「Rは巻き舌」はウソだった!? 正しい “RとL” の発音のコツ

「R は巻き舌」はウソだった!? 正しい “R と L” の発音のコツ-main

「RやLの発音に自信がない」
「rightとlightの聞き分けができない」
そうお困りではありませんか?

日本人英語学習者を悩ませる、RとLの音。どうやったら正しく発音し、聞き分けられるようになるのでしょう?

そんなお悩みを解消すべく、時短型英語ジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」でトレーナーとして活躍する “英語の専門家” 高橋秀和さんにお話をうかがいました。

「日本人が苦手なRとL」は世界でも有名だった

皆さんは、RとLの音の違いを聞き取れますか? また両者の違いを認識したうえで、きちんと発音できますか?

試しに、right(「右」)、次にlight(「光」)と声に出してみてください。両者の違いは何か、説明できるでしょうか。初心者はもちろん、中級者や上級者まで多くの英語学習者を悩ませる、この2つの音。発音だけでなく、聞き分けるのも難しいですよね。

日本語母語話者がRとLの音を区別できないのは、第二言語習得の世界では有名な話。そのため、多くの研究が行なわれています。たとえば、日本人は rice(「米」)と lice(「シラミ」louse の複数形)の区別ができないという研究。

発音が変わると言葉の意味も大きく変わってしまうので、注意が必要です。ごはんのことを話しているはずが、シラミに聞こえてしまう——そんな可能性もあるのですから。

英語話者からするとまったく異なる別の単語なのに、日本語話者には同じように聞こえてしまうなんて、なんだか不思議な話ですね。

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なぜ日本人はRとLの音の区別ができないのか

なぜ日本人にはRとLが同じように聞こえてしまうのでしょう。じつは私たちがこの2つの音を苦手としているのには、れっきとした理由があります。

音声は母語の干渉がとても強い分野。そして私たちの母語である日本語の音韻体系には、RとLの音は存在しません。「ら」行の音が似ていますが、これは英語のRとLの中間にあるような音。どちらとも異なります。

立命館大学大学院言語教育情報研究科の田浦秀幸教授は、母語にない音の識別が難しい理由をこう語ります。

母語にない音はそのままでは聞こえないし、発音することもできませんこれは脳の中でそれを聞き取るためのニューラルネットワーク(神経回路網)が消えてしまったためです。耳からそのまま入ってくることはないし、入ってこない音を口で作ることはできません。

(引用元:田浦秀幸(2016),『科学的トレーニングで英語力は伸ばせる!』, マイナビ出版. ※太字・下線は筆者が施した)

RとLは日本語にない音だから、識別するのが難しいのですね。

じつはそんな私たちも、0歳のときは両者を自然に区別できました。なぜなら人間は、すべての言語を聞き分け、音を作ることができるニューラルネットワークを持って生まれてくるから。

しかし生後1年以内に、母語の音素に対して優位になるようニューラルネットワークの再編成が起こります。そんななか、RとLの区別のない日本語に日々触れ続けることで、生後10〜12ヶ月のあいだに両者の対比についての感性を失うのだとか。

そしてそれ以降、この2つの音の識別が困難になってしまうのです。

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明示的な発音トレーニングで克服できる

第二言語を習得するうえで母語の影響を避けることはできません。では、「日本人だから仕方ない」と諦めるしかないのでしょうか? いいえ、そんなことはありません。

静岡大学教育学部の白畑知彦教授は、中間音を活用した英語音素識別能力実験において、日本人がアメリカ人と同じ反応を示したという研究を紹介しています。そして、その結果をもとに、「日本人はRとLの音を識別する基本的な聴覚系の能力が欠如しているわけではない」と語ります。

英語のできない日本人成人は、/l/ - /r/ を意識的には区別できないものの、潜在的にはその音声的対立を区別する能力を持っているのです。その能力が、音声言語を聞き分ける時に使われていないだけのようです。

(引用元:白畑知彦 編著, 若林茂則 著, 須田孝司 著(2004),『英語習得の「常識」「非常識」―第二言語習得研究からの検証』, 大修館書店. ※太字・下線は筆者が施した)

私たちはRとLの音を区別する潜在的能力を持っているものの、その能力を実際の場面で使えていない——ただそれだけなのですね。では、識別能力を顕在的なレベルに引き出すためには、どうすればいいのでしょう?

白畑教授が成人学習者にすすめるのは、成人の分析能力を生かし、意識的に発音訓練をすること。正しく発音できるようになれば、トレーニングをとおして次第に聞き取り能力も上がります。実際、RとLの音を区別させるような訓練をすると、弁別能力が向上するという研究は多数あります。

前出の田浦教授も同様に、明示的な発音訓練の効果についてこう述べています。

発音の方法を明示的に教えて、トレーニングをすればかなりの程度聞き取れるようになるし、発音をできるようにもなります

(引用先:田浦秀幸(2016),『科学的トレーニングで英語力は伸ばせる!』, マイナビ出版. ※太字・下線は筆者が施した)

まずは両者の音の違いを知り、正しく発音できるように練習することから始めてみましょう。

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【決定版】RとLを正しく発音する方法

RとLの音を区別するには、明示的な発音訓練から。英語学習に精通した高橋さんからこの2つの発音方法を学べる約7分間の動画がありますので、ぜひご覧ください!

  • RとLの音の違い
  • Lの発音のポイントは「○○だけ」
  • Rは「舌を巻く」わけではない!? 
  • Rを発音する前に小さい「◻︎」をつけるのがコツ
  • lightとright、glassとgrass を発音してみよう
  • leadとread、longとwrong、flyとfryを聞き分けてみよう

英語学習中の晶羅さんと一緒に、ぜひ口を動かしながら実際に発音してみてくださいね。

YouTube「英語学習チャンネル」では、英語を学ぶ皆さんを応援するためのお役立ちコンテンツをほかにもたくさんご用意しています。ぜひチャンネル登録をお願いします!

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学校で 「Rの音は巻き舌で」と習ったものの、うまく舌を巻くことができずに終わってしまった。そんな方もいるかもしれません。

でもじつは、すべての英語ネイティブが舌を巻いて発音しているわけではありません。音響音声学によると、アメリカ人の中にも、舌を「巻く派」と「巻かない派」がいるのだとか。なにも、日本人の私たちが無理して巻き舌にする必要はないのです。

大切なのは、本質的で正しい発音のコツを学ぶこと。この機会に、長年悩みの種だった RやLの音をマスターしてみませんか。

 監修:StudyHacker ENGLISH COMPANY

(参考)
森島 泰則(2015),『なぜ外国語を身につけるのは難しいのか: 「バイリンガルを科学する」言語心理学 』, 勁草書房.
田浦秀幸(2016),『科学的トレーニングで英語力は伸ばせる!』, マイナビ出版.
白井恭弘(2008),『外国語学習の科学ー第二言語習得論とは何か』, 岩波書店.
白井恭弘(2004),『外国語学習に成功する人、しない人―第二言語習得論への招待 (岩波科学ライブラリー) 』, 岩波書店.
白畑知彦 編著, 若林茂則 著, 須田孝司 著(2004),『英語習得の「常識」「非常識」―第二言語習得研究からの検証』, 大修館書店.
川原 繁人(2015),『音とことばのふしぎな世界――メイド声から英語の達人まで』, 岩波書店.

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