「英語を読むのが遅い人」が知らないリーディングのコツ。厄介な “返り読み” のクセ、どうすれば防げる?

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「リーディングテストの問題が時間内に解き終わらない」
「英文を読むのに時間がかかりすぎる」

そんな悩みはありませんか。TOEICなどの資格試験やビジネスにおいては、限られた時間のなかで大量の英文を処理していく場面が頻繁にあります。どうしたら英語を読むスピードを上げられるのでしょうか。

今回は、英文の読解スピードが遅くなる根本の原因と、その解決策をご紹介します。

「返り読み」の罠

英文の読解スピードが遅くなる一番の原因は「返り読み」。「返り読み」とは、英文に一度最後まで目を通してから訳し上げていく読み方のことです。文法や語彙の基本的な知識はあるものの、学校教育で「長文をどうきれいな日本語で訳すか」という訳読中心主義のアプローチを受けてきた学習者が陥りがちな傾向があります。

英語と日本語は、語順が異なる言語。きれいな日本語に訳そうとすると、英文を行ったり来たりすることになるため、読むスピードが遅くなってしまうのです。ですから、読むスピードを速くするには、英文の語順で頭から理解する読み方をしなければなりません。

こうした読み方は一見複雑そうに感じるかもしれませんが、とある「コツ」をつかめば、簡単に習得できますよ。その「コツ」が、次からご紹介する「チャンクリーディング」です。

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「チャンクリーディング」のメリット

チャンクリーディングとは、一文ごとにきれいに訳しながら読むのではなく、チャンク(文のなかの意味のかたまり)ごとに順番に処理していく読み方。瞬時に英文の意味の切れ目を見つけて、チャンクごとに情景を思い浮かべながらスピーディーに読んでいきます。チャンクリーディングをすることで、どんな複雑な文でも返り読みせずに、頭から順番に理解できますよ。

下記の英文は、アップル社創業者スティーブ・ジョブス氏が行なった有名な卒業式スピーチの冒頭文です。

I am honored to be with you today at your commencement from one of the finest universities in the world.

この英文をチャンクで区切ると、次のようになります。

I am honored /
私は誇りに思います

to be with you today /
今日みなさんと一緒にいることを

at your commencement /
卒業式に

from one of the finest universities /
最も優れた大学のひとつである

in the world.
世界で

最初に比べるとだいぶ読みやすくなりましたね。区切れる箇所は、関係代名詞や前置詞、接続詞の前、長い主語のあとなどがありますが、絶対のルールではありません。おおよそのルールを把握して、意味重視で区切ることを意識しましょう。

内容を理解したら、チャンクを高速で日本語に置き換える「サイトトランスレーション」が効果的。チャンクごとに瞬時に意味を思い浮かべてみることで、知らない語彙や不足している文法をチェック可能です。プロの通訳も実践しているトレーニングでもあります。きれいに訳すというよりは、すばやさが重要です。

チャンクリーディングで読解スピードが向上したという研究報告もあります。東洋大学の湯舟英一教授らは、同等の読解力をもつ大学1年生を、チャンク区切りの指導を行なったクラス(実験群)20名とそうでないクラス(統制群)20名に分け、4か月の読解スコアと読解速度の変化を調査しました。結果、実験群のグループは、読解テストの平均点と読解スピードが約10%向上。一方、統制群のグループの平均点と読解スピードに大きな向上は見られませんでした。

長文でつい返り読みをしてしまう人は、頭からチャンクごとに理解していく習慣を今日から身につけましょう。

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なぜ「音読」で読解スピードが上がるのか

チャンクごとに意味内容を理解したら、今度は「音読」。音読は、読解スピードを上げる際に最も効果を発揮します。

文章を読むとき、脳内で行なわれているのは「ディコーディング」(文字を音声情報に置き換えること)→「理解」という処理。音読は、脳内で置き換えた音を実際に声に出すため、黙読よりも高い負荷がかかります。しかし、音読練習の繰り返しで、無意識に音に置き換えられる状態になると、ディコーディングにかかる脳内の認知資源の消費量が減少。すると「ディコーディング」と「理解」の処理プロセスがスムーズになり、脳のワーキングメモリ(作業記憶)に大きな負荷をかけることなく、内容をすばやく理解できるのです。

過去の研究から、チャンクリーディングと音読の組み合わせが読解スピードに効果をもたらすことが明らかになっています。前出の湯舟教授によると、TOEIC350点程度の大学1年生56名に、チャンクリーディングと音読を組み合わせた授業を4か月実施した結果、読解テストの平均点が20%向上、1分あたりの読解スピードが約96語から約105語に増えたとのこと。読解スピードを上げるうえで、音読は欠かせない要素のひとつなのです。

注意すべき点は、内容をしっかり把握した状態で音読練習に入ること。カナダのコンコーディア大学のノーマン・セガロウィッツ教授は、何も意味を考えずに機械的に音読練習しても、発音が自動化されるだけと語ります。前からスムーズに英文の内容を把握できるという本来の音読の効果が薄れてしまうのです。よって、チャンクごとに情景を思い浮かべながら音読するように意識しましょう

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目指すべき読解スピードとおすすめの教材 

読解スピードの向上に効果のある、チャンクリーディングと音読。速く読めるようにするとはいえ、どれくらいのスピードを目指せばよいのか、疑問に思いますよね。また、読むスピードを上げるのに最適な教材はあるのでしょうか。

その疑問の答えは、時短型英語ジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」でトレーナーとして活躍する “英語の専門家” 伊丸岡咲乃さんが、以下の約5分の動画でわかりやすく解説しています。伊丸岡さんおすすめの勉強法や教材も紹介されていますよ。ぜひチェックしてみてください。

  • 英文を読むのが遅い人の特徴
  • 返り読みしないためのコツ
  • さらに英文を速く読むためのコツ
  • TOEICで必要な読解スピード
  • おすすめの勉強法
  • おすすめの教材

***
英文を読むスピードは、適切な読み方と勉強法をものにすれば、確実に上がります。今回の記事と動画を、時間内に読解テストを終えるスキル、仕事の効率を上げるスキルなどの習得に、ぜひご活用ください!

監修:StudyHacker ENGLISH COMPANY

(参考)
StudyHacker ENGLISH COMPANY 著, ナナトエリ 作画(2018),『マンガでわかる 最速最短! 英語学習マップ』, セブン&アイ出版.
English Hub|英語コーチングのプロに聞く!英語学習の悩みタイプ別・処方箋【リーディング編】
湯舟英一・神田明延・田渕龍二(2009), 「CALL によるチャンク提示法を用いた英文速読訓練の学習効果」, 外国語教育メディア学会機関誌, Vol.46, pp.247-262.
STUDY HACKER|英語音読の効果を最大限に引き出す練習方法【英文つき】
湯舟英一(2012), 「チャンク音読とシャドーイングのための Web 教材の開発」, 東洋大学人間科学総合研究所紀要, Vol.14, pp.83-94.
Newsweek|ビジネス英語の科学ーグローバル化する職場の最前線で即戦力になる英語力の伸ばし方

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