フォトリーディングと芸術、一見なんのつながりもないように思われるかもしれません。しかし、「フォトリーディングのおかげで、素晴らしい賞をいただいた」という芸術家の方もじつは少なくないのです。なかにはアカデミー賞にノミネートされた芸術家もいるほどです。「クリエイティブな力や発想力をもっともっと鍛えたい」と講座を受けに来られる方もいらっしゃいます。
フォトリーディングは、じつはクリエイティブな分野や芸術の分野とも相性がよいのです。なぜ、フォトリーディングで芸術的才能が開花するのか、今回はその秘密をお伝えします。
動きが全体像で見えるから上達が早い
私の講座の受講生の中に「十二単の着付け」ができる第一人者のAさんがいらっしゃいます。
Aさんがその着付け法を覚えるのに使ったのが「フォトフォーカス」(第4回「フォトリーディング ステップ3<フォトリーディング> 本の情報を長期記憶に保存する」)でした。焦点を合わせずに、全体像として着付けの動きを見ることで、すぐに十二単の着付けを覚えることができ、今では全国でひっぱりだこな状況だそうです。
着付けというのは、手元を見るだけでは、なかなかそのやり方を覚えられません。着付けをする人の腰の動きや、肩の入れ方など全体像を見て、上手に着付けができるようになるのです。そのため全体像を見るフォトリーディングで、Aさんはその動きを素早く学ぶことができました。Aさんは着物の縫い方も、フォトリーディングで頭に入れ、衣裳も作れるようになったそうです。
フォトリーディングでダンスが上達した人もいます。
フラダンスを習っていたBさんは、練習を重ねても、思い通りに踊ることができず、「どうしたら先生のように優雅に踊れるのだろう」と悩んでいました。しかし、先生の踊りをフォトフォーカスで見ると、手の動かし方よりも、肩の動きがポイントだとわかったと言います。そこが色気や力強さのある踊りにつながることに気づき、肩を意識するようになると、格段に踊りが上達しました。
このように、フォトフォーカスを使って、動きを全体像で見ることができるようになると、さまざまな分野で上達が早くなるのです。
作品に役立つ情報を潜在意識に入れる
アーティストとして作品を作る際、さまざまな情報をフォトリーディングで潜在意識に入れておくことで、素晴らしい作品が完成した人もたくさんいます。書家として活躍するCさんもそのひとり。書道の世界で大きな賞をいただき、作品は海外でも展示されました。
彼女は、書道関連の本を読むだけでなく、書や絵、写真もフォトリーディングしていました。
「絵をフォトリーディングすると、描いた人が、絵に対して込めた思いのようなものまで感じることができました。さらに作品にどんなテクニックが使われているかに敏感になりました。たとえば『この絵は、書にはない筆使いをしている』といったがわかるようになったのです。テクニックに敏感になったことで、絵や写真など、書とは違う作品を、書に昇華させることができるようになりました」(Cさん)
あえて違う分野のものにも触れたほうが、世界観は広がり、いままでにないアイデアがわき、新しいスキルが磨かれることもあります。クリエイティブ性を高めたいなら、ぜひ、違う分野のものをフォトリーディングすることをおすすめします。
目的を持って情報を収集すると結果が伴う
フォトリーディングでは、最初に本を読む目的を決めます。どんな分野を磨く場合でも、目的をもって情報収集していると、「これ!」という情報が向こうからどんどん飛び込んでくるということが起こります。
Cさんも、書の技をさらに磨くために情報収集に目的をもつことを習慣化していました。
「目的をもってフォトリーディングするのとしないのとでは、書を書くときの結果に雲泥の差があります。たとえば『新しい “線” を見つけよう』と目的設定して街の景色、夕日、鱗雲などを見ていると、それらが立体感や線としてインストールされていき、私の書の線に生かされているのです。この積み重ねが、結果として受賞にもつながっているのだと思います」(Cさん)
Cさんのように、目に入るものはなんでもフォトリーディングすることができます。Cさんが「滝のフォトリーディング」を行って、作品に活かし、大きな賞を受賞したことにも驚かされました。
「ぼうっと滝を見ながら、『滝は書道の筆使いに似ているな』と思っていたら、なぜかわーっとイメージがわいてきました。書くときは、頭の中に滝が流れている様子を思い浮かべていました」というCさん。
このようにフォトフォーカスの目で見ると、自分の頭の中(潜在意識)にデータがインストールされ、結果が出やすくなるのです。音楽家の方では、楽譜をフォトリーディングして、自身の楽曲作りに活かされている方もいらっしゃいました。
生産的休息を取ることでよりよい作品に
フォトリーディングでは、ステップ4(復習)まで終えたら、生産的な休息を5分~24時間ほどとることをおすすめしています(第5回「フォトリーディング ステップ4<復習> 本に質問を投げかける」)。ステップ5(実際に本を読む)の前に、生産的な休息をとるほうが、脳がリフレッシュされ、次のステップに取りかかりやすくなるからです。
Cさんは作品作りにも、この生産的休息を生かしています。
「文字を形に起こして、ペンで草稿を作り、少し放置します。生産的休息の間は、何をしていてもうっすらとは作品のことを考えています。そして、ある程度書きたい気持ちをためて、たまりきったと思ったときに、一気に書きます。ためておくことで、自分の中にある書きたい気持ちを高めていくのです」(Cさん)
生産的休息を間に入れるというCさんの方法は、ぜひクリエイティブの仕事に携わっている人に実践してほしいと思うことです。この、あえて形にする前に間をおくという効果が、芸術に息吹を吹き込みます。まさに「生産的な」休息なのです。フォトリーディングは、この効果を意図的に活用しています。だから結果が出やすいのです。
クリエイティブな分野、芸術の分野で活躍したい方にも、ぜひフォトリーディングを活用していただければと思います。
■フォトリーディングの詳しい方法はこちら ステップ1<準備> 本を読む目的を決める ステップ2<予習> 目次をチェックする ステップ3<フォトリーディング> 本の情報を長期記憶に保存する ステップ4<復習> 本に質問を投げかける ステップ5<活性化> 文字を追いながら読む