英語が話せるようになりたい。だけど、なかなかうまくいかない。
そんな人のいろいろな疑問を集めて、ENGLISH COMPANYの “英語のプロトレーナー” に聞いてみるというこの企画。
第2回目も引き続き、集まったご意見にお答えしていきます。

Q4

「英語が聞きとれるようになれば、話すことができるようになるのも早い」と聞いていました。私は、アメリカに半年間赴任し、相手の話す英語はほぼ聞き取れるようになりましたが、まだまだ単語をつなげる程度のことしか話せません。「英語が聞き取れるようになれば話せる」というのが、そもそも誤りなのでしょうか? どうしたら話せますか? たくさんの単語やフレーズを覚えるしかないのでしょうか。

田畑さん:「英語が聞き取れている」と一口にいっても、音声処理から意味処理までほとんど無意識に一瞬でできている、つまりそこまでが自動化されているのか、あるいは、どうにか聞き取ったいくつかの単語から内容を推測しているだけなのか、など「聞き取れる」というレベルにも差があります。
この方は、アウトプットがほとんど出来ないということから考えると、リスニングもまだ正確さが足りないのではないかと思います。そのレベルであれば、まず一度しっかりと文法を見直すなどして、基礎力を身につけた方が、結果的には上達が早いと思います。

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編集部:確かに、すんなり理解できているのか、一所懸命理解しようと追っているのかでも違う気がします。「聞き取れるようになれば話せるのは早い」という部分は合っていますか?

田畑さん:よく勘違いされるのですが、リスニングとセットになる能力はスピーキングではありません。
スキルとしては、リスニングとリーディングをセットと考えるのが普通で、この2つをまとめてreceptive skills(受動的な技能)と呼びます。つまり言語を「理解できる」能力のことです。それに対してスピーキングとライティングの2つをproductive skills(産出する技能)と呼びます。つまり自分で言語を組み立ててアウトプットする能力です。

編集部:なるほど!わたしもリスニングとスピーキングがなんとなくセットだと思っていましたが、確かに必要なスキルは全然違いますね。

田畑さん:そうなんです。普通、言語の知識というのはこういう成り立ちになっています。

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つまり、理解できる言語知識(受容知識)の一部が、アウトプットできる知識(産出知識)になっていくわけです。
例えば、関係代名詞を使った英文などだと、一応中学で習う文法ですから、読んで理解することができる、という人は多いと思うんです。でも、それをぱっと瞬間的に話すとか書くとかしてください、と言われると、みんな全然ちゃんと言えなかったり、書けなかったりします。これはつまり、関係代名詞という文法項目が、受容知識にとどまっているということです。アウトプットをしていくことで、言えるようになっていく(産出知識になる)わけですが、もちろん関係代名詞というものをそもそも知らなければ、話せるようになるわけがありませんね。当たり前のことですが、聞いたり読んだりしても理解できないことを「話せる」なんてことはありえないわけです。

編集部:大量にインプットされた英語の一部が話せる英語になるのですね! これを見るとインプットを増やすことが大切なんだな、と思います。

田畑さん:「インプットさえすれば(自動的に)話せるようになる」ということはありませんが、大量のインプットをしないことには話せるようにはなりません。そういう意味で、インプットが全ての英語学習の基礎であることは間違いありません。
この図をみると、インプット量や基礎的な文法力などが足りていないにも関わらず、スカイプの英会話などでアウトプットの練習ばかりしていても、内側の輪が大きくならないということが分かりますよね。もちろん、外側の輪が大きい人にとってはとても有効な練習になりますが。

編集部:アウトプット、つまり会話の練習だけでは話すことは上達しないのですね。繰り返していくうちになんとなく話せるようになるのかと思っていました。

田畑さん:もちろんアウトプットの練習も大事です。アウトプットを行うことの利点は、「話してみると、自分はこれが言えないな」という気づきが生まれることにあります。たとえば関係代名詞の文が作れない、と気づいたら、英文を読んだり聞いたりする際に、関係代名詞の文の作り方に注意が向くんですね。そういう意味では、アウトプットはインプットを効率化するといえます。だから、第二言語習得研究では「大量のインプットと少量のアウトプット」というバランスが最適だと言われているんです。

編集部:あくまでインプットが主で、アウトプットは従ということですね。では最後に、「結局は単語など覚えるしかないのでしょうか?」という部分はいかがでしょう。

田畑さん:理解できる英語を増やさないと、話せるようにならない、とここまで繰り返し述べてきましたが、同じことですね。単語を知らなければ当然話せません。でもこの質問者の方に実際に何が足りていないのか、質問文からは正確に分からないので、どこに重点を置くべきかを判断する必要はありますね。

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Q5

15年以上アメリカに住んでいて思うことは、日本人は「間違いたくない!」という心理が他の国の人よりも強いんじゃないか、ということ。特に大人になってから英語を習得したい人にはこの壁を乗り越えるのが大変かも。これを取っ払う良い方法はありますか?

田畑さん:これは私自身がアメリカに留学していたときも、周囲を見て感じていました。なんか日本人ってオドオドしているな、って。日本人はあまり自己主張をしないのが良い、とされる環境の中で育ってきたので、「自己主張こそが大切である!」ということを信条とする欧米人とはそもそもパーソナリティーが全く違いますよね。

編集部:確かに、話せる話せない以前に、体格も大きくて白人、というだけで日本人は引け目を感じてしまいがち。その結果、さらに「間違えたら恥ずかしい」という思いが強くなるのかも。

田畑さん:「間違いたくない」という情意フィルターを作用させないためには、モチベーションと自信があり、不安を少なくする必要がありますが、人種などの部分でコンプレックスを持つというのは、自信がなくてとても不安な状態をキープしているということ。それではいつまでたっても話せるようにならないし、もったいないですよね。そんな時には、ペラペラしゃべっているように見える、非ネイティブの英語をじっと聴いてみてください。意外とめちゃくちゃな英語だったりします。アウトプットする時には、多少間違ってたって平気と思って、自信満々でいるほうがいいですよ(笑) 自信がなさそうなだけで、ネガティブな印象を持たれますもんね。

編集部:人種的なことや自己主張をしない国民性、というのはどうにも変えられないですもんね。それなら、そんなことはおかまい無しに積極的に話している方々を参考にするのが良いですね。

田畑さん:ですが、ペラペラ話しているように見える人でも、流暢さだけに偏っていて、文法とかを軽視している場合は、正確さの面で頭打ちになります。日本人は文法などの基礎力がついている人が多いので、きちんとしたアウトプットの練習をしていくことで、そういう人たちより上達することも多いんです。流暢さと正確さのバランスが大事ですね。
また日本人はつい完璧を求めて「こんな発音じゃ恥ずかしい」と思ってしまうのですが、今は英語と言ってもシングリッシュと呼ばれるシンガポールの英語やなまりの強いフィリピンの英語など、色々な種類があるわけです。しかも、世界には第二言語として英語を話す人口のほうが、英語ネイティブよりはるかに多いんですよ。日本人なんだから日本人なまりが多少あって当たり前でしょ!くらいに思っておくといいです。

Q6

「英語は発音が大事だ」という意見を聞きますが、どこまで大事? 大人になってからの発音矯正はとても難しいというか、ほとんど無理なことのように思います。発音に縛られると、どんどん劣等感を感じて話せなくなってしまいます。

田畑さん:英語の発音は、相手が理解出来る程度であれば十分です。アメリカ英語とイギリス英語だけとっても、発音の違いがたくさんありますが、世界ではいろいろなバリエーションの英語が認められています。そのどれもが正しいわけで、相手が聞き取ることさえできれば良いのです。だから、綺麗な発音に必要以上に縛られる必要はありません。

編集部:確かに、アジアの人はネイティブの英語とはまるで違っていても、堂々としていたりしますね。「きれいである必要はなく、相手が聞き取れれば良い」というのは、とてもハードルが下がります。
田畑さん:ただ一点、発音に関して注意したいことがあります。もし完全にカタカナ英語の発音しかできないとなると、それはリスニングの能力に関わってきます。なぜなら私たちは基本的に、自分が発することのできる音しか聞き取れないからです。

編集部:リスニングにも関わってくる、となると少々問題です。そのわずかな違いの発音をどうやって学べば良いのでしょうか? 自分でその発音で正しい、と思ってしゃべっているのだから、なかなか矯正が難しいと思います。
田畑さん:そうですね。音声を練習するCDやアプリはたくさんありますが、その音を真似て発音していても果たしてそれが実際に正しいかどうかは、学習者本人は分からない訳です。間違ったまま練習を続けていくと、正しくない発音が固定化してしまい、直りにくくなってしまいます。
だれか英語のわかる人に、自分では気付けない小さな発音の間違いを指摘してもらい、一つ一つ正していくのがよいでしょう。特に発音に関してはプロの指導を受けるというのが一番の近道だと思います。間違いやすいポイント、ここさえ気をつければ良いというところは決まっているので、ちゃんと訓練すれば誰でもある程度正しい発音ができるようになり、自信もつきます。先ほども話したように、「自信を強く」というのは、英語を話せるようになる上でとても大切な要素です。

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Q7

留学から帰ってきてから、日に日に英語力が落ちていくのを実感しています。BBCや海外ドラマを観ることでどうにかリスニングの環境を維持することはできていますが、話す機会がほとんど無く不安です。日本においてスピーキングの練習はどうするのが良いでしょうか?

田畑さん:それは私も含め、留学経験者の大半が実感している問題だと思います。週に数回、マンツーマンで会話を習うだけでもすごい金額になるし、時間としてはごくわずか。英語力の維持すらできないと思っていましたが、ここ数年で色々な会社が始めたスカイプ英会話はアウトプットの練習としては最適だと思います。時間も自分の自由に組めるので仕事が忙しくても継続できるし、何よりも格安なのが嬉しいですね。

編集部:スカイプ英会話、とても気になっていたのですがオススメなのですね!

田畑さん:はい、とってもオススメです。ただ、スカイプ英会話をやって効果がある人とあまり効果がない人がいます。そこを勘違いしている人が多いので、説明しますね。まず、スカイプ英会話をやって効果が出やすいのは英語の上級者です。既に十分話せる人、読み書きも問題無いレベルの人が「英語力を落とさないため、英語のキープのため」には最適です。どんなに話せてもアウトプットもしないと、やはり忘れていくものですから。一方で、英語の基礎力も全然ない人がスカイプ英会話で英語力を上げよう、というのは大きな間違いです。これは効果が低いでしょう。

編集部:初心者がスカイプ英会話をやってもまったくの無駄!? 何度も話しているうちに話せるようになるんじゃないか、という錯覚がありますが……。

田畑さん:それは全く違います。以前もお話ししましたが、英語は中学で習うレベルの最低限の文法力や単語力などの基礎力が絶対に必要です。そういう基礎がないまま無理やり会話力だけを磨こうとすると、おかしな英語が固定化してしまいます。
外国人と軽く挨拶を交わしたりちょっと会話できる程度の英語力で良いのであればそれでも構いませんが、深い会話ができたりビジネスでも通用するレベルを目指すのであれば、まずは正しく話せるための文法を身につけることが先決です。
英会話の先生は、こちらのたどたどしい英語でもなんとか推測しながら聞いてくれるので、伝わっているように思えるかもしれませんが、ずっとそうしていては英語の能力は上がりません。

編集部:英語上級者のキープのためには良い、初心者には効果が低い、ということが分かりました。それではその中間の中級者にはどうでしょうか?

田畑さん:中級レベルの人は「大量にインプットしながら学んでいる」のであれば、たまにアウトプットをしてみて自分の成長具合や、逆に分からないところや苦手なところを知るためには良いと思います。ただあくまで、中級レベルであれば圧倒的にインプットが主で、週に1, 2回程度の補足的な使い方ですね。スカイプ英会話は非常に画期的なサービスですが、「大量のインプットと少量のアウトプット」のバランスが大切だということを、みなさんに知っておいてもらいたいと思います。

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田畑トレーナーによるパーソナルトレーニングの様子の記事はこちら「外資系の同僚が驚いた! 3ヶ月でTOEIC大幅アップの秘密を、本人&トレーナーに直撃インタビュー

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