになり、音韻符号化にかかる脳内の認知資源の消費量を減らせるから。その余った認知資源を、短期記憶から長期記憶への転送に費やせるようになるため、単語をより長く記憶に残すことができるのです。

ここで重要なのが、反復して発音練習をすること。先に述べたように、繰り返し思い出される情報が、長期的な記憶として定着しやすいためです。

単語を思い出す効果的な練習の一例が、英単語を手やシートなどで隠して、日本語を見て瞬時に英語を発音する方法。日本語を見て、英語でどう言うか「思い出しながら声に出す」ことで、単なる発音練習のみより、長期的な記憶として定着しやすくなります。覚えた単語を記憶に残すためには、「発音練習の繰り返し」が欠かせないのです。

コロケーションで覚える

英単語を適切に使うためには、語と語の慣習的なつながりを知る必要があります。このつながりが「コロケーション」

九州大学の内田諭教授は、コロケーションで覚える3つのメリットを挙げています。

1つめは、より自然な英語になること。たとえば、日本語の「大雨」。英語では “large rain” でも “big rain” でもなく、“heavy rain” と言います。コロケーションを意識づけることで、英語と日本語の慣用表現の差に気づくことができるのです。

2つめは、アウトプットの土台になること。「電話で話す」と英語で言うとしましょう。「話す」を辞書で引くと “speak” , “talk”, “tell” などが出てきます。一方、「電話を切る」と言いたいとき。「切る」を辞書で引くと “cut”, “turn off”, “chop”, “hang up”, “slice” などが出てきます。これほどたくさん語彙があると、どれが適切か迷いますよね。

でも、普段からコロケーションを意識していると、すぐに “talk on the phone”, “hang up the phone” とそれぞれ表現が可能に。 語と語の組み合わせが決まっているのがわかると、使うべき単語が迷いなくひとつに絞れるため、瞬発力が上がるのです。

3つめは、似たような意味の語の使い分けにも役立つこと。コロケーションで覚えることで、後ろに来やすい名詞の特徴から使い分けのヒントが得られます。

たとえば、「聞く」という意味の “hear”, “listen to” は区別がつきにくいですよね。ですが、後ろに来やすい名詞をみることで、2つのニュアンスの違いがわかることがあります。

東京外国語大学の投野由紀夫教授の研究によると、“hear” のあとに結びつきやすいのは、 “voice”「声」, “sound”「音」, “word”「言葉」。 “listen to” のあとには、“music”「音楽」 “report”「報告書」 “radio”「ラジオ」が結びつきやすいそう。

2つを見比べると、“hear” のあとに来る名詞はやや漠然とした音を表しているのに対し、“listen to” のあとに来る名詞は、より具体的な音を表していますね。“hear” は「(自然に入ってくる音)を聞く、耳にする」のに対し、 “listen to” は「(自分から積極的に)聞く」という意味の微妙な違いがあります。明示的に違いを学ぶ機会がなくても、コロケーションと一緒に単語を覚えることで、このニュアンスの違いが自然にわかるようになりますよ。

コロケーションを覚えることは、より自然なコミュニケーションをするうえでも、英単語の微妙な使い分けを理解するうえでも役立つのです。

ネイティブの発音と使用頻度がわかる YouGlish の魅力

覚えた単語が、実際にどれくらいの頻度で使用されるのか、なかなかイメージしづらいですよね。それに、前後のつながりを含めて、ネイティブによる単語の発音を聞ける機会は、日本ではほとんどありません。でもじつは、ネイティブの発音や単語の使用頻度が、無料で簡単に調べられるウェブサイトがあるのです!

それは、時短型英語ジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」でトレーナーとして活躍する “英語の専門家” 長束啓樹さんもおすすめする “YouGlish” 。長束さんいわく、調べたい英単語を “YouGlish” で検索すれば、YouTube動画のなかから、検索した単語が含まれる映像を抽出して表示してくれるそう。さらに優れているのは、流れてくる音声のスピードを調節できること。ネイティブスピーカーが実際に使っている英語で、英単語の発音や例文が学べてしまう、「究極の単語帳」です。

以下の約5分の動画で、YouGlishの魅力とその効果的な活用の仕方を、長束さんが詳しく解説しています。ぜひチェックしてみてください。


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英単語を確実に覚え、かつ効果的に使えるようにするには、正しい発音とコロケーションが欠かせません。今回の記事や動画を、ぜひ日々の英単語の学習に役立ててくださいね!



参考資料
田浦秀幸(2016),『科学的トレーニングで英語力は伸ばせる!』, マイナビ出版.
プレジデントオンライン|「復習4回」で脳をダマすことができる
StudyHacker ENGLISH COMPANY著, ナナトエリ作画(2018),『マンガでわかる 最速最短! 英語学習マップ』, セブン&アイ出版.
門田修平(2020), 『音読で外国語が話せるようになる科学』, サイエンス・アイ新書.
塚本倫久(2014), 『プログレッシブ 英語コロケーション練習帳』, 小学館.
投野由紀夫(2006), 『投野由紀夫のコーパス超入門─コーパスでわかる英語学習のコツ』, 小学館.
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