英語学習法「多読」には2つの重要ポイントがあった! 単にたくさん読めばいいわけじゃない
みなさんは「多読」を英語学習に取り入れていますか? 多読とは、辞書に頼らずに、題材を楽しみながら大量に読むこと。多読には、語彙力はもちろん、リーディングやリスニングのスキルを高める効果もあるため、総合的な英語力の向上が期待できますよ。
英語パーソナルジム「ENGLISH COMPANY」が、多読が私たちにもたらしてくれるメリットと、学習効果をより高めるためのふたつのポイントについて説明します。
多読のメリット
なぜ多読が、総合的な英語力向上に役立つのでしょうか。第二言語習得研究(母語以外の言語を身につけるプロセスやメカニズムを扱う学問)の知見によれば、その理由は、言語習得のうえでは「大量のインプット(リスニング、リーディング)と少量のアウトプット(スピーキング、ライティング)」のバランスが最も効率的とされているから。
第二言語習得研究では、受容知識の一部が産出知識に転化されると言われています。受容知識とは、インプットしたときに理解できる言語知識のこと。産出知識は、アウトプットするときに自分で使える言語知識のことです。十分な受容知識がないと、正確で流暢なアウトプットはできません。よって、十分なインプットで知識を蓄えるのを優先することが、効率的な言語習得につながるのです。
とはいえ、日常で大量に英語をインプットできる機会は、日本では非常にまれ。そんな状況でも、大量のインプットを与えてくれる多読は、効果的な言語習得を促せる学習方法なのです。
英語教授法を専門とする高瀬敦子氏は、多読が資格試験に肯定的な結果を及ぼしていると述べます。その一例が、豊田高専の西澤一教授らが実施した研究報告です。それによると、5年間の長期的な多読の実施で、1クラス20名のTOEICスコアの平均が470点から572点まで伸びたとのこと。かつ、実施前にクラスの約半数を占めていた450点未満の人数が、ゼロになったそうです。
高瀬氏は、多読でリーディングスピードが向上したため、時間内にリーディングセクションを読みきれるようになったことが一因と分析しています。また、多読を通して英文を頭から読み進める習慣が身についたため、リスニングの際にも頭から理解できるようになり、リスニングスコアの向上にも寄与したとのこと。
言語習得に必要な大量のインプットを与え、かつ英語力向上にも効果のある多読。ただ、いくら多読が効果的といっても、表紙やタイトルの雰囲気、流行だけで読み物を選ぶのはおすすめできません。「読んでいる内容が全然理解できない」「話が長すぎて飽きた」と挫折しやすくなるためです。
いったい、どのような読み物を選ぶのが効果的なのでしょうか。ポイントは次の2点です。
- 英語のまま理解できる読み物を選ぶ
- 興味のもてる読み物を選ぶ
1. 英語のまま理解できる読み物を選ぶ
多読では、わからない単語があっても、日本語訳に頼らず英語のまま読み進めるのが大切になってきます。わからない単語を見つけるたびに意味を確認していると、その単語で止まってしまう癖が。読むスピードが遅くなるほか、話の流れが追えなくなる可能性もあります。
そこで重要なのが、やさしめの読み物を選ぶこと。国際多読教育学会の調べでは、学習者が1ページのなかで単語を98%理解できれば、速く、高い理解度で英文を読むことができるそうです。一方、理解できる語が90%に満たないと、辞書を引く頻度が多くなるとのこと。その結果、読書中にストレスが高まり、読解スピードや内容理解に支障をきたすそうです。
関西学院大学の門田修平教授は、適切なレベルかつ大量のインプットを提供できる状況を、英語学習を成功に導くポイントとして挙げています。門田教授いわく、多読はやさしめのストーリーを大量に読むのが目的であるため、最適なレベルは、学習者の現在の学力よりも下の教材とのこと。たとえば、「グレイデッドリーダー」と呼ばれる、ネイティブの子ども向け絵本や児童書など、もとの物語をやさしく書き直した段階別読み物を使って行なうのが一般的だそうです。
多読で何度も辞書を引き、話の流れが止まってしまう傾向のある人は、その読み物自体が難しすぎる可能性が。英語のまま内容を理解するには、辞書を使う必要のないくらいやさしい読み物を選んで、英語で理解するハードルを低くするのがポイントです。仮にわからない箇所を読み飛ばしたとしても内容を把握できるような、簡単な読み物を選びましょう。
2. 興味のもてる読み物を選ぶ
もうひとつ大切なポイントが、興味のもてる読み物を選ぶこと。その読み物が、自分の興味や好きなジャンル、専門分野と関連があるほど効果的です。
立命館大学の田浦秀幸教授は、自分の興味や分野に基づいているほど、動機づけにつながると述べます。読み物には、小説やノンフィクション、ニュース記事、コラムなどさまざまなジャンルがありますね。そのなかの得意なジャンルから読み進めるのもひとつの手法です。また、自分が昔読んでいた、翻訳版の洋書に挑戦してみるのもよいでしょう。
さらに田浦教授は、背景知識のある読み物をすすめています。知らない表現が出てきても、背景知識や専門知識で内容理解を補うことができるためだそう。ある程度背景知識のある、日本の時事問題や文化を扱っている英文記事や、自分がよく知っている分野の英文雑誌から読み始めるのもよいですね。
読んでいて飽きてしまったら、すぐに次の読み物に切り替えるのも大事。前出の門田教授は、多読はストーリーを楽しみながら内容を理解する学習法であるため、つまらなければ読むのをいったんやめて、新しい読み物を選ぶことをすすめています。
試しに読んでみて、自分自身が心からおもしろそう、好奇心がもてそうと思える読み物を選ぶのが、楽しく多読を続けられるコツなのです。
英文の意味検索が瞬時に! Mouse Dictionaryの活用法
いまや、インターネットのニュース記事やSNSの投稿などを、多読の教材として活用できる機会が増えましたね。しかし、どんなに簡単なレベルの英文を選んでも、時には未知語に遭遇することもあるでしょう。その未知語がキーワードなら、余計に調べざるをえないこともあります。
ただ、本文から辞書や翻訳のサイトに切り替えてその意味を検索するのは、手間がかかりますよね。ハイライトして調べるのでさえも面倒、と感じる人もいるでしょう。
そこで、時短型英語ジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」でトレーナーとして活躍する “英語の専門家” 長束啓樹さんが一押ししているのは “Mouse Dictionary” 。 長束さんいわく、この “Mouse Dictionary” をインストールしておけば、調べたい単語の意味が瞬時に出てくるとのこと。
検索方法は、英文上で調べたい語句にカーソルを重ねるだけ。検索したい単語のコピー&ペーストすら不要です! 使い方の詳細は、以下の約6分の動画で紹介されているので、ぜひチェックしてみてください。
- Mouse Dictionaryの3つのメリット
- Mouse Dictionaryの使い方
- Mouse Dictionaryの注意点
- 多読におすすめの教材の選び方
- 意味検索のベストなタイミング
英語のプロトレーナー・長束さんの解説を聞いて、Mouse Dictionaryを活用することで、より意味検索の時短につなげることができますよ!
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多読は、自身の理解度や興味に合った教材を選ぶことで、より効果的になります。さらに今回の動画で紹介されている Mouse Dictionary を使えば、意味検索のストレスが減り、多読に集中できますよ。今回の記事と動画を参考に、さまざまな英文に触れていきましょう。