【中学英語】to不定詞と動名詞の違いは? 見分け方をわかりやすく解説!

「to不定詞と動名詞の使い分けがわからない……」
「be to 不定詞の意味を5つも覚えるなんて……」
そんなお悩みをもっていませんか?
英語を学ぶうえで欠かせないのが「to不定詞(to + 動詞原形)」。よく「動名詞(-ing形)」と比較されるため、学校で「to不定詞を目的語にとる動詞」と「動名詞を目的語にとる動詞」に分けて丸暗記した人もいるでしょう。さらに「be to不定詞」となると、「予定」「運命」「可能」「義務・命令」「意志」と5つもの意味が。ひとつひとつを暗記するのは大変ですよね。
その問題は「認知文法」で簡単に解決できます。ネイティブの文法感覚からto不定詞の意味を理解すると、to不定詞と動名詞の使い分けや、「be to 不定詞」の5つの意味を効率よくものにすることができますよ!
to不定詞の意味
to不定詞を目的語にとる動詞には、たとえば以下のようなものがあります。
- hope「望む」
- plan「計画する」
- wish「願う」
- want「欲しいと思う」
- decide「決める」
- promise「約束する」
- expect「期待する」
- agree「同意する」
- refuse「断る」
みなさんのなかには、これらを機械的に丸暗記して覚えた人もいるでしょう。しかし、認知文法のアプローチで理解すると、丸暗記は不要に。これらの動詞は、to不定詞の「まだ実現・実行していないことに、これから向かう」というコア(中心的な意味)と結びつきが強いのです。
たとえば、 “I want to meet John.” (ジョンに会いたい)は、会うことを望んではいるものの、まだ実現していないことを示唆します。 “I decided to meet John.” (ジョンに会うことに決めた)も、会う決心はしているものの、その時点では、会うことは実現していません。
まだ実現されていない出来事に対して、これから実現することを望んだり、実現するように努めたりするという意味合いを含む動詞のとき、to不定詞を目的語にとるのです。
動名詞の意味
一方で、動名詞を目的語にとる動詞の例は次のとおり。
- mind「気にする」
- enjoy「楽しむ」
- give up「諦める」
- admit「認める」
- finish「終える」
- escape「避ける」
- postpone (put off)「延期する」
- stop「やめる」
- deny「否定する」
- avoid「避ける」
動名詞のコアは「動作の途中」。動画の一部を写真にして切り取って取り出すイメージで、「すでに起きている出来事や実際の行為、頭に浮かんでいる映像」を指しています。
たとえば、“We enjoyed playing tennis.”(私たちはテニスを楽しんだ)は、実際にテニスをしている行為を楽しむ様子を表す英文。 “He admitted stealing money.”(彼はお金を盗んだことを認めた)は、実際に盗んだ行為を頭に思い浮かべながら認めた様子を表す英文です。そのため、“enjoy” や “admit” は、to不定詞ではなく動名詞を目的語にとります。

まずは、to不定詞・動名詞双方のコアをしっかり頭に入れましょう。
to不定詞と動名詞の違い
to不定詞と動名詞の違いがわかると、両方を目的語にとれる動詞の意味合いの違いもすぐに把握できますよ。ここからは、どれだけ違いが理解できているかチェックしてみましょう。
以下の文で、部屋の鍵をかけていないことが確実にわかるのは、1と2のどちらでしょうか。
- He forgot to lock the room.
- He forgot locking the room.
正解は1。似たような意味の文にも見えますが、両者には明らかな意味合いの違いがあります。
- 彼は部屋の鍵をかけ忘れた。(「これから部屋の鍵をかける」という行為を忘れた)
- 彼は部屋の鍵をかけたのを忘れた。(「部屋の鍵をかける」行為をした記憶がない。実際はかけたかもしれない)
“forget” は、to不定詞と動名詞の両方を目的語にとれる動詞のひとつ。1のto不定詞は「これからすること」、2の動名詞は「動作の途中の映像を頭に浮かべる=記憶」を指しています。これがわかると、両者の意味合いの違いは一目瞭然ですね。
次に、以下の英文の意味を考えてみましょう。
I like swimming, but I don’t like to swim now.
“like” も、to不定詞と動名詞の両方を目的語にとれる動詞。「like to 不定詞」と「like 動名詞」は、ともに「〜することが好き」という似た意味になるとよく教わりますが、じつは微妙な意味合いの違いがあるのです。
前半の “I like swimming” は、「泳いでいる」行為を頭に思い浮かべながら、好きと述べる意味合い。対して後半の “I don’t like to swim” は、「これから泳ぐ」という行為の実現を好まないという意味合いがあります。よって、「水泳自体は好きだけど、いまは泳ぎたくない」ということを示唆しているのです。
to不定詞の名詞的用法
今度は、主語の働きをするto不定詞(名詞的用法)と動名詞を比較してみましょう。以下は「サッカーをするのは楽しい」という文。認知文法のアプローチで比べてみると、この2文にも微妙な意味合いの違いがあるのです。次のうち、書き手の経験から「楽しい」と述べたいときには、どちらの表現がより自然でしょうか。
- To play soccer is fun.
- Playing soccer is fun.
正解は2。先ほど、動名詞は「すでに起きている出来事や実際の行為、頭に浮かんでいる映像」を意味することを学びましたね。よって、「実際にサッカーをしている経験」から、楽しいと述べているのです。対して、1のto不定詞は「現実で起きていないこと」を示唆する表現。実際の経験というよりは、一般論として「楽しい」と述べているのです。よって、2と比べて、1のto不定詞は現実性や経験の意味合いが薄れます。
to不定詞と動名詞を正確にものにするために、「形が違うと、伝わる意味合いにも違いが生じる」という認識を身につけましょう。

これでわかる!「be to不定詞」の5つの意味
to不定詞のコアを知ることで、冒頭で述べた「be to不定詞」の5つの意味を効率よく覚えられますよ。その5つの意味は、とある意味から紐づけられているのです。
詳細は、東京言語研究所にて理論言語学賞を受賞した認知文法のプロであり、時短型英語ジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」でシニアリサーチャーとして活躍する ”英語職人” 時吉秀弥さんが、以下の約9分の動画のなかで説明しています。認知文法の観点から詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
動画によるわかりやすい解説で、「be to不定詞の意味が覚えられない」というお悩みを解決できますよ。
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to不定詞と動名詞の違いも、「be to不定詞」の意味も、to不定詞のコアを頭に入れると、よりいっそう効率よくものにすることが可能になります。認知文法のアプローチで、to不定詞を使った表現を確実にマスターしていきましょう。