英語職人・時吉秀弥の英文法最終回答 第8回「試験で使える『動詞の気持ち』」

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皆さんこんにちは。英語職人・時吉秀弥です。

これまで、英語の自動詞・他動詞の「気持ち」と、文型の「気持ち」についてお話ししてきました。今回はこれらの知識を使って、文法問題で狙われる動詞の用法を攻略していきましょう。まずは小手調べ。「 discuss の後ろにはなぜ about がつかないのか?」です。

「discuss about 話題」がダメなのはなぜ?

問. 空欄に入る適切な選択肢を選べ。

We discussed [ ] all night long.「我々はその問題について一晩中話し合った。」 a. the issue   b. on the issue   c. about the issue

ご存知の方も多いと思いますが、正解は a. the issue です。 discuss は「~について議論する」という意味の動詞です。試験でこれが出てくるのは、「『~について(議論する)』だから about が必要だろう」という直感を持つ多くの日本人が discuss about としてしまう、という理由によります。でも実際には「~について」を意味する about や on を使いません。つまり discuss は前置詞不要、直接目的語を取る他動詞です。なぜ他動詞なのでしょう?

この謎は discuss の語源を辿ると解くことができます。 discuss の dis- は「離す」、cuss は「揺らす、壊す」という意味を持ちます。つまり discuss は「(議題)を壊してバラバラにする」という「他者に力をぶつける」イメージ(第5回コラム「自動詞と他動詞と修飾語:気持ちがわからないと、気持ち悪い!」参照)を持つのです。ではなぜこれが「議論する」という意味になるのでしょう?

じつは、何かについて議論するというのは「議題を砕いて吟味する」という感覚を持つのです。例えば皆さんが「地球温暖化」について議論するとします。そのままでは漠然としているので「地球温暖化の環境への影響」とか「地球温暖化の止め方」とか、より具体的に議題を「砕いて」いくはずです。そして、議論の中で大きな問題が砕かれて、細かくなり、処理が進んでいく感じがするはずです。discuss は「議題」に「叩いて、細かく処理していく」力をぶつけるのです。動詞の持つ「気持ち」が直接文法に影響を与えているのです。

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「suggest him the idea」や「explain him the idea」はなぜダメなの?

問. 空欄に入る適切な選択肢を選べ。

I explained [ ]. 「私は彼らにその違いを説明した。」 a. them to the difference   b. them the difference   c. the difference to them

正解は c. the difference to them です。 suggest は「提案する」、explain は「説明する」という意味です。すると、どちらも「人に情報を渡す」イメージがあるので、二重目的語構文、つまり「S+V+渡す相手+渡すもの」という構文(この問題では選択肢b.)を使いたくなってしまう(第7回コラム「文型だって「キモチ」でわかる! 第4文型に込められた英語のキモチ」参照)ものです。でも、suggest も explain も二重目的語構文を取ることはできません。なぜでしょう?

これも先ほどと同じく、日本語訳だけで考えると失敗するという例です。じつは suggest は「何を提案するか」という意味の動詞であって、「誰に提案するか」という意味は持ちません。そして explain も「何を説明するのか」という動詞であって、「誰に説明するのか」という意味は持たないのです。だから「提案する相手」「説明する相手」は直接には目的語に来ません。「to 人」にしないといけないのです。二重目的語構文構文が取れないので、それを回避するために「V+提案・説明内容+to+相手」という語順を取ります。

これは I gave him a book. を I gave a book to him. にするのと同じ語順変更の仕方です。そして、「提案 / 説明の内容」が長い場合は、「重い情報は後に」のルール(第4回コラム「時間とお天気、そして仮主語に it を使うのはなぜ? it の “正体” 教えます」参照)のもと、短く軽い「to 人」が先に来て、長く重い「提案 / 説明内容」は後に来ます。

例:I explained to them the difference between an alligator and a crocodile. 「私は彼らにアリゲーターとクロコダイルの違いを説明した。」

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say, speak, talk, tell の違いは?

問. 空欄に入る適切な選択肢を選べ。

He didn’t [ ] me that he would leave the company. 「彼は私には会社を離れることは言ってくれなかった。」 a. say   b. speak   c. tell   d. talk

正解は c. tell です。 tellだけが「話す相手」である「人」を目的語に持ってくることができます。なぜなら、tell の根本的な意味が「情報を伝える」だからです。「伝える」力は当然「伝える相手」にぶつかりますから、「人」が目的語に来ることが一般的です。そして「伝える=情報を渡す」ことなので、二重目的語構文を取ることが一般的です。

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sayは「人が~という言葉を口から出す」という意味の動詞です。つまり「喋る内容」が目的語になります。ですからもし、「私は彼に言った」のつもりで I said him. と言っても、聞いている人は「私は him と言った。」と解釈するでしょう。I said it to him. にしないといけません。say の喋るという動作の力は喋る内容である it に作用するので it が目的語。そして say には「伝える」という力はないので、話す相手には伝える力はぶつかりません。動詞の力が及ばない言葉は修飾語でしたね。よって、I said him ではなく I said to him になります。

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speak は「話すという行動を取る」、talk は「話のやり取りをする、会話をする」という意味の動詞です。大事なのは、これらの動詞にとって「何を話したのか」「誰に話したのか」はどうでもいい、ということです。

例:He can’t speak now. He has a bad cold now. 「彼は今話せないよ。ひどい風邪を引いているんだ。」

例:Mom, this robot can talk! 「ママ、このロボットお話しできるよ!」

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そういうわけで speak と talk は自動詞です。「人」や「話題」を目的語として持ってくることはできません。「誰に対して話すか」を表したければ後ろに「to 人」、「何について話すか」を表したければ後ろに「about 話題」をつけます。ただ、speak は例外として言語名を目的語として取ることができます。

例:He speaks German. 「彼はドイツ語を話す。」

例:Kris can speak five languages. 「クリスは5つの言語を話せる。」

talk を他動詞で使うと、どんな「力」が出る?

ここで、よく試験に出てくる「 talk 人 into ~ing 」(人を説得して~させる)に触れておきます。talk は自動詞では「話のやり取りをする」という意味ですが、これを他動詞で使って「人」を目的語に取るときがあります。すると、話し合いの力が相手にぶつかって「人を説得して動かす」という意味が出てきます。

例:The attractive sales woman talked him into buying expensive teaching materials. 「その魅力的な女性販売員に言われて、彼は高い教材を買ってしまった。」

talk が他動詞で使われることで、目的語である him に「説得」という力がぶつかります。そのあとに来る into は「変化」を表す前置詞です。「新しい状況の中に入ってしまう」というイメージを持つからです。説得を受けて「高い教材を買う」という状況の中に入り込んでしまうわけです。

昔センター試験に出たのですが、into の代わりに out of を使えば、「人を説得して、~することを諦めさせる」という意味になります。説得して、ある状況の外に出してしまう、ということですね。以下がその、2010年度のセンター試験の実際の問題です。

I was talked [ ] buying a big car by my sister. 1. about   2. away from   3. out of   4. to

まず、基本的に talk は自動詞なので目的語は取りません。ということは、目的語が主語の位置にくる受動態の文は原則として作ることができません。ですから例えば My sister talked me about buying... とは言えないので( talked to me にしないといけません)、I was talked about buying... とは言えないのです。では、talk を他動詞で使う表現を考えればいいわけです。それが「talk 人 into ~」「talk 人 out of ~」になるわけです。したがって、3. out of が正解ということになります。

*** 文法書の解説が今まで無味乾燥なルールの羅列に見えていた方も、文法問題の陰に隠れた、生きた言葉の動きが感じ取れたのではないでしょうか。この感覚が言語に対する直感を生む土台となり、直感的に問題が解ければ、解答速度と正確さは向上します。TOEICなどをはじめとして、テストでは膨大な量の問題を解かないといけませんからね。英語の「気持ち」をつかむことは、実際の英語を使うシーンでも、テストのときにも大きな威力を発揮してくれます。

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