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「とりあえずシャドーイング」では失敗する。科学的に正しいシャドーイングの6ステップ

「とりあえずシャドーイング」では失敗する。科学的に正しいシャドーイングの4ステップ

「シャドーイングを試してみたいが、どんな英語音声を使えばいいかわからない」
「シャドーイングに挑戦してみたものの、難しくてうまくできない」

そうお困りの方はいませんか。

英語上達に効果的なシャドーイング。英語学習者の間で広く知られている学習法ですが、じつは正しいやり方を知っている人は少ないもの。「効果があると聞いてやってみたけれど、スピードについていけずギブアップ......」という失敗談もちらほら。

そんなお悩みを解消すべく、時短型英語ジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」でトレーナーとして活躍する “英語の専門家” 鵜飼彩さんにお話をうかがいました。

やり方さえ間違わなければ、レベルにかかわらず効果の大きいシャドーイング。第二言語習得研究の知見にもとづいた正しい知識を手に入れ、英語力アップをはかりましょう。



シャドーイングの効果

みなさんは、シャドーイングと聞いて何を思い浮かべますか?

「英語を聞きながら、少し遅れて言う学習法」

こう答える方が多いかもしれませんね。

そのとおり、聞こえてきた英語音声をまねして発声するのがシャドーイング。影(シャドー)のように音声を追いかけることから、このような名称で呼ばれています。

シャドーイングはもともと、通訳者を目指す人のための訓練方法のひとつでした。しかし最近では、その効果が世間一般で注目され、英語学習者の間で一躍有名に。

ただ、認知度の高まりとともに、名前だけがひとり歩きしているのも事実。正しい手順や効果を把握している学習者は、じつは多くはないのです。

まず、シャドーイングの効果とは何でしょう? 外国語習得に詳しい鵜飼さんは、一番大きな効果として「リスニング力の向上」を挙げています。

シャドーイングにより、聞こえてきた言葉の処理を自動化(考えなくてもすぐにできる状態に)することで、楽にリスニングできるようになるとのこと。

第二言語習得研究を専門としている関西学院大学院の門田修平教授も、シャドーイングの効果のひとつとして、リスニング能力を高める「インプット効果」を挙げています。

インプット音声の「模倣・再現」学習により、聞こえてきた外国語音声を捉える能力を鍛え、その知覚を自動化することで、結果的に聞いて理解するリスニング能力を伸ばす効果がある

(引用元:門田修平(2018),『外国語を話せるようになるしくみ シャドーイングが言語習得を促進するメカニズム』, SBクリエイティブ. ※太字は筆者が記した)

門田教授によると、シャドーイングによる「インプット効果」は、次の4段階を経て起こることがほぼ明らかになっているのだとか。

  1. シャドーイング訓練
  2. 復唱能力の発達
  3. 発音速度の高速化
  4. リスニング能力の向上

シャドーイングは音声を1〜2語遅れでリピートするトレーニングなので、まず英語音声を正しく復唱する能力が発達します。すると復唱能力の発達に引っ張られるかたちで、発音スピードが上がります。

「復唱能力の発達」「発音速度の高速化」は、リスニング力をつける前提となる能力。この2つによって英語音声を「まねして再現する」力が鍛えられ、負荷なく音声を知覚できるようになるため、最終的に英語を聞く力が伸びるのです。

もちろん、ほかにもスピーキング力の向上や、単語や構文などの知識の定着など、さまざまなメリットが。そんなシャドーイングは、全英語学習者におすすめの学習法だと言えるでしょう。

「とりあえずシャドーイング」では失敗する。科学的に正しいシャドーイングの4ステップ01

英語学習者がやりがちな【シャドーイングNG例】

リスニング力向上をはじめ、英語上達に効果的なシャドーイング。しかし、正しい方法でやらないと本来の効果を引き出すことはできません。

以下はよくあるNG例2つ。当てはまる点はありませんか?

  1. 初めて聞く英語音声を使ってシャドーイング
  2. 最初から英語音声の意味を思い浮かべつつシャドーイング

なぜダメなのでしょう。第二言語習得に精通している鵜飼さんは、こう語ります。

初めての音声を使う

初めて聞く英語音声を使って、すぐにシャドーイングに取りかかっていませんか。単語や文法がわからないまま、いきなりシャドーイングするのは非効率。なぜなら、文章の意味が理解できる英語音声を使う必要があるから。知らない単語はないか? 文法でつまづくところはないか? まずは一度音声を聞いて、確認してみましょう。英文の正しい理解があって初めて、シャドーイングの下準備が整います。

最初から音声の意味を思い浮かべる

最初から「英文の意味を思い浮かべながら発声しなくてはいけない」と思っていませんか。これはコンテンツ・シャドーイングと呼ばれる手法で、もちろんダメではないのですが、はじめから内容をイメージしつつリピートするのは負荷が高いもの。コンテンツ・シャドーイングの前に細かなステップに分けて段階的に取り組むことで、スムーズに進められます

やみくもにシャドーイングに挑戦しても、十分な成果は得られないのですね。今まで失敗してきた理由がわかったような気がします。

「とりあえずシャドーイング」では失敗する。科学的に正しいシャドーイングの4ステップ02

【決定版】科学的に正しいシャドーイングの6ステップ

シャドーイングの最大の効果を引き出すために大切なのは、理解できる英語音声を使い、段階的に取り組むこと。では具体的に、どのようなステップで進めればいいのでしょう?

第二言語習得研究にもとづき、正しいシャドーイングのやり方をご紹介した約6分間の動画がありますので、ぜひご覧ください!

  1. わからない単語や文法がないかチェックし、内容を理解する
  2. サイトトランスレーションで意味のかたまりごとに理解を確認する
  3. □□で意味を意識しながら音を確認する
  4. オーバーラッピングで英文を見ながら音声と同時に音読する
  5. ○○○○○・シャドーイングをやる
  6. コンテンツ・シャドーイングをやる


英語のプロトレーナー・鵜飼さんによる解説で、「シャドーイングがうまくできない」というお悩みを解消できるはずですよ。

YouTube「時吉秀弥のイングリッシュカンパニーch」では、ほかにも英語学習中の皆さんを応援するためのお役立ちコンテンツをたくさんご用意しています。ぜひチャンネル登録をお願いします!

***
「とりあえずシャドーイング」では、なかなかうまくいかないもの。科学的根拠のある正しいやり方を学び、今日から ”シャドーイングマスター” になりましょう! きっと 将来の ”リスニングマスター” への道もひらけてくるはずですよ。



参考資料
門田修平(2018),『外国語を話せるようになるしくみ シャドーイングが言語習得を促進するメカニズム』, SBクリエイティブ.
門田修平(2015),『シャドーイング・音読と英語コミュニケーションの科学』,コスモピア.
田浦秀幸(2016),『科学的トレーニングで英語力は伸ばせる!』, マイナビ出版.
StudyHacker for Students|シャドーイング
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