時間がなければ「2冊同時読み」を! 知識も創造力も身につく “効率的な” 本の読みかた——山口佐貴子『未来が劇的に変化する「フォトリーディング」速読術』第13回

新しい事業やプロジェクトを始めるとき、本を複数読む人も多いと思います。

同じ分野の本を2冊選んだならば、あなたはさらにその分野に詳しくなります。違う分野の本を選んだ人は、新しい発想が湧くかもしれません。2冊の本から見出したことを、あなたならどう発想しますか?

たとえば同じ分野の本でフォトリーディングした場合、2冊の本の内容の相違点は、少しだけ違うのか、真っ向から違うのか? なぜそのような意見の違いになるのか? 何が影響しているのか? 著者のバックグラウンドはどうなのか? 著者の立場は? 年齢は? 見ている市場の広さは? 本から垣間見える人間性は? そして、あなたはその相違点のどちらを選ぶのか? または、2冊の本にない新しい見解を持つのか?

複数の本を同時読みすることで、知的創造力が湧きます。その意欲を止めないで探求されてみてください。今回は数冊を一度にフォトリーディングするときのポイントをお伝えします。

アウトプットを見据えて読む

時間がなくても最良の答えを出せるのが、2冊同時読みです。2冊同時読みは、以下の手順で行ってください。

【1】まずテーマを決める 具体的にどんな結果を生み出したいのかに焦点を絞って決めます。たとえば、プレゼンテーションによって契約を取りたいなら「〇〇株式会社から受注できるプレゼンテーションをするため」と設定します。

【2】得たい結果に沿って本を選ぶ 得たい結果に到達するために、何をプラスアルファしなくてはいけないのかを考えてから本を選びます。プレゼンに自信がないのなら、相手を引きつけることができるプレゼンの本を選びます。一方、競合他社がたくさんいるなかで、クライアントに自社の商品を選んでほしいという場合、商品を分析する方法や、値段交渉も有利にできるような交渉術の本を選ぶといいでしょう。得たい結果によって、選択する本は変わってきます。

【3】1つの分野に絞るか複数の分野に手を出すか決める 得たい結果に到達するために、プレゼン術と交渉術の両方が必要だと思うなら、2つの分野を混ぜて読みましょう。そうすると、それぞれの本の重要なポイントを掛け合わせて、成約が取れる手法を作り出すことができます。プレゼンだけに特化するであれば、プレゼンの分野のみ数冊を選んで読むのもいいでしょう。

【4】アウトプットを見据えて読む 結果に結びつけるには、2、3冊を一度に読んで、すべての本からもっとも重要な情報のトップ3を選んで、実践することです。あまり数が多いと分散してしまうので要注意。数冊を同時に読むときには、1冊の本にこだわりすぎず、バランスよく全体を読むことをおすすめします。読んだ内容はメモをしておき、共通点、類似点、相違点を見つけましょう。

数冊を一度に読む方法を知っていると、仕事で「困った!」ということが起こったときに、短時間で本からアイデアを得て、行動に移せます。必要な時間はわずか1~2時間。誰かに相談する手間もなく、改善案やアイデアが入手できます。ぜひ本を使ってあなたのオリジナルのアイデアを生み出し、積極的にアウトプットしましょう。

文章の本だけでなく写真でもフォトリーディング

実際に複数の本の同時読みを事業に活かした方の例をみてみましょう。複数の本の同時読みを新店舗のデザインに活かしたというのは経営者のAさんです。

「海外にいままでやってきたことのない高級路線の店舗で展開することになりました。当たり前ですが、店舗デザインは従来の店舗とまったく違います。とはいえ、時間がなかったので、あちこちのお店を見学する暇もありません。そこで、まずは書店に直行。おしゃれな店が載っている本の写真を大量に見て、希望のイメージを膨らませていきました。フォトリーディングによって、店舗デザインも、店舗設計も決まり、スムーズにイメージを伝えることができました」(Aさん)

フォトリーディングは、文章のある本だけでなく、写真集、絵画などさまざまなものに生かすことができます。

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複数の書籍から大切な箇所を抽出し、成功法則を学ぶ

お父様から引き継いだ会社が少し傾き、経営についてフォトリーディングで勉強されたBさんは、成功体験の本をたくさん読まれたそうです。

「会社の経営がうまくいかなくなりましたが、リストラや減給は経営者として申し訳が立ちません。経営に関してもっと勉強しなければいけない。けれど時間がない……という状況の中、フォトリーディングが役に立ちました。世の中には経営者の成功体験が書かれた本がたくさんあります。私がフォトリーディングをビジネスに生かすことができたのは、それらの書物から、『この人からはこの部分』『あの人からはあの部分』と、大切な箇所を抽出していったからです。複数の著者の方のいい部分だけを取り込んで、それを自分の中で再構成していきました。その結果、会社の経営は1年で持ち直し、経常利益は前年対比500%もアップしました」(Bさん)

このように、フォトリーディングは会社の経営にも素晴らしい結果をもたらしてくれ、多くの経営者にも実践されています。

私が主宰する講座でも、「4冊同時読みフォトリーディング」というワークを行うことがあります。自分が探求したいと思う分野の本を4冊用意いただき、同時にひとつのテーマでフォトリーディングします。

これを行うと、作り出したい新しい未来に向けて、智恵を書籍からダウンロードし、自分の智恵とコラボさせてオリジナルの新コンテンツを見つけ、プロフェッショナル性に加速をかけることができるのです。そして、自分の意見がぶれなくなり、腹も座ります。

フォトリーディング受講後に著者デビューが叶った方は、この4冊同時フォトリーディングを実践している方は多いのです。複数の本の同時読みをフォトリーディングで行い、皆さんの可能性を広げていただければと思います。

■フォトリーディングの詳しい方法はこちら ステップ1<準備> 本を読む目的を決める ステップ2<予習> 目次をチェックする ステップ3<フォトリーディング> 本の情報を長期記憶に保存する ステップ4<復習> 本に質問を投げかける ステップ5<活性化> 文字を追いながら読む

■連載『未来が劇的に変化する「フォトリーディング」速読術』一覧はこちら photo-reading-bottom

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才能が目覚めるフォトリーディング速読術

山口佐貴子

宝島社 (2017)

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超一流の人がやっているフォトリーディング速読勉強法

山口佐貴子

かんき出版 (2013)

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