英語の語順ルールは “たった2つ”。10問の英作文トレーニングで完全理解!【時吉秀弥の英文法最終回答】

英語の語順のルールを身につける01

みなさんこんにちは、英語職人・時吉秀弥です。いつも説明ばかりですから、今回は英語の語順を組み立てるトレーニングをみんなで一緒にやってみましょうか。

すでに第3回『「英語の疑問文」はなぜ語順がひっくり返る? 倒置に込められた英語の “気持ち”』と第4回『「時間」「天気」「仮主語」に it を使うのはなぜ? it の "正体" 教えます』でお伝えした通り、英語の語順の究極のルールは2つしかありません。

  1. 言いたいことから先に言う。
  2. 軽い情報が先、重い情報は後。

です。今回はこれを実感しながら、実際に英文を組み立てるドリルをやってみましょう。

1. 言いたいことから先に言う

では、1からやってみましょう。簡単なものから、徐々に難しくなっていきますよ。

「言いたいことから先に言う」語順は、典型的には疑問文や倒置文に現れます。以下の文を、下線部に注意して疑問文にしてください。下線部の部分は「問われている部分」「尋ねたい部分」です。

問題:
  1. He is from France.
  2. →「である」のか、それとも「ではない」のか、を尋ねたいわけです……。
  3. He knows it.
  4. →「知っている」のか、それとも「知っていない」のか、を尋ねたいわけです……。
答え:
  1. Is he from France?
  2. 「尋ねる焦点」は、(フランス出身)「である」のか「ではない」のかということですから、それを意味するbe動詞が最初に話されます。
  3. Does he know it?
  4. 「尋ねる焦点」は、「知っている」のか「知らない」のかを表す動詞 knows の部分なのですが、一般動詞は具体的、個別的情報で「重い情報」なので、抽象化されて軽い情報になった do / does を代用して文頭に出します。ここらへんのことについては第4回に詳しく書かれていますのでぜひ読んでみてください。


問題:
  1. They have been friends for a very long time.
  2. どれくらいの期間友人という状態を抱えているのかを尋ねたいわけです……。
答え:
  1. How long have they been friends?
  2. for a very long time が how long に変わり、一番尋ねたいこと、つまり一番言いたいことなので、文頭に来ます。二番目に尋ねたいことは「(友人という状態(=been friends)を)抱えている(have)のか」という疑問なので、疑問文語順で have が前にやってきます。

それでは今度は疑問文ではなく、疑問詞を利用した副詞節を作ってみましょう。

問題:
  1. They have been friends for a very long time, but the debt should be paid off.
  2. 「彼らは長い間友人であるけれど、借金は全部返すべきだ。」
    →「いかに友人関係が長かろうと」ということを強調してください。
答え:
  1. No matter how long they have been friends, the debt should be paid off.
  2. → for a very long time が how long に変わりますが、さらにその前に no matter「問題(matter)がゼロ(no)=どうでもいい」をつけ、no matter how longは直訳すると「期間の長さに関係なく」という感じで、how long よりも no matter のほうが強調したい情報なので前に来ています。 → they have been friends の部分は肯定文の語順のままです。これは「友人である期間を尋ねている」わけではないからです。

次は倒置の文です。

問題:
I have never seen such a rude man.
「あんな無礼な男は見たことがない。」
→「一度も」見たことが「ない」ということを強調してみてください。

答え:
Never have I seen such a rude man.
→ 一番強調したいのは never ですから、これが文頭に来ます。次に、「何が一度もないのか」と言われれば、それは「見たこと」が一度もないのですから、never の後に have seen が強調される形を取らないといけません。第3回で述べた通り、疑問文の語順の正体は「疑問」のための語順ではなく、「動詞の強調」のための語順ですから、have I seen という疑問文の語順をとることで、have seen が強調されるわけです。

ちなみに以下の文は、この間ある知り合いのアメリカ人が実際に書いていたフレーズです。

But boy, was it worth it! 「でもほんと、それだけの価値はあったわ!」

it was worth it が、疑問文の語順と同じように was というbe動詞を前に出すことで、「worth という状態にあること」(be動詞の根っこの意味は「~という状態で存在している」です)を強調しています。ちなみに boy は「少年」ではなく、単に感嘆を表す言葉です。

仮定法の倒置も同じシステムです。

問題:
If I were you, I wouldn’t buy such a thing.
「仮に私が君なら、そんなものは買わないけどね。」
→ この「仮に」の気持ちを強調してください。

答え:
Were I you, I wouldn’t buy such a thing.
→ 実際には起きない仮の話をしていることを表すために、動詞が過去形にされています。つまり、仮の話であることを強調したければ、動詞を強調すればいいわけです。ですから疑問文語順の出番です。そして、疑問文の語順を使って仮定法の動詞を前に出すことで「仮の話」であることが強調されれば、if はもういらない、ということになり、省略されるのです。

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2. 軽い情報が先、重い情報は後

問題:
「彼がそう言った、というのは本当だ。」
(that, so, it’s, said, true, he).
を上記の単語を並べ替えて英語にしてください。

答え:
It’s true that he said so.
→ 軽い情報をまず英語にします。まず最初に「それって本当だよ(It’s true)」と言ってしまいます。情報の骨組みの部分ですね。そして、「それ」の中身である具体的で重い情報を後に持ってきます。ここでの that は接続詞ですが、that 自体はもともと「あれ、それ」というふうに何かを「指す」ための言葉です。ここでは「 it の中身はこちらですよ」というふうに he said so を指す働きをしています。


問題:
語順に注意しながら、次の2つの日本語のフレーズを英語にしなさい。
  1. 「走っている男の人」
  2. 「川沿いを走っている男の人」
答え:
  1. a running man
  2. a man running along the river
現在分詞(~ing)や過去分詞で名詞を修飾する(分詞の形容詞用法)ときに起きる現象です。running 一語なら名詞 man の前、running along the river のように長くなると、後ろにまわります。長くて重い情報だからです。しかし running 一語だけなら軽いから前、ということです。


問題:
The man is the one.
上の文は「昨日私に話しかけてきた男は、部屋の隅に立っている男だ。」という意味の英文の「骨組み」です。これに具体的な情報を肉づけして、上記の意味になるようにしてください。
→ 使う単語:(standing, yesterday, me, talked, in the corner, who, to, of the room)

答え:
The man who talked to me yesterday is the one standing in the corner of the room.
→ このように、「軽い骨組み+重い肉づけ」でひとつの意味のかたまりができるようになっているのが英語です。後ろに重い肉づけ、つまり修飾語が来ることを文法用語で「後置修飾」と呼びます。関係代名詞と分詞の形容詞用法の違いにはいろいろと深いものがありますが、上の文では「やっている最中の話」をしているときには ~ing を使う、ということが使い分けの基準になっています。

***
最終的に英語は話して、そして書いてなんぼです。上記のような原則を意識しつつ、あとは例文をたくさん覚えてください。その量が増えるほど、頭の中で語順の抽象化が起こり、「普通こう並べるよね」という直感が整備されていきます。

英文を読んで理解して満足するのではなく、気に入った文、プレゼンに使えそうな文があったらその場で繰り返し口に出して覚えて、覚えたら先へ読み進める、ということを私はよくやっています。忘れてもいいのです。大量に覚えて、大量に忘れて、何度もよく出てくる、使える骨組みが体の中に残っていきます。それがあなたにとって「本当に使える英語」になっていきます。

※この連載は2017年に実施したものです。

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時吉秀弥(ときよし・ひでや)
株式会社スタディーハッカー コンテンツ戦略企画部シニアリサーチャー。神戸市外国語大学英米語学科卒。米国チューレン大学で国際政治を学んだのち、帰国。ラジオパーソナリティという特殊な経歴を経つつ、20年以上にわたって予備校で英語も教えてきた。英語を教えるなかで自身の英文法観が認知言語学に通じるものだと知り、東京言語研究所にて認知言語学や日本語文法、音声学などを学ぶ。2010年、同所で理論言語学賞を受賞。2019年11月に出版された『英文法の鬼100則』(明日香出版社)は8万部を突破し、英文法書として異例のヒットを記録する。

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