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日本人の英語がネイティブに通じない本当の理由

日本人の英語がネイティブに通じない本当の理由

ネイティブに英語が通じない――そうお困りではありませんか?

海外旅行先やビジネスの現場、または日本で外国人が困っている姿を見たとき。勇気を出して英語で話しかけてみたものの、なかなか伝わらず、なんども聞き返されてしまう。これは英語学習者がよく抱える悩みです。単語や文法は合っているはずなのに、なぜ一度で伝わらないのでしょうか?

そんなお悩みを解消すべく、時短型英語ジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」でトレーナーとして活躍する “英語の専門家” 鵜飼彩さんにお話をうかがいました。



世界の言語リズムは何種類?

学んだ英語を実際に使ってみよう!――そう意気込んで話しかけたものの、相手に自分の意図が伝わらない。何度も聞き返されたときの居心地の悪さといったら、まるで拷問のよう。「話している内容に間違いはないはずなのに、何が悪いのだろう?」と困ってしまいますよね。

第二言語習得に詳しい鵜飼さんは、「日本人の英語がネイティブに通じない」主な原因のひとつとして、英語と日本語のリズムの違いを挙げています。リズムの観点において、両者は大きく異なるのです。

まず、そもそも「リズム」とは何でしょう? 

音声学や音韻論を専門とする京都産業大学の川越いつえ教授によると、リズムとは「あるパターンの規則的な繰り返し」のこと。「ズンタッ / ズンタッ」「チャ / チャ / チャ」などのリズミカルな音楽を思い浮かべみてください。一定の音のかたまりが繰り返されていますよね。言語においては、「同じ時間的長さの音のかたまり」がリズムの単位になります。

では、リズムの単位別に言語を分けてみましょう。世界には現在約7,000もの言語があると言われていますが、言語リズムは大きく何種類に分けられるかご存じですか? 答えは、たったの2種類

  1. 強勢拍リズム(英語、ドイツ語、オランダ語)
  2. 音節拍リズム(フランス語、スペイン語)
    ┗ モーラ拍リズム(日本語)

それぞれの特徴を図で示すとこうなります。

日本人の英語がネイティブに通じない本当の理由1

1の強勢拍リズムは、音の強弱を伴うリズム。強勢ごとにビート(拍)を刻みます。リズムをとる単位は、文中で強く言う(=強勢のある)音節から次に強く言う音節の直前まで。その間隔をほぼ等しい時間で発音するために、個々の語の長さを調節します。たとえば、強勢のある語はグッと引き延ばしてゆっくり発音し、強勢のない語は大急ぎで縮めて発音するのです。

一方、2の音節拍リズムは対照的。音節(母音を中心とした音のまとまり)ごとにビートを刻みます。リズムの単位である文中の音節が、ほぼ同じ長さ・強さで発音される傾向にあります。

日本語のリズムは、2に類似するモーラ拍リズム。「モーラ」とは五十音のかな1字分の長さ(子音+短母音)に相当するもので、これがリズムの単位になります。そのため、文中のモーラがほぼ同じ長さ・強さで発音されるのが特徴。たとえば、松尾芭蕉のこの俳句を声に出してみてください。

ふるいけや かわずとびこむ みずのおと


ひとつひとつの「かな」の時間的長さがほぼ同じことに気づきましたか? 

モーラは音節よりも小さいので正確には音節拍リズムとは異なりますが、モーラ拍リズムはそれと似たようなリズムだと考えていいでしょう。

日本人の英語がネイティブに通じない本当の理由2

日本人の英語がネイティブに通じないワケ

そんなモーラ拍リズムを持つ言語は世界でたったひとつ、日本語しかありません。音声知覚生成メカニズムを専門とするNTTコミュニケーション科学基礎研究所の廣谷定男教授は、日本人が英語を苦手とする理由についてこう語ります。

日本語は世界の言語の中で、少なくともリズムという点ではガラパゴス化していて、日本語話者が、英語が不得意だというのはある意味必然かもしれません。日本人からするとかなりショッキングな話ですが、逆に言えばリズムを変えてあげると、劇的に何か変わる可能性を秘めているということも言えます。

(引用元:NTT研究所発 触感コンテンツ専門誌ふるえVol.5|人には聞けない言語とリズムのヒミツ

世界中に数千もの言語があるなか、モーラ拍リズムは日本語だけ。なんだか仲間外れになった気分です。さらに、英語が属する強勢拍リズムとは正反対のグループ。日本人にとって英語のリズムが難しく感じられるのは当然かもしれません。

前出の川越教授によると、外国語訛りを生み出すおおもとは「母語のリズム」。母語と外国語のリズムが大きく異なるとき、ナチュラルに外国語を話すことはより難しくなります。

たとえば「ヮターシハ キトウ二 イテキマーシタ(私は京都に行ってきました)」のようなアメリカ人の日本語を耳にして、聞きにくいなあと思ったことはありませんか? 日本語を習いたての英語ネイティブは、母語である英語の強勢拍リズムに基づいて発声するため、こんな外国語訛りの日本語が生まれます。

そして、それは逆もしかり。日本人はしばしば、本来なら強勢拍リズムで発声するべき英語に、日本語のモーラ拍リズムをそのまま持ち込んでしまいます。それゆえ、不自然で聞き取りにくい「日本語訛り」の英語に聞こえてしまうのです。

ネイティブに通じる英語が身につく学習法

日本語のリズムが、「英語を英語らしく話す」ことを妨げていたのですね。ネイティブに通じる英語を手に入れるには、英語本来のリズムを学ぶ必要がありそうです。

では、どうすれば英語の強勢拍リズムを身につけることができるのでしょう? どの語を長く強く、どの語を短く弱く発音するのか、見分ける方法はあるのでしょうか? その答えをはじめとして、ネイティブに通じる英語を学べる約7分間の動画がありますので、ぜひご覧ください!



英語のプロトレーナー・鵜飼さんによる解説で、「ネイティブに聞き取ってもらえない」というお悩みを解消できるはずですよ。

YouTube「時吉秀弥のイングリッシュカンパニーch」では、英語を学ぶ皆さんを応援するためのお役立ちコンテンツをほかにもたくさんご用意しています。ぜひチャンネル登録をお願いします!

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日本人英語学習者の前に立ちはだかる「リズムの壁」。乗り越えられれば、あなたの英語は劇的に変わるはず。この機会に楽しみながらリズムを学び、“世界で通じる英語” を手に入れてみませんか。



参考資料
川越いつえ(2007),『英語の音声を科学する』, 大修館書店.
門田修平(2015),『シャドーイング・音読と英語コミュニケーションの科学』,コスモピア.
NTT研究所発 触感コンテンツ専門誌ふるえVol.5|人には聞けない言語とリズムのヒミツ
今井邦彦(2019),『「英語耳」を鍛え「英語舌」を養う』, 開拓社.
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