真面目に試験勉強に取り組んだはずなのに、なぜかいつも肝心な試験本番で失敗してしまう……。こんな悩みをお持ちの方はいないでしょうか。急に体調が悪くなってしまった、緊張して頭が真っ白になってしまった、といった理由から本来の自分の実力を出しきれなかった場合はたいへん悔やまれますよね。

そんな失敗の根本的な原因は、もしかしたら「普段と本番とのギャップ」にあるのかもしれません。そのギャップをうまく埋めてあげられれば、本番で自分が持つ本来の実力をしっかりと発揮できるようになりますよ。

そこで今回のテーマは「気分状態依存効果」。人の記憶における“心理的効果”を利用して、試験本番に強くなる方法をご紹介します。

気分状態依存効果とは

「気分状態依存効果」とは、

ある気分で記銘された情報は,検索時に同じ気分であればよりよく検索される

(引用元: 高橋惠子・河合優年・仲真紀子著(2007), 感情の心理学, 放送大学教育振興会.)

というもの。楽しい時に記憶したことは同じく楽しい時に思い出しやすくなる、苦しい時に記憶したことは同じく苦しい時に思い出しやすくなる、そういった効果のことですね。

試験本番という状況は、誰もが多少なりとも無意識に緊張してしまうもの。それもそのはず、時間帯、周りの空気感、音なども普段の環境とは異なっているのですから。ならば「気分状態依存効果」に従って、普段と本番との間にある様々なギャップを埋めていけばいいのです。そうすることにより、普段勉強していた内容が、本番でも想起されやすくなるはずです。

では具体的にはどのようにすればギャップを埋めていくことができるのでしょうか。その方法を3つご紹介します。

honbanni-tsuyoi-02

kaji-855-ec
TOEIC 3ヶ月で400点アップ! 英語の「ジム」 English Company モニターインタビュー
人気記事

1.時間をそろえる

最も手軽にできる方法として、本番の試験時間に合わせて、普段の勉強をすることが挙げられます。

現在、人間の体温など身体のコンディションを表すパラメーターは概日リズムと関連があるとされており、気分も同様に関連性が示唆されています。つまり、常日ごろ本番の試験時間に合わせて勉強することで、普段から本番のコンディションや気分を体感できるのです。

例えば、自分が受験する予定の試験が朝早くに行われることがわかっている場合は、早起きをする習慣を事前に身につけておき、試験が行われるのと同じ時間帯に勉強に取り組んでみるようにしてください。そのようにして「気分状態依存効果」を利用していけば、本番に強くなっていくことが期待できます。

2.環境をそろえる

内面を整えたら、次は環境のギャップを埋めていきます。その方法として、「普段から、すぐ近くで他の人が真剣に鉛筆を動かす環境の中で勉強する」というものがあります。これにより、本番の空気感に慣れていくことができるのです。手軽なところでは、近所の図書館の自習室などはいかがでしょう。

試験会場は、シンと静まり返っている中で鉛筆やペンを走らせる音だけが聞こえてくる世界です。そうした独特な空気感の中で日ごろから勉強して、試験本番のような外部環境に慣れておきましょう。過度な緊張の防止につながるはずです。

3.本番で使えないものは使用しない

最後に、「本番で使えないものは使用しない」ということが挙げられます。

よく、勉強のお供として音楽を聞いたりガムを嚙んだりしながら勉強する人がいますが、本番と普段の環境のギャップを埋めるという観点からすれば、あまりおすすめできない行為です。音楽を聴いたりガムをかんだりしながら勉強することに慣れてしまうと、試験本番でいざそれらがない状況に身を置かれたときにギャップが生じて、集中できなくなってしまうからです。そのため、それらがない状況で問題を解くことに、常日ごろから慣れておくべきでしょう。そうすることにより、普段から本番モードの態勢を整えられるはずですよ。

***
試験本番では環境も自分のコンディションもいつもと大きく異なります。特に試験会場という外部環境は、自分ではコントロールすることができません。そこで普段から、意識的に本番に近い環境や心理状態で勉強をしておけば、最良なかたちで「気分状態依存効果」が生まれるはずです。ぜひ本番でも100%の実力を出せるようになってくださいね。

(参考)
高橋惠子・河合優年・仲真紀子著(2007), 感情の心理学, 放送大学教育振興会.
元村祐貴著(2016),『睡眠・概日リズム機構が気分調節に及ぼす影響とその神経基盤』, 日本時間生物学会. Vol.22, No.1(http://chronobiology.jp/journal/JSC2016-1-012.pdf
医療法人栄仁会 宇治おうばく病院|おうばく心理室コラム/2012年6月