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不可算名詞の正しい覚え方があった!「数えられない名詞」の本当の意味

不可算名詞の正しい覚え方があった!「数えられない名詞」の本当の意味

「不可算名詞がどうも苦手」
「不可算名詞の特徴がわからない......」
「なんで数えられる『チョーク』が不可算名詞になるの?」

そんな悩みや疑問をもっていませんか。日本語は可算名詞か不可算名詞かを言語上で区別はしないため、不可算名詞かどうかを見極めるのは一見難しそうですね。しかし、ネイティブの文法感覚で世界をとらえていく「認知文法」のアプローチで理解すると、簡単に区別しやすくなります。

今回は、英語パーソナルジム「ENGLISH COMPANY」が得意とする認知文法のアプローチを使って、「不可算名詞」の本質や「不可算名詞」の覚え方を例文とあわせて見ていきましょう。



不可算名詞とは

不可算名詞は一般的には「固有名詞以外の普通名詞のなかで数えられない名詞」と教わります。不可算名詞に属するのは大きく分けて以下の2種類。

  • 「物質名詞」:物質の名で一定の形や区切りがないもの
    例:ice「氷」water「水」paper「紙」chalk「チョーク」など
  • 「抽象名詞」:具体的な形のない抽象的な概念の名
    例:love「愛」music「音楽」knowledge「知識」difficulty「困難」など

不可算名詞には複数形がなく、単数扱いになり、現在時制の場合、動詞に三人称単数現在(三単現)のsが必要です。

不可算名詞の量を数えるには、形や容器を示す語を不可算名詞の前につけなければなりません。主な数え方は以下のとおり。

【形、形状を示す語が前に来る】
例:a slice of bread「パン一枚」 two sheets of paper「紙二枚」

【容器を示す語が前に来る】
例:a glass of wine「ワイン一杯」 two cups of coffee「コーヒー二杯」 

【その他】
例:a piece of advice「アドバイスひとつ」 a piece of news「ひとつの知らせ」


以上が不可算名詞の主なルールです。

不可算名詞の覚え方はある?

不可算名詞の見分け方

不可算名詞をリスト化して丸暗記する覚え方をしてきた方もいるかもしれません。しかしじつは、もっと簡単な覚え方があります。不可算名詞を覚えるコツは、「数えられる」か「数えられない」かを丸暗記するのではありません。人間がその名詞を「形」か「材質」のどちらで認識しているのかを知ることです。

日本語と英語の世界では、「数えられない」という言語上の定義が微妙に異なります。英語の世界だと、「数えられる」名詞は、これ以上バラバラにしたら、それと呼べなくなる形をもつもの。つまり「形」として認識できる名詞です。一方、「数えられない」名詞は、いくらバラバラにしても「それ」と呼べ、どこを取っても同じという「同質性」があるのが特徴。形ではなく、「材質・性質」として認識できる名詞です。よって、「形」として認識できる名詞が「可算名詞」、「材質・性質」として認識できる名詞が「不可算名詞」という覚え方をすれば、スムーズに見分けがつきやすくなります。

先ほどの「不可算名詞の種類」で見た「物質名詞」の例を使って、上記の覚え方ができるか確かめてみましょう。物質名詞の場合、氷をいくら砕いたり、チョークをいくら折ったり、紙をいくらちぎったりしても、私たちは「氷(ice)」「チョーク(chalk)」「紙(paper)」とそれぞれ呼べますね。物質名詞を「材質」として認識しているのが理由です。また、そのもののどこを切り取っても同じ性質をもつという「同質性」も共通しています。

次に、机やスマートフォンを粉々に砕く様子をイメージしてみてください。バラバラに砕かれたものは、もはや「机」や「スマートフォン」とそれぞれ呼ぶことはできません。英語の世界だと「可算名詞」は、丸ごとひとつの「形」として認識でき、バラバラにしたら「それ」と呼べない名詞を指しているのです。「可算名詞」には「a」をつけることができますが、これは「ある形が丸ごとひとつ存在する」ことを表します。また、複数形の-sをつけることで「同じ形が複数存在している」ことを表すことができます。

対して「材質・性質」として認識される不可算名詞は、そもそもはっきりした形を持っていないため、「ある形が丸ごとひとつ存在する」意味をもつ「a」や、「同じ形が複数存在している」ことを指す複数形語尾をつけません。そのため不可算名詞は、「paper」「ice」のように「a」や複数形語尾をつけない「裸の名詞」なのです。

まぎらわしい不可算名詞

不可算名詞が「材質・性質」として認識できることがわかれば、次のような名詞がなぜ不可算名詞になるのかが見えてきます。

1.「baggage」

「荷物」を意味する「baggage」や「luggage」は不可算名詞で、「a baggage」や「three luggages」などとはしません。なぜなら、「荷物」単体を明確な「形」として想起できないからです。たとえば、「suitcase(スーツケース)」や「bag(カバン)」は具体的な物の形がイメージできますが、そういったものを思い浮かべることなく、「荷物」をイメージしてください、と言われると難しいはず。つまり「baggage」や「luggage」は「移動するときに持ち運ぶ物」という「性質」として認識されるため、不可算名詞なのです。対して、「suitcase(スーツケース)」や「bag(カバン)」などは可算名詞に属し、「a suitcase」「three bags」のように表します。  

2.「homework」

次に「homework(宿題)」と聞いて、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか。「問題集」を思い浮かべる人もいれば、「レポート」を思い浮かべるかもしれません。しかし、「宿題」そのものははっきりとイメージできないですよね。これは私たちが「homework」を「教師が生徒に家で取り組ませるもの」という「性質」としてとらえているということ。よって、「homework」は不可算名詞に属し、具体的な「形」として認識できる「問題集(a workbook)」や「レポート(a report)」は可算名詞に属しているのです。

3.「furniture」

「furniture(家具)」も、まぎらわしい不可算名詞のひとつ。「家具」に属している「table(テーブル)」や「desk(机)」、「chair(椅子)」などは「形」が認識できる可算名詞ですが、「furniture」ははっきりとした「形」として認識することはできません。「furniture」は、「生活のために家に備えるもの」という性質で構成されたグループとして認識される言葉。よって、「furniture」は不可算名詞なのです。

4.「cutlery」

「cutlery(刃物類、食卓用金物)」も不可算名詞に属する単語。英語ネイティブは「cutlery」を「食卓で使う刃物や金物」という性質でまとめられたグループとしてとらえています。一方、「cutlery」に属する「knife(ナイフ)」「fork(フォーク)」「spoon(スプーン)」などは、具体的な「形」として認識されます。よって、「cutlery」は不可算名詞、「knife」などは可算名詞なのです。

不可算名詞にも可算名詞にもなる名詞の例

英語には、話し手がものをどう認識しているかによって、不可算名詞にも可算名詞にもなる例が存在します。可算名詞として使うか不可算名詞として使うかによって、相手に伝わるイメージが異なるため、正確な使い分けが必要です。主な例を見ていきましょう。

1.「fish」と「a fish」

「fish」は可算名詞と不可算名詞、どちらとしても使える名詞です。

「魚の肉」としての「fish」は、形をどれだけバラバラにして、切り身にしたりすり身にしても「魚」と呼べますね。この場合の「魚」というのは、どの部分を切り取っても「魚」と呼べる同質性をもっているので、この「fish」は不可算名詞として使われるのです。

ですから、魚の切り身などを食べたということを伝えたいのであれば、「I ate some fish.(魚を食べた)」というような言い方ができます。

対して、「fish」を可算名詞として使い、「a fish」とするとどうでしょうか。aは先ほども述べたとおり、「ひとつの形が丸ごと存在する」ことを表すので、「魚丸ごと一匹」というイメージになります。そのため、「I ate a fish.」と言えば、切り身やすり身ではなく、魚丸ごと一匹を食べた、というイメージが伝わるわけです。また「a fish」と言えば、英語の文脈では食べ物としてではなく生き物としての「魚一匹」を表すことがよくあります。単に「魚を食べる」だけなら不可算名詞の「eat some fish」が普通です。

2.「food」と「a food」

「food」も不可算名詞として使うか、可算名詞として使うかによって意味合いが微妙に異なります。不可算名詞「food」は、漠然とした「食料」「料理」のこと。個々の食べ物の種類を具体的にイメージするのではなく「食用にするもの」という「性質」として認識していることになります。対して「a food」は、ランダムにひとつ取り出した「ある1種類の食べ物」という意味。具体的な種類や形としての「食べ物」を指し示すときに使います。

以下にあるふたつの例文を比較してみましょう。

  1. I love Japanese food.「私は日本食が好きです」
  2. I love a Japanese food.「私はとある日本食が好きです」 

1の「Japanese food」は具体的な「日本食」を何かひとつ思い浮かべているわけではなく、「日本食」全般を漠然と指しています。一方2の「a Japanese food」は、おにぎりやそばなどのさまざまな種類の「日本食」からランダムにひとつの種類の日本食を取り出しているようなイメージです。聞き手は「で、それはどんな日本食なの?」と具体的な名前を聞きたくなるはず。話し手が個々の種類、形として認識している場合は、可算名詞になりやすい傾向があります。

3.「egg」と「an egg」

次のふたつの例文を見てみましょう。「卵がTシャツについた」と言いたいとき、正しいのは1と2のどちらでしょうか。

  1. I got an egg on my T-shirt.
  2. I got some egg on my T-shirt.

「『卵』は数えられるから、『egg』は可算名詞。だから正しいのは1」と思うかもしれません。じつは正しいのは2。Tシャツについているのは「丸ごと1個の卵」ではなくて、「卵のかけら、卵液」のはず。不可算名詞としての卵は形が崩れてスクランブルエッグになっても「卵」と呼ぶことはできますね。よって、正しいのは不可算名詞の「some egg」。一方可算名詞としての「an egg」は、「丸ごと1個の卵」という意味。1は「卵が丸ごと1個Tシャツにくっついた」ような意味合いです。

4.「機能」を示す不可算名詞

「私は電車で通学している」を英文にすると「I go to school by train.」ですね。では、本来数えられるはずの「school(学校)」や「train(電車)」に、なぜ「a」がつかないのでしょうか。

この答えも英語ネイティブが「形」か「性質」のどちらで認識しているかがヒントになります。「a」のつかない「school」は、「学校」という建物の「形」に注目しているのではなく、「勉強する場所」という「性質・機能」を指しているのです。同じく「a」のない「train」は、「電車」の車両という「形」に焦点があてられているのではなく、目的地へ移動する手段としての「機能」に着目していることになります。

では「I go to a school.」だとどのような意味になるでしょう。この「a school」はランダムにひとつ取り出した「学校」の校舎そのもので、目的地として「とある学校に行く」という意味で、「勉強をする場所」としての機能を指すわけではありません。よって、「通学している」という意味としては不自然になるわけですね。

以上の例のように、名詞そのものに可算名詞、不可算名詞の区別があるわけではなく、人がものをどう見るかが名詞の可算不可算を決めるのです。よって、可算名詞や不可算名詞をリスト化して覚えるのは非効率的。むしろ、それぞれの状況や文脈で人がその名詞を「形」か「材質・性質」のどちらで認識しているかによって、可算名詞か不可算名詞かが決まると考えましょう。

不可算名詞を根本から理解できる方法

不可算名詞を根本から理解するためには、ネイティブの文法感覚をつかむことが重要。今回、英語パーソナルジムENGLISH COMPANYを運営する株式会社スタディーハッカーより、ネイティブの文法感覚を通して、不可算名詞をはじめとする名詞の使い方を理解できる講座がオンライン学習プラットフォームUdemyにて登場しました。タイトルは「ネイティブの気持ちをハックしろ!認知文法に基づく英語学習 英文法HACKER【名詞編】」。

英文法書としては異例の8万部を超えるベストセラーとなった『英文法の鬼100則』(明日香出版社)などの著者である時吉秀弥氏が、不可算名詞だけでなく、日本人にとって厄介な冠詞「a」や「the」の正体や、「all」「every」「any」の使い分け、「others」「another」「the others」の使い分けなどを豊富な例文とともに丁寧でわかりやすく解説しています。この動画を見れば、不可算名詞など名詞に関する文法上の疑問が解決できること間違いなしです。

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不可算名詞のもつ「数えられない」感覚を正しく理解することで、不可算名詞かどうかの見分けがつきやすくなりますよ。今回の記事や動画を参考に不可算名詞の本質を理解することで、「a」の有無に関して悩むことが少なくなっていくはずです。



参考資料
綿貫陽, 宮川幸久, 須貝猛敏, 高松尚弘, マーク・ピーターセン(2010),『徹底例解ロイヤル英文法 改訂新版』, 旺文社.
時吉秀弥(2019),『英文法の鬼100則』, 明日香出版社.
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