なんだか自信がもてず、仕事もあまりはかどらない。どうせダメだと思ってしまうと、やる気も出てこない――このような状況をなんとかしたいと感じているならば、ぜひ試してほしい方法があります。
それは、日々のやることを拾い上げて管理して、無理なく小さな成功体験を積み重ねることです。順を追って説明しましょう。
タスクは日常にあふれている
タスクといえば、何かを達成するために必要な、小さな単位のやるべきことですよね。ビジネスシーンだと、
- (プレゼン用の資料をつくるため)今日のお昼までに図表を作成する
- (新たな企画を提案するため)今日中にデータをまとめる
といった感じでしょうか。そして、実際のところ、日常生活においても数々のタスクが実行されています。たとえば、
- 明日は雨らしいので、今日のうちにシーツを洗っておこう
- あさって荷物を受け取るには、今日の午前中までに注文しなきゃ
といった具合です。
前者の仕事関連は、やることリストに書き加えて意識的に行なっている人が多いでしょう。一方で後者の日常的なタスクは、やることリストに加えるまでもなく、気づいたら終わっているケースがほとんどではないでしょうか。
つまり、日々私たちは無意識のうちに、ものすごい数の “やるべきこと” を完遂している可能性があるわけです。
小さな成功体験を重ねる効果
先に述べたような、私たちが無意識のうちに完遂しているたくさんの “やるべきこと” を、あえて書き出してみるとどうなるでしょう? 日常的なタスクのやることリストをつくり、終わったものから消していくのです。
私たちは日々膨大なタスクをこなしているわけですから、リストアップしたタスクを消すたびに得られる爽快感や満足感、達成感はかなりのものになるはず。
どんなに小さなものでも、成し遂げた事実には変わりないからです。だとすれば、それらはすべて小さな成功体験と言っていいのではないでしょうか。
社会人向けポジティブ心理学・レジリエンス学習を促進する講座やオンライン勉強会などを提供する、ポジティブサイコロジースクール代表の久世浩司氏によれば、小さな成功体験でも確実に積み重ねていくことで、自己効力感が高まり、自信がついていくるそうです。
(参考元:ダイヤモンド・オンライン|まずは「小さな成功」により自信を積み重ねよう)
また、産業医・精神科医の井上智介氏は、自信の存在が次のような好循環を生むと説明しています。自信があると――
- やる気を促す脳内物質ドーパミンが分泌される
- するとモチベーションが高まり仕事がはかどる
- するといい結果につなり評価される
- 評価されると承認欲求が満たされる
- するとまた脳内でドーパミンが分泌される
(参考元:PRESIDENT WOMAN Online|「がんばりすぎることは人生のリスク」周囲の評価に振り回されない私になる思考法)
些細な物事をひとつひとつ達成する――その単純な積み重ねで自信がつき、仕事がはかどるというメリットまでも得られるわけです。ならば、日々に埋もれてしまいそうなタスクも拾い上げ、成し遂げたことをハッキリと自覚できるようにするといいのではないでしょうか。つまり、日常的なタスクを見える化するのです。
成功体験の見える化に役立つツール
日常的なタスクを拾い上げる際には、下の写真のような短冊型のメモ帳を使うと便利です。横幅が狭くてスペースが少ないので、簡潔に書く必要があり、最小単位のやるべきことに絞り込みやすいからです。内容の細分化は単純化につながり、実行する際のスピードアップにもつながるはず。
また、縦に長い短冊型だと、1ページにやり終えたことが長く積み重なり、達成感をより高めてくれる気がします。
ちなみに、筆者はページ内のリストをすべて終えても切り離さずに、めくって使います。
そうすると、あとで完了したページを眺めた際に、再び達成感を得ることができますし、どの段階で何を行なったか確かめることもできるからです。
書くためのツールとしては、2色のカラーがひとつになっているマーカーもおすすめ。こちらの写真のマーカーは、目立つカラー×控えめカラー、目立つカラー×目隠しグレーといった2色が1本にまとまっています。
ご覧のとおり特徴的な形をしているので、ペンを持ったままクルリと回すだけで、色を使い分けることができます(参考元:コクヨ ステーショナリー|マークタス)。
終わったタスクを消すことに加え、違う色で重要箇所や留意点などを目立たせる作業が、何本ものペンを使うことなくできるのでとても便利です。
日常に潜む成功体験をすべて見える化してみた結果
便利なツールを使って日常的なタスクを書き出し、実行するたび消す――ということを繰り返してみたところ、「日々を意外としっかり過ごしているね」と、自分をほめたい気持ちになってきました。
この経験を通じて、気づいたことがあります。それは、自信がない、仕事がはかどらない、どうせダメ、やる気がない、といった感覚は、自分で勝手につくり出しているものに過ぎないのかもしれないということです。
たとえ仕事のことで落ち込んでいたり自信を失っていたりするときでも、日々のタスクは知らぬ間にいくつもこなしています。それを見える化して、うまくいっている感覚を味わえればこっちのもの。識者らが説明していたように、
小さな成功体験を積み重ねる
⇒自信がつく
⇒ドーパミン分泌
⇒仕事がはかどる
⇒いい結果につながる
⇒評価されてまたもやドーパミン分泌
といった、好循環を手に入れられるかもしれません。よろしければ、ぜひ一度お試しくださいね。
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自信を失って落ち込んだ気持ちを回復させるのに役立つ方法をご紹介しました。今回は埋もれがちな日々のタスクを拾い上げてみましたが、もちろん、仕事の細々としたタスクに目を向けてもいいでしょう。みなさまが日々を快適に過ごすための、ちょっとしたヒントになれば幸いです。
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コクヨ ステーショナリー|マークタス
STUDY HACKER 編集部
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