英語の勉強を「スピーキング」から始める人が残念な理由。“科学的に正しい” ステップをプロが教えてくれた
「英語学習に興味はあるが、何から手をつけていいのかわからない」
そうお悩みの方はいませんか?
情報過多の現代、英語の学習法についてもさまざまな情報が飛び交っています。「私はこうして英語が話せるようになった」という経験談や、レビューで評価が高い教材、おすすめの学習法......。選択肢が多すぎて、結局のところ何から始めるべきなのかわからずに混乱してしまう人も多いはず。
単語・文法・リスニング・リーディング・スピーキング・ライティング......いったい何から、どんな順序で進めればいいのでしょう?
そんな疑問を解消すべく、時短型英語ジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」でトレーナーとして活躍する “英語の専門家” 松永寛史さんにお話をうかがいました。
科学的根拠の欠けた英語学習法の弊害
「英語学習法がありすぎて、どれを選べばいいのか見当もつかない」
膨大な選択肢を前に、途方に暮れる――そんな経験はありませんか?
インターネット上ではありとあらゆる勉強法が発信され、書店の語学コーナーでも英語学習書籍が山のように並べられているなか、情報に翻弄されて思い悩むのは、ある意味当然のことかもしれません。
「英語がペラペラになる方法」や「私はこうやってTOEIC満点を取った」という実話を聞くと、つい試してみたくなることもあるでしょう。しかし、科学的根拠のない学習法には注意が必要です。
第二言語習得研究の第一人者であるケース・ウェスタン・リザーブ大学の白井恭弘教授は、科学的アプローチが欠如した英語学習法が世の中に蔓延している現状を踏まえ、その問題点についてこう語ります。
ちまたに、英語学習法に関する本はたくさん出ていますが、多くの場合、個人の経験やビリーフにもとづいて書かれたものです。大量のデータの蓄積から科学的に導き出されたものではありません。その本を書いた本人にしか効果はないだろうな、ということもよくあります。
(引用元:白井恭弘(2013),『英語はもっと科学的に学習しよう SLA(第二言語習得論)からみた効果的学習法とは』, 中経出版. ※太字は筆者が施した)
あるひとりにたまたま効果があったからといって、ほかの大多数の学習者にも効果的だという保証はどこにもありません。
科学の条件のひとつに「再現性」、つまり「誰が何度やっても、同じ結果を導き出せる」点が挙げられます。科学的根拠の欠けた学習法は、再現性がないため、たとえ第三者がその方法で成功していたとしても、自分もまったく同じ結果が期待できるとは限らないのです。
そのような学習法は非効率だと言わざるを得ません。効率よく英語を身につけるためには、科学的根拠に基づいた英語学習法を選ぶ必要があります。
学習順序にも科学的根拠が不可欠
数ある英語勉強法のなかから、科学的根拠のある方法を選ぶ――これに加えて、大切なポイントがもうひとつ。それは、科学的に正しい順序で行なうということです。
立命館大学大学院 言語教育情報研究科の田浦秀幸教授は、第二言語習得研究での研究成果をもとに、以下のように述べています。
第二言語習得研究でわかっていることは、「この方法でトレーニングすれば、誰でもすぐに英語ができるようになる」というようなお手軽なメソッドのようなものではありません。
英語力の向上のためには、「現在の英語力はこんな風で、目的はこんなこと、そのためにはこの方法が最も効果が上がるだろう」という、とても個別的なものです。
英語をこれから始めるような初心者の方と、大学受験でしっかり勉強をして、文法的な基礎や一定のリーディングの能力があるという方では、当然トレーニングの内容は違ってきます
(引用元:田浦秀幸(2016),『科学的トレーニングで英語力は伸ばせる!』, マイナビ出版. ※太字は筆者が施した)
誰にでも無条件で当てはまる英語学習メソッドというものはなく、学習者の個々の英語レベルや目的別にそれぞれ効果的な学習法が存在します。だからこそ、自身のフェーズや課題に合わせた、正しい順序で取り組まないと意味がありません。
せっかく科学的根拠のある正しい学習法に出会っても、科学的に正しい順番で行なわなければ、高い成果をあげることはできないのです。
***
情報を取捨選択し積極的に活用するか、情報の洪水に飲み込まれて自分を見失ってしまうのかは、あなた次第。最短距離で英語を身につけるには、正しい情報を味方につけることが不可欠です。
YouTube「時吉秀弥のイングリッシュカンパニーch」では、第二言語習得研究の知見に基づき、科学的に正しい学習法を発信しています。ぜひ参考にして、効率的に英語学習を進めてくださいね。