英語音読の効果を最大限に引き出す練習方法【英文つき】

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英語学習を効果的に進めるために「音読」が注目されているのをご存じですか? 中学校や高校、大学だけでなく、塾や予備校、社内研修などでも、音読が取り入れられているようです。

「昔、学校で音読をしていたけど、効果が感じられなかった……」という方は、もしかしたら間違えた方法で音読練習をしていたのかもしれません。正しいやり方で英語の音読練習をすれば、確実に英語力がアップします! リーディングスピードが上がり、リスニング力も向上と、音読にはメリットしかないのです。

今回は、第二言語習得研究の知見に基づいた、最も効果的な英語音読の方法を、ステップごとに詳しく紹介します。

英語の音読「効果ない」はウソ

第二言語習得研究が専門の関西学院大学院・門田修平教授は、著書『音読で外国語が話せるようになる科学』のなかで、英語音読について「ただ読むだけでは効果なし」と言っています。科学的に正しい音読トレーニングをしてこそ、英語力が伸びていくのだそう。

英語の音読について「効果がない」と思っていた人は、もしかしたら以下のような間違えた方法で練習をしていたのかもしれません。

  • 難しい英文を音読
  • 頭のなかで日本語に訳しながら読んでいる
  • 正しい発音を聞いていない

音読の効果的な学習方法を知り、正しい音読練習をすれば、必ず英語力はアップします。

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効果的な英語音読のメリット

効果的な英語の音読で得られるメリットについて考えてみましょう。音読練習をすることで、どんな力が一番向上すると思いますか?

じつは、意外なことに「リーディングスピード」なのです。音読でリーディングが速くなる!? 「なるほど!」と感じた方は、すばらしい。「えー!」と思った方、その科学的理論を知れば納得するはずですよ。

1. リーディングスピードが向上する

音読練習によって最も効果が出るのは、「リーディングスピードの速さ」です。人間は黙読するときでも心の中で文章を音声化しながら読んでいるので、音読がスムーズにできるようになれば必然的に黙読も速くなります。

第二言語習得研究の知見に基づく科学的トレーニングを提供する英語のパーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」のトレーナー・林さんは、人が文章を読むときのメカニズムについて以下のように話しています。

人が文章を読むときには、まず「眼球停留」といって、眼球が一箇所にとどまって文字や単語を知覚しますね。そして、その文字を頭の中で音に変えます。この音声化のことを「音韻符号化」というのです。こうして文字情報をいちど音声情報に変えたあと、心内辞書(メンタルレキシコン)と呼ばれる頭のなかの「辞書」にアクセスして意味を認識します。

(引用元:STUDY HACKER|英語を読むスピードを上げるためにプロトレーナーが取った戦略は「音読」だった。科学的理論に基づくパーソナルトレーニング体験談。

実際に声に出していなくても、頭の中で、文字を音に変換したうえで、理解するというプロセス(音韻符号化)を踏んでいるのです。ただ、黙読するとき、私たちはすべての文字を音にしているわけではありません。しかし音読をするときは、すべての文字を音声情報にしなければいけません。

音読は、音声情報に変換する文字が多いぶん、黙読に比べると負荷が高いトレーニングになります。音読練習を重ねると、文字を音にするプロセスがスムーズになるので、リーディングスピードが向上するのです。

2. リスニング力がアップする

正しい音読練習を続けると、内容をすばやく理解できるようになり、リスニング力がアップします。

「短い英文なら聞き取れるけど、まとまった長さのリスニングになると内容を理解できない」という人は、きれいに和訳しながら英文を理解する“返り読み”の癖があるようです。返り読みをしてしまうと英語を頭から瞬時に処理できません。

英文を頭から意味のかたまり(チャンク)ごとにイメージしながら音読練習をすることで、「英語の語順で理解すること」が可能に。英語を英語のまま理解ができるようになれば、リスニング力が格段にアップします。

3. 文法や語彙などの知識が定着する

文法や語彙など、「なんとなく覚えてはいるけれど、きちんと使えるレベルになっていない知識」が音読を繰り返すことによって記憶に定着します。

門田教授は著書『シャドーイング・音読と英語コミュニケーションの科学』のなかで、音読による語彙・文法の定着効果を調べた2005年の調査を紹介しています。日本人高校生に、内容理解を終えた英文を1回5分間、3週間音読をさせたところ、以下のような結果が出たそうです。

その結果、毎回、既習の課の音読を行うことで、3週間後には、英語学力の上位・中位・下位を問わず、大きく成績を伸ばしていることがわかります。これは、短時間の音読の繰り返し練習により、英文が暗誦状態に近づき、その結果使える語彙や構文の内在化に成功し、コミュニケーション活動がうまく行えるようになることを示しています。

(引用元:門田修平(2015),『シャドーイング・音読と英語コミュニケーションの科学』, コスモピア. ※太字による強調は編集部が施した)

英語音読は、リーディング力やリスニング力だけでなく、文法や語彙などの記憶の定着にも効果があるのです。

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効果が最大になる! 英語音読の学習方法

英語音読の効果を最大にするためのやり方をご紹介します。STEP1~5のやり方は、すべて第二言語習得研究に基づいた内容です。音読の効果を十分に得るため、ぜひ実践してみてくださいね。

STEP1:必ず「音声つきの教材」を選ぶ

効果を最大限に引き出すのであれば、音読教材は、必ず音声つきの教材を選ぶようにしてください。そして、まずは音声を聞きながら英文を黙読しましょう

正しい発音がわからないまま音読を始めてしまうと、自己流の発音を覚えてしまったり、間違えたままの発音で音読練習を続けてしまうことになり、音読の効果が下がってしまいます。

教材のレベルは、簡単すぎず、でも難しすぎない、知らない単語や文法がほんの少し含まれているものがよいでしょう。教材選びで、学習効果が違ってくるなんて驚きですね。

STEP2:文法や単語などはすべて理解しておく

英文の内容を理解していないと、音読効果が薄れてしまいます。文法や単語などを定着させるためにも、必ず内容を理解したうえで音読トレーニングをスタートしてください。

選んだ教材に知らない単語や文法がある場合は、意味を調べたり、訳を確認したりして、内容をしっかりイメージできるようにしておきましょう。

STEP3:チャンクごとに意味内容を思い浮かべながら音読する

音読するときは、英文を頭から意味のかたまり(チャンク)ごとにイメージしながら読みましょう。イメージといっても、日本語訳を思い浮かべるということではありません。

そのチャンクの情景をイメージしたり、自分が話し手になって情報を伝えたりするつもりで読んでみてください。テレビレポーターなどになりきって音読してみると、チャンクごとの意味内容を思い浮かべやすくなります。

チャンクの切り方に絶対ルールはありません。おおまかなルールとしては、関係代名詞や前置詞、接続詞の前、長い主語のあとなどですが、あまり神経質にならなくても大丈夫です。また、脳は5~9語くらいまでのチャンクであれば一度に処理できるとされているので、チャンクを切るときの目安としてみてください。

チャンクで切る音読練習を続けると、行ったり来たりしない読み方が身につきます。英文の内容を英語のまま、頭からイメージできるようになるので、リスニング力アップにもつながりますね。

STEP4:「サイトトランスレーション」を取り入れる

音読する前のウォーミングアップとして、「サイトトランスレーション」を取り入れるのもおすすめです。サイトトランスレーションとは、チャンクを見て瞬時に日本語訳を言っていくという、プロの通訳も行なっているトレーニング法

英語と日本語は語順が全然違うこともあり、チャンクごとに訳を区切ってしまうと、日本語として少し不自然な感じがしますが、気にせずに前から訳してみてください。

瞬時に訳せなかった箇所は、「瞬時に意味が引き出せるほど定着していない語彙」「文法を理解していない」など、今のご自身の課題箇所です。

では、実際にサイトトランスレーションをやってみましょう! 最初はなかなか難しいかもしれませんが、まずは感覚をつかんでみてくださいね。

Almost everyone tells a lie / at one time or another / without feeling / that he or she / has done something terribly wrong. // Many people lie / without hesitation / because they feel / that there is good reason for it. // For example, / a reporter might try to pass / as a government official / in order to get the information / for a story he or she is writing. // Doctors, too, / lie to patients sometimes / when they feel / that the truth about an illness / would be too much / for the sick person / to face. //
(1999年センター試験より一部抜粋)

ほとんど誰もが嘘をつく / 何かの折に / 感じることなく / 自分が / 何かひどく悪いことをしてしまったと。 // 多くの人が嘘をつく / ためらいなく / なぜなら彼らは思う / うそをつく十分な理由があると。 // 例えば、 / 記者は通ろうとするかもしれない / 政府の役人として / 情報を得るために / 自分が書いている記事のための。 // 医者も、 / 時々患者に嘘をつく / 思う時に / 病気についての真実が / あまりあるとき / 病人にとって / 直面するには。//

サイトトランスレーションは、毎日コツコツと続けることで効果が出てきます。何度も練習を繰り返すことで、英文の意味の切れ目がわかるようになり、リーディングスピードが格段に向上します。

STEP5:繰り返し音読する

音読スピードがゆっくりだったり、音読の途中でつっかえたりする状態では、リーディングスピードも上がりませんし、リスニングのスピードにもついていけません。

瞬時に意味を思い浮かべながら流暢に読めるようになるまで、同じ英文を使って繰り返し練習しましょう。音読だけでなく、暗唱まですれば、より効果がアップします。まずは繰り返し音読し、音読がスムーズにできるようになったら暗唱に挑戦するなど、少しずつ負荷を高めていくことが理想です。

英語音読の効果は、やり方次第――科学的なアプローチで、最大限の効果を引き出したいものです。

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英語の音読、効果が出るのはいつから

英語音読の練習を始めて、効果が出るのはいつからなのか、気になるところです。一概には言えませんが、英文を「ゆっくり読めば理解できる」から「すばやく読める」レベルを目指している方であれば、1日20~30回音読する(30分)と1ヶ月くらいで効果が出るでしょう。

「もっと効果を上げたい!」という方は、通常の音読よりも負荷の高い「高速音読トレーニング」に挑戦してみてもいいかもしれません。高速音読トレーニングは、制限時間を設定し、その時間内に読むという非常に負荷の高い音読練習です。

ネイティブスピーカーの平均音読スピードは150~170語/分と言われていますが、高速音読トレーニングでは180~200語/分くらいを目指します。使用しているデバイスの機能にもよりますが、音源の再生スピードを1.2倍速にした秒数(もしくは、再生時間×0.8)を制限時間の目安にしてみてください。

また、もっと単純に、特に制限時間を設けず、できるだけ速く読もうとするだけでも十分効果があります。ストップウォッチで音読時間を計り、毎回記録をとることで、自分の音読スピードを可視化できるでしょう。

注意点としては、正しい発音や音声変化、英語らしいリズム感、抑揚を再現できるレベルでないと、ただ早口でぐちゃぐちゃに読み上げることになってしまい、練習の意味がなくなってしまうこと。以下ふたつのことができているかどうか、確認してみてくださいね。

【プロソディーシャドーイングが楽にできている】
シャドーイングとは、音声を聞きながら1、2語遅れで音声の後を追いかける練習方法。なかでもプロソディーシャドーイングは、特に音に集中して、正確な発音を同じスピードで再現する音声認識に重点をおいたシャドーイングです。正確な発音で音源についていけていればOKレベルといえるでしょう。

【音読で音声変化や英語のリズムを再現できる】
音源の英語のリズムと同じリズムで読めており、そして、ネイティブスピーカーが英語を発音するとき、発音しやすいように微妙に違う形で発音する「音声変化」を理解し再現できていればOKです。
※音声変化の例:get it on →「ゲット・イット・オン」ではなく「ゲリロン」と発音する

音読は確実にあなたの英語力を押し上げてくれます。効果的な英語音読で、リスニング力もリーディングスピードも上げていきましょう。

英語音読の効果5

英語の音読に効果がある教材【TOEICレベル別】

自分のレベルに合わせた教材を使うことで、英語の音読効果は上がります。TOEICのレベルを目安に5つの教材をご紹介しましょう。

TOEIC~300点レベル:『基本の78パターンで 英会話フレーズ800』

実際の英会話で使える基本パターンと例文がたくさん載っています。ダウンロード可能な音声は、英語→日本語の順に再生されるので、聞き取れない単語があったとしても、日本語をいちいち確認しなくてすむでしょう。

基本の78パターンで 英会話フレーズ800

基本の78パターンで 英会話フレーズ800

 

TOEIC300~500点レベル:『速読速聴・英単語 Basic 2400 ver.3』

付属CDに収録されている音源のスピードが速すぎないので、英語学習初心者に向いています。単語帳ですが、短い日常会話や、手紙や日記、記事などのトピックに沿った英文も多く、この1冊で中学レベルの語彙&文法を総復習できるといえるでしょう。

TOEIC500~700点レベル:『音読して楽しむ名作英文』

無料アプリ「ALCO」から音声をダウンロード後、『赤毛のアン』『ハムレット』など、24作品の名作英文を楽しむことができます。プロのナレーターが感情を込めて読んでいるので、まねして読んでみてはいかがでしょう。

音読して楽しむ名作英文 (アルク・ライブラリー)

音読して楽しむ名作英文 (アルク・ライブラリー)

  • 作者:安井 京子
  • 発売日: 2017/10/24
  • メディア: 単行本
 

TOEIC700~850点レベル:「Digital Cast」

英語学習に最適な動画を幅広く紹介している「Digital Cast」。そのなかでも、中級レベル以上の方に特におすすめしたいのが、「TED日本語」コーナー。TEDトークのスクリプトを英語、日本語どちらでも読むことができるので、意味の確認がしやすく、ストレスなく音読学習に取り組めるはずです。

TOEIC850点~レベル:「ESL bits」

非常にたくさんの洋書やTEDトークのスクリプトが読める英語サイト「ESL bits」は、質の高いオーディオブックを無料で聴くこともできます。再生速度も0.65~1.25倍速まで13段階もあるので、上級者の音読練習に向いている教材といえるでしょう。日本語ではなく、オール英語のサイトですが、無料で音読効果が得られるのは嬉しいですね。

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第二言語習得研究を取り入れた音読であれば、英語学習に効果が出るということがわかりました。「ただ読むだけ」「とりあえず音読」では、いつまで経っても英語の力はつきません。効果を最大限に引き出す音読練習で、英語学習の質を上げていきましょう。

監修:StudyHacker ENGLISH COMPANY

(参考)
StudyHacker ENGLISH COMPANY(2020),『5つの音声変化がわかれば英語はみるみる聞き取れる』, マイナビ出版.
StudyHacker ENGLISH COMPANY著, ナナトエリ作画(2018),『マンガでわかる 最速最短! 英語学習マップ』, セブン&アイ出版.
門田修平(2015),『シャドーイング・音読と英語コミュニケーションの科学』, コスモピア.
廣森友人(2015),『英語学習のメカニズム:第二言語習得研究にもとづく効果的な勉強法』, 大修館書店.
大学受験ハッカー|サイトトランスレーション
STUDY HACKER|英語を読むスピードを上げるためにプロトレーナーが取った戦略は「音読」だった。科学的理論に基づくパーソナルトレーニング体験談。

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