資格取得やスキルアップを目指し、平日の夜や休日などに勉強している人は多いはず。しかし、長い時間をかけて勉強してもちっとも身についている感じがしない、と思ったことはありませんか?

限られた時間を無駄にしないためにも、効率良く勉強したいものですよね。どのような勉強法、どれぐらいの時間を費やせば効果が現れやすいのでしょうか。今回は、「短時間集中型勉強法」についてお伝えします。勉強のコツが知りたい、という方は必見ですよ。

短時間で集中して勉強を行うことが効果的である理由とは?

学習において大事なプロセスは「陳述(ちんじゅつ)記憶」です。陳述記憶とは、イメージや言語として意識上に内容を想起でき、その内容を陳述できる記憶のことを指します。

記憶には短期記憶と長期記憶があり、短期記憶は時間が経つと長期記憶になると言われていますが、その移行する過程で海馬(大脳のとある部位)の記憶回路が関わっていることがこれまでの研究でわかっています。

短時間に頻繁に学習し、記憶することで高頻度に脳に刺激を与えて海馬における情報の伝達効率が上がり、より長期記憶の形成が行われやすくなるのです。よって短時間集中型学習の持続は、脳における情報の伝達効率を増強させます。これは、学習内容のインプットには最適だといえるでしょう。

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(引用元:教えて! 認知症予防|認知症の基礎知識

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(引用元:脳の機能と心と体の健康|脳の構造と脳の機能

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最も効率の良さが発揮できる勉強時間は?

成人の集中力の限界はおよそ1時間半であり、大学の授業時間が1コマ90分前後であるのはこのためだと言われています。しかし、個人差があるため、必ずしも1時間半とは限りません。そこで、自身でこの時間内なら集中できる、という集中力の限界を見つけましょう。最も集中できる時間が見つかれば、あとはそれに従って学習を進めるのみです。

大事なのは、一回集中して学習した後に小休憩を挟むといったセットを繰り返し、インターバル走のような形をとること。例えば、集中力を30分持続させられる方は、集中して勉強を30分したら、その後10~15分の休憩を挟みます。これを繰り返していくのです。

ちなみに筆者は90分程度が集中するにはちょうど良いと感じていたため、90分ごとに小休憩をとったり、昼寝をしたりして勉強を進めていました。それを6セット続けるだけで9時間になるため、1日の勉強時間としては十分と言えるでしょう。

だらだらと長時間続けて勉強をしてもあまり効果は望めません。

短時間で頻繁に勉強するコツ その1:短時間集中のクセをつける

すぐに集中する行動を繰り返せば繰り返すほど強化されることが分かっています。脳内には「報酬系」というシステムが存在し、外界のある刺激に対してある行動をした場合に快感があれば「正の強化」という作用を発生し、動物はその行動パターンを恒常化させていくのです。

これは、ご自身にとって快感を覚える学習継続時間を見つけ実践していくことによって、短時間持続型学習が恒常化することを示唆しています。いつでもどこでもスイッチを入れることを繰り返すことによって、すぐに集中状態に入れる脳が作れるというわけです。何かを書くとか読むといった具体的なアクションを短時間でやると、脳を条件づけるには非常に良いきっかけとなるでしょう。

すぐに集中することは簡単ではありませんが、たとえ集中できなくても無理やり始めてしまうことが大事だと、脳科学者の茂木健一郎は言います。集中するためには、とりあえず「やる」。それが大事です。

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短時間で頻繁に勉強するコツ その2:勉強後のごほうびを用意する

どうしても集中できない場合、自分に対して褒美を用意することをおすすめします。

例えば、次の90分間集中して勉強した後、見たかったドラマを見たり、ケーキを食べたりするのです。このように具体的な報酬を用意することによって、より集中して学習を行うことができ、学習効果をアップさせられます。

ただし、ご褒美の前借りは禁物です。なぜなら、一度でも許してしまうと、間違いなくそれが癖になるからです。ご褒美は必ず「何かを達成した後」に自分に与えるようにしましょう。

また、そのような小休憩を挟むことで脳はリラックスした状態になるため、次の90分間また集中して頑張れることができます。まさに一石二鳥と言えるでしょう。

短時間で頻繁に勉強するコツ その3:脳は常にベストなコンディションにしておく

集中力を発揮するには、常に脳のコンディションをベストにしておく必要があります。つらいと感じたら、その都度脳を休ませましょう。冒頭で述べたような海馬による短期記憶から長期記憶への移行には、時間を要します。

また、十分な睡眠こそが記憶とインプットには欠かせません。人間の睡眠は、浅い眠りの“REM睡眠”と深い眠りの“non-REM睡眠”という性質の異なる2種類の睡眠で構成されています。陳述記憶を強化する過程には、“non-REM睡眠”こそが重要なのです。

睡眠時間を削って勉強した分のしわ寄せは、必ずや他の日にやってきます。眠りが浅く、記憶が定着しないようではなおさら悪循環です。疲れや眠さと感じたら休む癖をつけましょう。

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記憶のプロセスとして、記銘(何かを覚える)→保持(覚えた情報を維持する)→再生(その情報をアウトプットする)の3つがありますが、試験などで最終的に問われるのはアウトプットつまり“再生力”です。しかし、これはきちんと情報がインプットされていなければ当然発揮されません。

インプットに効果的な短時間集中型学習法で、再生力をきちんと発揮させましょう。

(参考)
Eric Kandel(2012),『Principles of Neural Science,Fifth Edition』,McGraw-Hill Professional
金澤一郎・宮下保司監修(2014),『カンデル神経科学』,メディカルカンデル
Gordon M. Shepherd(2003), 『The Synaptic Organization of the Brain』, Oxford University Press; 5 edition
栗山健一|情動記憶と睡眠