「聞き流すだけで英語力アップ」は誤解！ 本当に効果的な方法とは

「英語力アップの秘密は『聞き流すだけ』！」
「教材を聞き流して、ペラペラに話せるようになりました！」

英語教材の広告で、こんなキャッチコピーを目にした経験はありませんか？　英語の音声をひたすら聞くだけで英語力が上がるのは、はたしてありえるのでしょうか？　ENGLISH COMPANYといっしょに、聞き流し学習の効果について、詳しく探ってみましょう。

聞き流し学習だけだと限界があるのはなぜ？

英語リスニングにおける「聞き流し」とは、通勤中や家事などの最中に、ヘッドホンなどを通して、英語の音声を流す学習方法のことです。「英語をひたすら聞き流せば、英語力が上がりそう」と感じるかもしれませんが、本当に効果はあるのでしょうか？

結論を述べると、聞き流しだけの学習では限界があります。理由は以下のとおり。

順番に詳しく見ていきましょう。

【理由1】音の区切りがわからない

特に英語学習初心者の場合、言葉の始まりと終わり、つまりどこがひとつの単語なのか、どこがフレーズなのかを聞き取るのは困難です。

自然に話される英語では、必ずしも私たちが単語帳で覚えたスペル通りの発音がされるわけではありません。単語どうしの音がつながったり、一部の音が抜け落ちたりといった音の変化が起こります。

たとえば、“When I think of you, it makes me happy.”（あなたのことを思うと、幸せな気持ちになります）という英文の場合、「When」と「I」、「think」と「of」などの単語の音がつながって発音されます。こうした音の変化によって、各単語の区切りを正確にとらえるのが難しくなるのです。

リスニングは、耳から入った音声を聞き分ける「音声知覚」と、聞き取った英語の内容の「理解」という2段階のプロセスから構成されています。音声を認識できなかったり、聞き取った英語の意味がわからなかったりする状態で英語を聞き流しても、雑音を聞いているのと同じ状態。聞き取りの力が上がるわけではないのです。

【理由2】文構造がわからない

たとえ日本語のあとに英語のフレーズを聞いたとしても、英語の文構造を完全には理解できません。

先ほどの “When I think of you, it makes me happy.” という英文だと、「時を示すwhen節」が先に来る理由、「make」を使った使役構文の仕組みといった、文構造の理解も聞き取りに必要になります。しかし聞き流しでは、こうした細かな文構造まで把握できるわけではないため、文全体の意味理解にはつながらないのです。

以上の理由から、聞き流しの学習だけをするのは適切ではありません。

聞き流しの前にやるべきこと

聞き流しで英語力を伸ばそうとする前にやるべきことは、主に以下の3つ。

それぞれ詳しくご説明しましょう。

単語の意味と発音の把握

まずは辞書を引いて、単語の意味を把握します。スマートフォンの辞書アプリや、電子辞書などを使えば、正確な発音を聞くことが可能です。繰り返し聞きながら、発音の練習をしましょう。

文法と構文の把握

次に、英文のスクリプトなどを読んで確認し、英文が理解できている状態にしていきます。そのためには、理解できていない文法項目や構文については、必要に応じて文法書などを用いて、しっかりと把握しなければなりません。

わからない文法項目をなくしていくことで、文の意味理解がスムーズになりますよ。

音声知覚の強化

文字で読めば英文の意味が理解できるものの、音声になると聞き取れないという方は、音声知覚を重点的に強化するとよいでしょう。

英語のリスニングにおいて、自然に話される場面で起こりうる「音声変化」に対する認識はとても重要。そのためには、音声変化の5つのパターン（連結、同化、脱落、ら行化、弱形）と、それらが起こりやすい条件を学ぶのが有効です。無意識に音声変化を再現できるようになれば、細かな発音も聞き取りやすくなっていきます。

音声変化の学習におすすめの教材は、スタディーハッカーが提供している無料アプリ「Listening Hacker」（iOS／Android）。問題を解きながら音声変化のルールと起こりやすい条件を短期集中で学べ、効率よく英語リスニングを伸ばすことができますよ。

もっとたくさんの問題に取り組みたい方には、無料版よりも210問多く収録されている「Listening Hacker Pro」（iOS／Android）がおすすめです。

そして、例文の音声を再生できる辞書も非常に助けになります。ロングマン現代英英辞典（iOS／Android）やオックスフォード現代英英辞典（iOS／Android）のような英英辞典のアプリだと、多くの例文の音声を確認できるため、特におすすめです。

聞き流しにおすすめの教材と、活用のポイント

聞き流しにおすすめの教材についても説明しましょう。

特におすすめな教材は、イギリスの公共放送BBCや、アメリカの国営ラジオ局VOA（Voice of America）の英語学習者向けのウェブサイト。多くの質の高い教材が提供されています。英文のテキストと、それに合わせた音声が用意されているので、実践的な学習が可能です。

また、ポッドキャストや、やさしい英語で書かれた小説のオーディオブックも、リスニングを鍛えるのに効果があります。

こうした教材を活用する際は、先ほど説明したように英文の文法や構造、意味を把握した状態にしてから、英文を聞くのがポイント。また、気に入ったフレーズや文があれば何度も口にすることで、自然な英語のリズムや発音を身につけることができます。

単に聞き流しさえすればいいのではなく、このような練習を繰り返すことで初めて、実践的な英語コミュニケーションに役立つスキルを習得できるのです。

本当に成果が得られる勉強法で学ぶためには

聞き流しをはじめ、自分で試してみた勉強法が本当に正しいのか不安になりますよね。特にリスニングにおいては、ひとくちに「苦手」といっても、「聞いた内容が頭に残らない」「読むことはできるのに聞くことが難しい」「聞き取るどころか基本的な単語や文法がそもそもあやしい」という課題のうち、どれに当てはまっているのかもひとりでは気づきにくいでしょう。

自らの本当の課題と、その解決策を知るのに最適な環境が、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」。第二言語習得研究を専門とする英語のプロトレーナーが、あなたの課題を診断し、その課題を解決するトレーニングをご提案します。

公式サイトをぜひチェックしてみてください。英語力を効率よくアップできるヒントがきっと見えてくるはずです。

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ただ教材を聞き流すだけでは、効果はあまり期待できません。聞き流し学習を効果的にするためには、単語の意味や発音の学習、構文の把握、そして音声知覚の強化というステップを踏んだうえで取り組むことが不可欠なのです。

※本記事は、YouTubeチャンネル「時吉秀弥のイングリッシュカンパニーch」で配信した「【今すぐやめろ】聞き流すだけでは英会話が上達しない理由をプロが徹底解説！」をアレンジしたものです。