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英文法は難しい? 簡単に感じるとっておきのアプローチを伝授!

英文法は難しい? 簡単に感じるとっておきのアプローチを伝授!

「英文法は難しいから勉強したくない」
「難しい英文法がどうしても理解できない」

そんなお悩みをおもちではありませんか? 英文法の知識は、効率よく英語力を伸ばすために必要な武器。しかし、たくさんある覚えるべきルールをひたすら暗記しないといけないとなると、英文法の学習をつい敬遠したくなりますよね。また、日本人には難しい時制など、日本語に存在しない文法項目はなかなか理解しづらいもの。じつは、とあるアプローチで英文法を学ぶことで、不思議と難しいと感じなくなるのです。

今回は、難しい英文法がなぜ避けて通れないのか、そして日本人が英文法を難しいと感じる主な原因を、英語パーソナルジム「ENGLISH COMPANY」が説明します。さらに、英文法が難しいと感じなくなるアプローチも詳しくご紹介しましょう!



難しいけど重要な英文法

英文法は難しいからと、英語学習のなかで特に敬遠されやすい要素。学校で英文法のルールを機械的に丸暗記させられた人は、英文法を覚えるのが難しいというイメージが染みついているため、英文法の学習を面倒に感じてしまうのも無理はないでしょう。

なかには、次のように考える人もいるはず。

「難しい英文法なんか習わなくても通じる」
「ネイティブスピーカーは、正しい英文法を使わなくても会話を成立させている」
「英文法を知らなくてもペラペラな子どももいる」
「小難しい文法にこだわるから英語が使えるようにならない」


たしかに、英語圏で生まれ育ち、母語が英語である場合は、日常生活で英語に接する機会があふれているため、意識的に文法を学ばなくても自然と英文法の知識が身につくでしょう。しかし、非英語圏で外国語として英語を学ぶEFL(=English as a Foreign Language)環境に住む日本人学習者にとって、ネイティブの子どものように自然に文法を習得する機会はきわめて限られています。よって、英文法を意識的に習得する必要があるのです。

なおかつ、英文法は大人が英語学習を効率よく進めるうえで必要不可欠な要素。理由は以下のふたつ。

  1. 効率的な英語習得への第一段階
  2. ビジネスでの信頼に影響

ひとつずつご説明しましょう。

英文法が英語学習の効率をよくする理由

基本的な英文法の知識がないと、話すどころか、読んだり聞いたりする力も効率的に伸ばせません。なぜなら、第二言語習得研究(母語以外の言語を身につけるプロセスやメカニズムを解き明かす学問)の知見によると、大人の学習者が最も効率よく言語習得できる順序は、次のとおりだからです。

  1. 基本的な文法・語彙知識
  2. 受容スキル(リーディング・リスニング)
  3. 産出スキル(ライティング・スピーキング)

あらゆる英語スキルの土台づくりに大切なのは、基本的な英文法を把握していること。埼玉大学の牛江一裕名誉教授は、英文法を学ぶことによって、しっかりした基礎をつくったうえで練習することができ、英語のコミュニケーション能力を高いレベルにもっていくことが可能になると説きます。英文法の学習は効率的な英語習得への重要なステップなのです

英文法がビジネスでの信頼に影響する理由

正確に英文法の知識を駆使できないと、ビジネスで信頼を得ることも難しいでしょう。なぜならビジネスでは、契約書やメールといった書面上のやりとりが必須だから。正確さとわかりやすさを兼ね備えた英文が頻繁に求められます

立命館大学の田浦秀幸教授は、ビジネスの世界では、あまりにも文法的な誤りが多い英文だと、顧客や上司などから不信感を抱かれることにもつながると述べています。加えて、誤った情報が伝わることでトラブルを招き、仕事の効率を落としてしまうこともあるそう。

英文法は、英文の高度な正確さを培うための「足腰を鍛える」要素。よって、「いつまでも英語が使えるようにならないのは、難しい英文法を学んでいるせいだ」という考えは誤解なのです。 

英文法が日本人にとって難しい原因

英文法は重要だとわかっていても、やはり難しいと考えてしまうもの。日本人は、具体的に英文法のどんなところを難しく感じているのでしょうか。

文法用語が難しい

はじめに、文法用語が難しいこと。たとえば、受動態の「態」とはなんだと聞かれて、みなさんはすぐにイメージできるでしょうか。また、英文法の解説で何回も触れるにもかかわらず、仮定法の「法」、現在分詞の「分詞」、「不定詞」などの本当の意味を習っていないため、余計に混乱する学習者もいるでしょう。どういうときに特定の文法項目を使うのかということを教わらずに難しい文法用語を聞かされると、苦痛に感じてしまうのも無理はありません。

さらに、文法用語のせいで使い方を誤解してしまう恐れもあります。たとえば、現在形。「現在」形と聞くと「いま現在」のことを指すようにも思えますが、問題なのが「時間や条件」を表す文のとき。以下の文のように、未来の描写でも、if節やwhen節は「現在」形で表す、というのがよくある解説でしょう。

If it rains (× will rain) tomorrow, the game will be canceled.
「もし明日雨なら、試合は中止されるだろう」


「未来」のことにもかかわらず、なぜ「現在」形を使うのか知らないため、かえって混乱してしまうのです。

難しい文法用語が理解の妨げになり、理解に自信がないことで、ライティングやスピーキングにも応用することが難しくなるでしょう。

日本語と英語の訳にズレがある

英文法が難しいと感じるふたつめの原因は、日本語と英語の訳にギャップがあること。南山大学の今井隆夫教授は、英文法を日本語の概念に無理やり当てはめることで余計にわからなくなると指摘します。たとえば、“The train is stopping.” という文。 電車は動いているか、止まっているか、どちらでしょうか。

じつは、正しい意味は「電車は止まりつつある」。電車はまだ動いているのです。

学校では、おそらく “be + 動詞ing” で「〜している」と訳すと習ったはず。よって「電車は止まっている」と解釈した人もいるでしょう。じつは “be + 動詞ing” には、「している途中」という意味合いがあり、ある出来事が起きている途中であることを示しています。一方、日本語の「ている」には、物事の進行中以外には「住んでいる」「持っている」のように、状態の意味もあるのです。よって、英語の “be + 動詞ing” と日本語の「〜している」は、必ずしも等しい概念にはなりません。

今度は「英語を習った」という文。過去形から、“I learned English.” という英訳は思いつきやすいかもしれません。しかし英語では、現在完了の “I have learned English.” とも訳出ができます。過去形の訳と微妙な意味合いの違いがあるのですが、日本語訳から違いを見分けるのは難しいでしょう。意味合いの違いが日本語訳に表れないため、過去形と現在完了形の適切な使い分けが難しいと感じてしまうのです。

「文法学習=丸暗記」というイメージ

英文法が難しいと感じる理由は、とにかく暗記事項が多いというイメージがあるから。学校英語などで、パターンや例外、意味をひたすら覚えさせられた苦い経験をもっているはず。しかも、せっかく覚えた英文法が思い出せない、うまく使えないとなると、もっと苦痛を感じますよね。

ひたすら覚えた英文法がなかなか思い出せないのは、大人が記憶するうえで丸暗記は非効率だから。東京大学大学院の池谷裕二教授は、年齢によって適した記憶法が異なると語ります。思春期までは知識の記憶である「意味記憶」が優勢に働き、ランダムな文字の並びでもスムーズに覚えられるものの、思春期を過ぎると意味記憶の働きが鈍るのだそう。文法書を読んで覚えただけの知識の記憶は「意味記憶」に該当します。機械的に覚えたつもりの英文法の内容を思い出すのが難しいと感じるのも無理はないのです。

難しい英文法を簡単にする「認知文法」

日本人が難しいと感じている英文法。じつは、大人の効率的な英語学習にぴったりの、もっとシンプルに学べる方法があります。その方法が、これからご紹介する「認知文法」のアプローチ。ここからは、「認知文法」の概要と特徴、「認知文法」でシンプルに学べる例を、日本人が最も難しいと感じる英文法「時制」を使ってご紹介しましょう。

認知文法の特徴

認知文法とは、「ネイティブがどのように世界を認知し、それを言語に反映させているか」というアプローチで文法を説明しようとする文法理論のこと。ネイティブスピーカーがもっている文法感覚をイメージとしてとらえていきます。

言葉をイメージとしてとらえる覚え方は、思春期以降で丸暗記の代わりに有効とされる覚え方です。なぜなら、大人になるにつれて、「エピソード記憶」という個人のエピソードや経験などの思い出とともに想起される記憶が定着し、全体のイメージをつくる能力が発達するから。

認知文法のアプローチで覚えることで、ネイティブスピーカーが潜在意識としてもっている文法感覚を、英語を日本語に訳すことなく、イメージでとらえられるようになります。認知プロセスをもとに文法規則の背景を明らかにし、文法表現に込められた根源的な意味を理解できるのです。こうして根本の意味を把握していくことで、無意味に見える雑多なルールに本質的な意味を見いだせるため、「意味づけ」が実現します。あとは全体のイメージから個々の意味をとらえていくことで、英語を直感的に理解できるのです。

さらに、「なぜこういう言い方をするのか」という英語ネイティブの見方を知ることによって、学習した英文法をスラスラ使いこなすこともできますよ。

認知文法でとらえることで、具体的にどのようにスムーズな英文法の理解ができるか、次からご紹介しましょう。

認知文法でとらえる「時制」

「時制」は日本人が最も難しいと感じる英文法のひとつ。「現在形」と「進行形」の違いや「現在完了形」と「過去形」の違いは、日本語には表れない概念であるため、使い分けがたしかに難しいですよね。

東京言語研究所にて理論言語学賞を受賞した認知文法のプロであり、時短型英語ジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」でシニアリサーチャーとして活躍している “英語職人” 時吉秀弥さんは、日本人学習者が時制を難しいと感じるのは「物理的な時間」としてとらえているためと指摘しています。むしろ、「場所」としてとらえるほうがシンプルとのこと。どういうことか、ご説明しましょう。

現在形

認知文法では、現在を「いま自分がいる現実の世界」としてとらえます。例文を見てみましょう。

I often eat dinner at home.
「たいてい家で夕食を食べる」


上の例文は、夕食を食べる「いまの瞬間」を指しているのではなく、「現実の世界で繰り返される日常」を表しています。昨日、今日、そして明日も、家で夕食を食べるというイメージ。現在形は、過去も現在も未来も「いつでもそう」という「習慣」を指しているのです。

現在形の視点

過去形

過去形が表すのは、「いまは現実ではない」という世界。「現実から距離が離れている」というイメージを指します。「もうすでに済んだ話で、いまは違う」という気持ちを「過去形」で表しているのです。たとえば、実際話している場で傘を持っていたとしても、“I forgot my umbrella yesterday.”「昨日傘を忘れた」と述べることもできるでしょう。

また丁寧表現で、“Could you speak a little slowly?”「少しゆっくり話していただけますか」といった、“could” や “would” など助動詞の過去形を使っている文を目にすることもあるでしょう。丁寧表現で過去形をより好む理由は、過去形が表す「距離感」で「相手からの距離をとることによる敬意」を示しているから。「現実になる可能性が低い」という気持ちを示すことで、控えめに表現しているのです。

過去形の視点

現在完了形

現在完了「have +過去分詞」の焦点は、「いまどういう状態を抱えて(haveして)いるか」。前出の時吉さんは、過去分詞に来るのが、“eat”, “play” などの動作動詞(動作することで変化が起きる動き)か、“like”, “know” などの状態動詞(状態がずっと変わらず続く様子を示す動詞)かによって意味が変わってくると述べます。

動作動詞の現在完了は、「いま、やり終えた状態を抱えて(haveして)いる」というイメージです。動作動詞は、ある動作が「やり始め、やっている最中、やり終えたあと」のどの段階にあるのかを、形によって表しています。過去分詞が表すのは、「やり終えたあとの状態」。たとえば “I have drunk coffee.” 「コーヒーを飲んでしまった」であれば、“drunk coffee” 「コーヒーを飲んだあとの状態」をいま抱えているということを描写しているのです。

動作動詞の形が表す意味

一方、状態動詞の現在完了は、「過去のある時点からいままでの変わらない状態を、ずっと抱えて(haveして)いる)」というイメージ。 状態動詞は「やり始め」「やり終わり」は考えず、漠然と状態が続いている様子を表す動詞。たとえば、“I have known John for three years.”「ジョンと知り合って3年になる」だと、「いまに至るまでの3年間、ジョンを知っている状態を抱えている」ということを表しています。

状態動詞の形が表す意味

進行形

進行形は、「動作の途中」を表します。進行形は、動作動詞の「やっている最中、まだやり終えていない」部分を取り出している表現。たとえば “We are watching TV.” だと、「テレビを見ている途中、テレビを見終えていない」という「未完了」の性質を進行形で示しています。

じつは、「動作の途中」という進行形のイメージを理解することで明らかになるのが、状態動詞を進行形にできない理由。動作動詞は、「やり始め」から「やり終わり」でなんらかの動作をすることで変化が生じています。先ほどの “We are watching TV.” が示すのは、「テレビをつけて番組を見ていない状態」から「テレビを見終わって、番組を見た状態」へ変化していく途中の状態です。

動作動詞の形が表す意味2

一方、“I like baseball.” のように、「野球が好き」と言う状態は、ずっと変わらず継続しているはず。「変化のない状態が続く」状態動詞に「変化の途中」という概念が存在しないため、進行形が存在しないのです。

以上、認知文法で「時制」がシンプルに理解できる例をご紹介しました。こうしてイメージで理解していくことで、英文法が難しいと感じなくなりますよ。

「英文法=難しい」のイメージを打ち砕くUdemy講座

オンライン学習プラットフォームUdemyから、「英文法は難しい」というイメージを覆すとっておきの講座が公開されました。表題は「認知文法に基づく英語学習 英文法HACKER」。前出の “英語職人” 時吉秀弥さんが、今回紹介した「認知文法」のアプローチから英語ネイティブの気持ちを見ていくことで、英文法をシンプルに正確に理解できるコツを紹介しています。

認知文法のアプローチは、英語ネイティブの「もの」のとらえ方を理解するのがポイントです。「動詞・助動詞編」では、日本語は「自分がカメラになって外の風景を映す言語」に対し、英語は「外から、もうひとりの自分が自分を眺める言語」と触れられています。この言語観の違いがわかると、なぜ日本語で主語をそれほど言語化しなくてもよいのかという謎も見えてくるはず。英文法の肝となる「時制」の英語ネイティブの文法感覚に関しても難しいとは感じなくなりますよ!

「名詞編」では、英語ネイティブの「もの」のとらえ方から可算名詞と不可算名詞の区別の仕方が見えてきます。さらに日本人にとって厄介な冠詞「a」や「the」の正体や、「all」「every」「any」の使い分け、「others」「another」「the others」の使い分けなどのわかりやすい解説が盛りだくさん。この動画を見れば、名詞は難しいと思わなくなりますよ。

気になる方はぜひチェックしてみてください。

***
英文法の項目を丸暗記するのは、たしかに難しいもの。しかし、認知文法のアプローチは、英語ネイティブの文法感覚をイメージを使って学ぶという、まさに大人にピッタリの効率的な記憶法なのです。認知文法で英語ネイティブの感覚から文法を理解していくことで、「英文法は難しい」という固定観念をぜひ壊していきましょう。



参考資料
StudyHacker ENGLISH COMPANY 著, ナナトエリ 作画(2018),『マンガでわかる 最速最短! 英語学習マップ』, セブン&アイ出版.
田浦秀幸(2016),『科学的トレーニングで英語力は伸ばせる!』, マイナビ出版.
牛江一裕(2017),「英語教育における文法の重要性」, 埼玉大学紀要, 66巻, 2号, pp.435-447.
今井隆夫(2010),『イメージで捉える感覚英文法―認知文法を参照した英語学習法』, 開拓社.
夏谷隆治 著, 池谷裕二 監修(2013),『記憶力を磨く方法』, 大和書房.
時吉秀弥(2019),『英文法の鬼100則』, 明日香出版.
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