最近、デジタルで勉強しようとする動きが盛んになってきていることを知っていますか?

2015年に東大・京大合格者109人を輩出した関西有数の難関進学校である西大和学園では、2014年から高校1年生全員にiPadを配布し、授業で活用しています。その他にも、ベネッセでは小学生向けの通信教育講座にてタブレット端末を無料配布するといった施策をとっています。

こういった、Education(教育)× Technology(テクノロジー)=EdTech(エドテック)と呼ばれる分野の発達には目覚ましいものがあり、Study Hackerでも以前からその様子はご紹介してきました。
・Study Hacker|EdTech(エドテック)

しかし、未だに参考書は紙のものの量が圧倒的ですし「勉強はやっぱり紙!」という人も少なくありません。実際のところ、紙とディスプレイではどちらが勉強に優れているのでしょうか?

紙は「集中型」、ディスプレイは「ざっくり型」

スマホやタブレット端末の文字を読むのと紙に書かれた文字を読むのとでは、根本的な違いが“光”です。

【ディスプレイ】透過光:光を直接発しているため、目には光源からの光がダイレクトに当たります。
【紙】反射光:紙に書かれた文字は光を発さず、太陽や照明の光が反射することで我々の目に入っています。
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資料を作り、確認してから印刷したのに読み直したら間違えに気づいた、という経験はありませんか? 一般的に、誤字脱字などのミスは印刷してからの方が見つけやすいそうす。

社会学者である有馬哲夫は、著書の中でその理由をこう述べています。

紙に印刷して読むとき──つまり、反射光で文字を読むとき、私たちの受容モードは自動的に、そして脳生理学的に「分析モード」になり、心理的モードは「批判モード」に切り替わる。したがって、ミスプリントを見つけやすい。(中略)(透過光でものを見た時)私たちの認識モードは、自動的にパターン認識モード、くつろぎモードに切り替わります。

パターン認識モードとは、細かい部分は多少無視して、全体的なパターンや流れを追うような読み取り方をいいます。分析モードの対極にあるもので、多量の情報を短時間に処理しなければならないときは、このモードになりやすいといえます。(中略)ここから、私たちが透過光で文字を読む場合は、何となく全体の流れを追うだけになってしまい、細部にあまり注意を向けることはできません。したがって、ミスプリントを見逃してしまうということになります。

(引用: 有馬哲夫著(2007),『世界のしくみが見える「メディア論」―有馬哲夫教授の早大講義録』, 宝島社. )

ここからわかるのは、単に“紙の方がメディアとして優れている”というわけではないこと。大まかな情報パターンや流れを掴む時にはディスプレイ、細かく集中した作業を行う時には紙が向いているといえるでしょう。それぞれ、得意、不得意があるのです。

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“手書き”で記憶に刻もう

紙に書かれた情報を見る時、私たちは「分析モード」になります。つまり、しっかりとインプットしたい勉強、間違いに気づく必要のある勉強は、必ず紙とペンを使ってやるべきです。

例えば、暗記をする時、WEB上の暗記アプリやフラッシュカードを使って覚えようとしていませんか? 画面の透過光を目で追うだけでは、詳細まで記憶に残すことは難しいでしょう。また、米ワシントン大の研究者が「手書きで勉強する方が記憶に残る」という研究結果を発表しています。

パソコンを使っていた学生は24時間後には記録した内容を忘れてしまうことが多かった。また、大量のノートを見返しても記憶を呼び戻すのにあまり有効ではなかった。それが非常に表面的だったからだ。対照的に、手書きでノートを取った学生は講義内容を長く記憶でき、1週間後でも講義で示された概要をよく覚えていた。専門家らは、書くというプロセスがより深く情報を記憶に焼き付けると指摘する。また、手書きのノートはよく整理されているため、復習にもより大きな効果を発揮する。

(引用:THE WALL STREET JOUNAL|あなどれない「手書き」の学習効果

暗記と問題演習は、ペンと紙を使うことで記憶力が高まり、効率的に勉強することができるでしょう。

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“デジタル”でスピードUP

ディスプレイ上に表示された文章を読む時、私たちの脳は「パターン認識モード」になります。つまり、大まかに情報を捉える時、ざっくりとスピード感を大事にしたい時は、デジタル方式で勉強すべきでしょう。

例えば、講義の板書やメモを取る時に、大学教授の講義をテストの見直しのようにみっちり聞くのは至難のワザです。むしろ、集中力が切れて逆効果でしょう。ざっくりと内容を捉え、あとから復習する工夫が必要です。また、単位時間あたりに記録できる情報量は、圧倒的にデジタルの方が上だといえます。

研究者によると、ノートパソコンで授業のノートを取る学生は鉛筆やペンを走らせる学生よりも多くの量を記録し、容易に講義についていける場合が多い。パソコンを使う大学生はおよそ1分間に約33ワードのペースで講義ノートを取れるからだ。一方、手書きの学生は約22ワードがせいぜいだ。

(引用:THE WALL STREET JOUNAL|あなどれない「手書き」の学習効果

筆者は、大学の講義の時に、メモを作成、管理してくれるシステムEvernoteを使用しています。複雑な数式が登場する物理学の講義はタイピングが難しいですが、文系科目はかなり楽にノートを取ることができます。手書きのノートと違い、そのまま編集し、まとめ直すこともできるので便利ですよ。

物事には必ず、長所と短所があります。上手に使い分けて、勉強をよりスマートにしていきたいものですね。

(参考)
TechTarget ジャパン|東大・京大進学校、西大和学園生はなぜ「iPadで学校改革」に本気なのか (1/2)
ベネッセ|進研ゼミ+小学講座
有馬哲夫著(2007),『世界のしくみが見える「メディア論」―有馬哲夫教授の早大講義録』, 宝島社.
THE WALL STREET JOUNAL|あなどれない「手書き」の学習効果