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「論文」を読んだことがある方、どれぐらいいるでしょうか。「どうせ難しい専門用語がずらずら並んでいるんでしょ?」「学者じゃないのに、論文なんて必要ある? 」そんな声が聞こえてきそうですね。

確かに、論文と言うと、学者以外の人にとってはハードルの高い研究論文が多いもの。しかし、そんな真面目な論文の中には、身近なテーマを扱っていて面白く読める論文もあるのです。

今回は、論文初心者にもぴったりな、面白い論文を2点ご紹介したいと思います。

論文はこう探す! インターネットで手軽に検索

論文をご紹介する前に、論文の探し方について説明しておきたいと思います。論文初心者の人にとっては、どうやって論文を探したらよいのかなんて分からないですよね。大学の図書館に行ったり学術誌を手に入れたりしなければ読めないと思われがちですが、実はインターネットで無料公開されているものも多いのです。

多くの研究者や大学生、企業のリサーチャーが使っているのが、「CiNii(サイニィ)articles」というサイト。学術論文を検索できて、PDFで読むことができるサイトです。

このサイトの検索ボックスに、読んでみたい論文のキーワードを入れるだけでOK。検索すると、国内で発行された論文がズラッと表示されます。注意点は、全ての論文が無料公開されているわけではない、ということ。「オープンアクセス」と表示されているものだけが無料で読むことができる論文です(CiNiiには教育機関や企業、研究者向けの有料制度があります)。

それでは早速、私が選んだ注目論文を紹介しましょう!

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女子高生のドロドロした人間関係を学術的に研究した論文

タイトル 「高校生女子の人間関係悪化とメール利用の関係
著者:埼玉大学大学院教育研究科 加藤千枝氏  発表年:2012年
※以下引用は本論文から

スマホに代表されるインターネット端末が普及した現代において、青少年の人間関係にはそれらが不可欠になっています。教育科学者である加藤氏によるこの論文は、ネットいじめなどの問題が起きている現状を踏まえ、メールやSNSなどの利用が人間関係にどのように影響するのかを研究したものです。

メールは親密性を高め合うための手段として使われる一方,それを利用して他者を攻撃したり,逆に他者から攻撃されたりする手段としても使われていることが明らかとなった.

論文では、アンケート調査やインタビューによって得られた具体的なエピソードの分析と、考察が述べられています。

Cさんは学校行事で知り合い,親しくなった異性(a君・仮名)との関係が悪化したエピソードについて述べた.Cさんとa君は高校の文化祭で知り合い,メールやSNSでのやりとりを介してお互いの関係を深めていた.しかし,a君が別の女性に好意を寄せていると知ったCさんは怒り,a君とのメールのやりとりを止め,SNS上で彼に対する愚痴を発信した後,リンクも絶った.

この事例についての考察は以下の通りです。

現実世界における親しい異性との関係が「切れた」エピソードであるが,相手との関係が「切れた」理由として,メールをはじめとするネット上におけるやりとりの齟齬が挙げられる.(中略)その齟齬を現実世界において修正する機会がなくなり,関係は「切れた」と言える.

論文の終わりに、他人との関係が「切れる」か「切れない」かは現実世界での距離感が決める、と結論づけられています。

ハッとさせられる考察です。SNSやチャットアプリが高度に発達し、Face to Faceのコミュニケーションをないがしろにしてはいないでしょうか。人と人との関係性を決めるのは、結局のところ現実世界なのだと心得ましょう。

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インターネットカフェの利用者がどのように寝るかを研究した論文

タイトル 「インターネットカフェにおけるパーソナライゼーションに関する基礎的研究
著者:北海道大学大学院工学院 有吉洸氏 発表年:2011年

「カフェ」という飲食するはずの場所を寝泊まりする場所に変えてしまった「インターネットカフェ」について論じたものです。

一般的に、人には「パーソナルスペース」と呼ばれる領域があります。それは他人に入られたくない範囲であり、知らない人と接触する際のパーソナルスペースは、1.2m~2mの距離が一般的なのだそう。そのパーソナルスペースを確保するため、人は自分用に空間を作り変え(=パーソナライゼーション)ようとするのだといいます。専門用語に戸惑うかもしれませんが、簡単に考えてみてください。自分の部屋で、洋服はここ、文庫本はここに片づけないとスッキリしないといったことがあるかと思います。まさにそれがパーソナライゼーション。空間を「自分のために作り変える」ことなのです。

インターネットカフェで寝る時、人はどこに荷物をおき、どのようにして寝るのか。この論文では、パーソナライゼーションの観点からそれを考察しています。自分がいつもどんな風にしてインターネットカフェを使っているか、振り返りながら読んでみると面白いかもしれません。

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いかがでしょうか。縁遠いと思っていた論文も実はなかなか面白い、ということを知っていただけたら幸いです。
何かを調べるとき、すぐにNaverまとめや知恵袋に頼るのではなく、時にはしっかりとした論文にあたってみることも必要かもしれませんね。

参考
Wikipedia|パーソナルスペース


東京大学理科二類所属。県立浦和高等学校および駿台予備校出身。小さいころから自然や生き物に関心を持ち、高校時代に読んだ福岡伸一の「生物と無生物のあいだ」に刺激をうけ、分子生物学を志す。テニス歴6年。AKB48の大ファン。