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全然伸びていかない「残念な英語学習者」がやりがちな4つのこと。

絶対やるな! 残念な英語力学習者が陥る4つのワナ

「まずはたくさん英語を話して口を慣らそう」
「英語耳を作るために、とにかくリスニング」
「試験まで時間がない。1日8時間勉強するぞ!」
「英語が流暢なあの人の学習法をまねすれば、自分もペラペラになれるかも」

こんなふうに英語の学習を進めている人はいませんか?

どれか1つでも当てはまったら要注意! この4つは、英語学習者にありがちな「やった気になっているものの、じつは効率が悪い」学習の進め方の代表例です。

一見効果的に見える、4つの英語の学び方――これらはなぜ非効率なのでしょうか。学習効果を高めるにはどうすればいいのでしょうか。

そんな疑問を解消すべく、時短型英語ジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」でトレーナーとして活躍する “英語の専門家” 高橋秀和さんにお話をうかがいました。



【NG1】ひたすらリスニング

「まずは英語の音に慣れることから」
「英語耳をつくれば、英語が聞けるようになる!」
そんな思いで、リスニングばかりしていませんか?

第二言語習得に精通している高橋さんは、初心者や中級者がまったくわからない英文をひたすら聞いても、効果が薄いと語ります。なぜなら、聞き流すことが前提のBGMを耳にしているときと同じで、内容がほとんど頭に入ってこないから。

「たとえわからなくても英語は聞いているだけでいいの?」という疑問に対して、第二言語習得を専門とする関西学院大学院の門田修平教授は「意味がまったくわからない英語を聞き続けても、何も効果はない」とし、その理由を次のように説明しています。

学習者が接するインプットは、理解できるインプットであることが重要で、聞いても読んでも意味がわからなければ価値がない

(引用元:門田修平(2015),『英語上達12のポイント』, コスモピア. ※太字は筆者が施した)

ある程度理解可能なレベルの教材を選ぶことで、高い学習効果が得られます。せっかくリスニングをしているのにいっさい理解できずにただ聞き流しているだけでは、効率の良い学習法とは言えません。

絶対やるな! 残念な英語力学習者が陥る4つのワナ1

【NG2】ひたすら話す

「場数を踏めば、口が回るようになるはず」
「英語を話し続ければ、流暢さも増すだろう」
そう考えて、英会話ばかりしていませんか?

外国語学習に詳しい高橋さんは、やみくもに話すのは、スピーキング力を伸ばすのに効果的ではないと明言します。その理由は、英語をスポーツにたとえると、英会話は ”練習試合” だから。

たとえば、野球の場合。いくら勝てるようになりたいからといって、毎日のように練習試合ばかりしていても、野球はうまくなりませんね。まずはノックや素振りなどの基本練習を積むことが不可欠です。

英語も同じ。英語が話せるようになりたいなら、語彙・文法・リスニングなどの基礎スキルを鍛える練習から始め、実技的なトレーニングを “段階的に” 行なう必要があります。

立命館大学大学院 言語教育情報研究科の田浦秀幸教授は、スポーツと同じように、英語トレーニングにも効果的な順序があると語ります。

田浦教授が著書『科学的トレーニングで英語力は伸ばせる!』で示している、スポーツと照らし合わせた英語トレーニングの順番は以下のとおりです。

  1. 素振り(形)→ 文法
  2. 筋トレ(部位強化)→ 発音練習、語彙習得
  3. ルール・戦略の勉強 → 異文化の勉強
  4. 練習試合 → 映画を英語で観る・試しに英語で話してみる・短期留学
  5. 問題点認識 → できないことに気づく
  6. 矯正練習 → 不足しているスキルを補い、できないことをできるようにする
  7. 公式試合 → ビジネスなど、実際の場面で話す

スポーツをするとき、基礎力なしに練習試合を繰り返しても上達効率が悪いのと同様に、いきなり英会話に飛びつくのは、効果のある学習法とは言いがたいでしょう。

絶対やるな! 残念な英語力学習者が陥る4つのワナ2

【NG3】高いハードルを掲げる

「試験まであと1ヶ月......。1日8時間勉強するぞ!」
「朝4時に起きて、毎朝出社前に3時間机に向かおう!」
早く英語力をつけたいからと、焦って高すぎる目標を立ててはいませんか?

英語指導経験豊富な高橋さんは、無茶な目標を掲げるのは逆効果だと主張しています。なぜなら、続けることが難しくなってしまうから。

もしかしたら最初の数日間は目標を達成できるかもしれません。しかし、その後1週間、1ヶ月間と学習を継続していくうえで、はたして達成可能かどうか――その点を踏まえて、現実的な目標を設定する必要があります。

「行動分析学」という学問をベースに発展を遂げている、アメリカ発の革新的マネジメント手法「行動科学マネジメント」では、「スモールゴール(小さな目標)」を無理のない範囲で設定することが有効だとされています。

行動科学マネジメントの日本での第一人者である石田淳氏は、「あまりに高い目標を設定すると、途中で挫折してしまう」としたうえで、スモールゴールの立て方についてこう語ります。

スモールゴールを作るコツは、あまりハイレベルにしないこと、要するに達成可能な “甘い目標” にすることです。少し頑張ったら確実に達成できる、その程度のハードルを用意しましょう。

(引用元:石田淳(2011),『新版「続ける」技術』, フォレスト出版. ※太字は筆者が施した)

まずは1日10分でもいいのです。学習は継続が命、習慣化できなければ意味がありません。無理なく続けられるペースで日々勉強を進めることが、結局のところ最短の道になります。

絶対やるな! 残念な英語力学習者が陥る4つのワナ3

【NG4】ほかの人の学習法を手当たり次第まねる

「あの有名なビジネスマンが実践している勉強法なら、実用的な英語力がつきそう」
「英語が流暢な○○選手の英語学習法をまねしたら、自分もペラペラになれるかも」
そんな期待を込めて、ほかの人のまねばかりしていませんか?

高橋さんは、他人の英語学習法をひたすらまねるのは非効率だと断言しています。というのも、第三者と自分が抱える学習上の課題は違うから。

英語力を鍛えるには、段階的なステップを踏むことが欠かせません。たとえ良い学習法があり、誰かがその方法で成功を収めていたとしても、その人と自分が、異なるフェーズにいて異なる課題を抱えていたら、学習法をそっくりそのまままねすることに何の意味もありません。

前出の田浦教授は、第二言語習得研究の研究成果を踏まえ、こう語っています。

第二言語習得研究でわかっていることは、「この方法でトレーニングすれば、誰でもすぐに英語ができるようになる」というようなお手軽なメソッドのようなものではありません。

英語力の向上のためには、「現在の英語力はこんな風で、目的はこんなこと、そのためにはこの方法が最も効果が上がるだろう」という、とても個別的なものです。

(引用元:田浦秀幸(2016),『科学的トレーニングで英語力は伸ばせる!』, マイナビ出版. ※太字は筆者が施した)

解決しなければならない課題は、ひとりひとり違います。他人にとって効果のあった学習法が、今のあなたに最適なやり方だという保証はどこにもありません。学習のフェーズや課題の違いを無視して、ほかの人の学習法をひたすらまねるのは、非効率だと言えるでしょう。

絶対やるな! 残念な英語力学習者が陥る4つのワナ4

【これで解決】レベル別に正しい学習法を知ろう

4つのありがちな英語学習の進め方、あなたに当てはまるものはありましたか?

やみくもに勉強を進めても、今の自分に合っている学習法でなければ、大きな効果は得られません。効率よく英語を身につけるには、科学的な知見に基づいた正しい順序で、それぞれの課題に合った正しいトレーニングを行なうことが大切なのです。

それでは、今のあなたに最適な学習法とは何でしょうか?

TOEIC500点未満の初心者、TOEIC500〜700点の中級者、700点以上の上級者に分けて、それぞれ適した英語学習法をご紹介した約7分間の動画がありますので、ぜひご覧ください!



英語のプロトレーナー・高橋さんによる解説で、今のあなたに必要なことが見えてくるはずですよ。

YouTube「時吉秀弥のイングリッシュカンパニーch」では、ほかにも英語学習中の皆さんを応援するためのお役立ちコンテンツを豊富にご用意しています。ぜひチャンネル登録をお願いします!

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せっかく頑張って勉強しても、身にならなければ、もったいない! 「やったつもり」で終わらせないよう、今のあなたに合った学習法を実践してみませんか。

学習者の課題は人それぞれ。YouTube「時吉秀弥のイングリッシュカンパニーch」では、レベル別・スキル別に効果的な英語の学び方をたくさん配信しているので、ぜひ参考にしてくださいね。



参考資料
門田修平(2015),『英語上達12のポイント』, コスモピア.
白井恭弘(2004),『外国語学習に成功する人、しない人』, 岩波書店.
村野井仁(2006),『第二言語習得研究から見た効果的な英語学習法・指導法』, 大修館書店.
田浦秀幸(2016),『科学的トレーニングで英語力は伸ばせる!』, マイナビ出版.
石田淳(2013),『人生を変える行動科学セルフマネジメント―自分を変化させるたったひとつの方法』, 大和書房.
石田淳(2011),『新版「続ける」技術』, フォレスト出版.
石田淳(2016),『まんがで身につく 続ける技術』, あさ出版.
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