英語学習で「品詞」を意識してますか? 品詞の理解が重要な2つの理由
英文が長くなればなるほど、理解するのにどうしても時間がかかってしまうこともありますよね。そんな方におすすめなのが「品詞」の学習。「品詞」とは、名詞や動詞、形容詞といった “単語の種類” のこと。単語は品詞によって、文のなかで異なる役目を果たしています。品詞を見分けられることには、さまざまなメリットがあるのです。
英語パーソナルジム「ENGLISH COMPANY」が、「代表的な4つの品詞の働き」と「品詞を意識するメリット」をご紹介しましょう。
品詞の働き
品詞について知るためには、まず文を構成するための4つの要素を知ることが大切。英語では、以下の4つの要素から構成されます。
【主語(S)】「誰が」「何が」に相当
【述語(V)】「〜する」「〜である」などの動作や状態に相当
【目的語(O)】「誰を」「何に」など、動詞が表す動作の対象になる語
【補語(C)】主語あるいは目的語の中身を説明する語
この4つの組み合わせからできるパターンが「文型」。英語では、以下の5つのパターンで構成されます。
【第1文型】主語(S)+述語(V)
【第2文型】主語(S)+述語(V)+補語(C)
【第3文型】主語(S)+述語(V)+目的語(O)
【第4文型】主語(S)+述語(V)+目的語(O)+目的語(O)
【第5文型】主語(S)+述語(V)+目的語(O)+補語(C)
それぞれ文型のなかには、一定の役割をもつ単語が入ります。その役割を担うのが「品詞」。英語の主な4つの品詞の定義と役割がこちらです。
【名詞】事物を表す。主語もしくは目的語になれる。
【動詞】動作・作用などを表す。述語の役割を担う。
【形容詞】名詞を修飾する(ある言葉が別の言葉の様子を説明する)。補語になれる。
【副詞】名詞以外(動詞・形容詞・副詞など)を修飾する。主語・述語・目的語・補語のどれにも当てはまらない。
重要なのは、それぞれの品詞の役割。これらを理解する2つのメリットをご説明しましょう。
【メリット1】文構造の把握が可能
品詞を意識するメリットのひとつは、文構造を把握できるようになること。文が長くなるにつれて、主語の位置がどこまでかがわかりづらくなりますが、品詞がわかることで解決できます。以下の例文を見てみましょう。
【例】Morale among employees with children became significantly higher.
長めの文でも、動詞を特定できれば主語の位置が把握できます。動詞は “became” ですから、その前まで(Morale among employees with children)が文の主語です。次は形容詞 “high” の比較級 “higher” に注目しましょう。形容詞は補語になれるのですから、主語(Morale among employees with children)がどうなのかを説明していることがわかります。よって、例文の構造は以下の通り。
【主語】Morale among employees with children
【述語(動詞)】became
【補語】significantly higher.
【訳】「子どもがいる従業員の士気は著しく高くなった」
文構造が適切にとれて、意味のかたまりの区切りがわかると、リーディングスピードと意味理解の正確性を上げられますよ。
【メリット2】ライティングの正確性向上
品詞が正しく扱えるようになると、正確な文がつくれるようにもなります。みなさんは、自分の知っている単語をそのまま文に当てはめて書いていませんか? たとえば以下の一文。どこに誤りがあるのか、探してみましょう。
The government must tackle the issues of economy development.
【訳】「政府は経済発展の問題に取り組まなければならない」
誤りにすぐ気づけましたか? 誤っているのは、名詞 “economy” 。「経済」= “economy” と丸暗記して、日本語の<経済>+<発展>というイメージに引きずられたまま英訳すると、正確さを欠いてしまいます。
正しくは、形容詞 “economic”。後続の名詞 “development” を修飾しています。 このように品詞を認識していることで、文法のルールにのっとって、正しい単語の順序で文を組み立てることができるのです。
埼玉女子短期大学の山科美智子准教授は、ライティングは学習者が組み立てたセンテンスが目に見える形で示されるため、学習者の文法運用能力とその問題点が明白に表れると語ります。
品詞に関しては、本来中高の英語教育で習得しているはずの文法事項であるものの、形容詞と副詞の違いや、名詞と形容詞の区別がうまくできないのが学習者の抱える課題であるとのこと。学習者は、いつも自分が聞き慣れている、あるいは見慣れている品詞の形を基準として覚えていて、その単語の品詞を変えて使わなければいけない場合でも、自分にとって一番覚えている形をそのまま使ってしまう傾向にあるそうです。
ビジネス英語などでは、正確な文で提案資料やメールが書けるかどうかで、ビジネスパートナーとしての印象が変わってくるかもしれません。ライティングは、話すときと違って文字が消えてなくなるわけではないため、正確な文章が書けないと、相手からの信頼度に悪影響を及ぼす恐れがあります。
山科准教授いわく、品詞認識は集中的なトレーニングによって飛躍的に伸ばせるスキルであるとのこと。山科准教授は大学生28名に2か月間、品詞の働きに関する講義を実施し、ドリル演習を課しました。その効果を5~6行のライティングタスクで検証したところ、講義実施前と比べて名詞と形容詞を混同している箇所が減り、かつ誤りの指摘を受けたのちにすぐに修正することができたそうです。
このように、品詞を意識することが正確な英文を書くスキルにつながりますよ。
品詞を学ぶポイント
文章を正確に理解でき、書けるようにする品詞の知識。具体的に品詞を覚えるコツは、果たしてあるのでしょうか。
そのコツは、時短型英語ジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」でトレーナーとして活躍する “英語の専門家” 伊丸岡咲乃さんが、以下の約7分の動画でわかりやすく解説しています。品詞判別トレーニングにおすすめの教材も紹介されていますよ。ぜひチェックしてみてください。
- 品詞、文型とは
- 品詞と文型を学ぶべき理由
- 品詞を覚えるコツ
- おすすめの教材
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品詞を意識して単語を覚えることで、正しくスムーズに文構造を把握できるため、読解スキルそのものを鍛えることができますよ。また、品詞を意識して正確な文章が書けると、より洗練された英文という印象を相手に与えられるはず。ぜひ品詞の働きと見分け方を区別して、英文の読み書きの正確性を飛躍的に上げていきましょう。