突然ですが、2つ質問です。「成功」を一言で表すとどのような言葉が適当だと考えますか? そして、「良いリーダー」に必要な要素は何だと思いますか?
この2つの質問は、先日のCNNニュースにてインタビュワーが様々な著名人に対して投げかけた質問です。彼らは、「成功」とは「幸せ」「自律性」「熱中」「達成感」などであると言い、良いリーダーには「決断力」「理解力」「継続性」「規範となること」などが必要であると答えました。著名人それぞれの掲げる哲学が垣間見える回答だと言えます。
今回は、これらのキーワードの中から、成功を導く「自律性」と、良いリーダーたるために求められる「決断力」について考えていきます。
自律性を持つためには
国語辞典によると、「自律」の定義は以下の通りとなります。
他からの支配や助力を受けず,自分の行動を自分の立てた規律に従って正しく規制すること。 (中略) 自己の欲望や他者の命令に依存せず,自らの意志で客観的な道徳法則を立ててこれに従うこと。
(引用元:Weblio辞書|三省堂 大辞林 「自律」)
文字通り、自分の価値観で自分を律することを表します。正しい価値観を身につけ、他の何物でもない自分自身の価値観に従って行動していくこと。周囲に流されない自律性を持った人こそが、成功するというわけですね。
自分の価値観や信念を持ち、それに従って行動できるようになるためには、それらを形成するための深い教養が必要です。東京大学教養学部の元学部長である石井洋二郎氏は、卒業式のスピーチの中で次のように語っています。
あらゆることを疑い、あらゆる情報の真偽を自分の目で確認してみること、必ず一次情報に立ち返って自分の頭と足で検証してみること、この健全な批判精神こそが、文系・理系を問わず、「教養学部」という同じ一つの名前の学部を卒業する皆さんに共通して求められる「教養」というものの本質なのだ
(引用元:東京大学 大学院総合文化研究科・教養学部|平成26年度 教養学部学位記伝達式 式辞)
これほどまでにインターネット社会が進み、誰でも簡単に情報を手に入れられる現代だからこそ、自らの頭で物を考え自らの言葉で語っていくことが必要なのです。また、自らの言葉で語るからこそ、自分に責任も生まれます。この責任を持って初めて、自律への一歩を踏み出したと言えるでしょう。
決断力を手に入れるには
決断には必ず変化が伴います。変化することによって何かを失うこともあるでしょう。私たちが決断を渋る要因のひとつに、この喪失を恐れているということが挙げられます。では、喪失を伴う決断を迫られたとき、どのように判断したらよいのでしょうか。
その判断基準のヒントとなるのが、いかにして「捨てるべきもの」を選ぶかということ。変化を取る(=決断した方向へ進む)べきか、失わずに済むほうを取る(=決断しない。現状維持)べきか、のどちらを選ぶかで迷ってしまうのならば、次のように考えましょう。今ここで決断することの長所・短所は何か、決断しないことの長所・短所は何か、を考え、これは無いだろうと思える方を捨てるということです。
消去法と言ってしまうとネガティブに思うかもしれませんが、ここぞというときには合理的な判断基準となるのだと心得ましょう。
*** 冒頭のエピソードの中で、インタビュワーは「あなたは自分のことを良いリーダーだと思いますか? 」という問いも投げかけています。ほぼ全員が「はい」と即答し、自分のことを「素晴らしいリーダーだ」と認める人もいたのです。自分に自信があることがうかがえます。良いリーダーたるには、自信家であることが必要。自信家ならば、自律性も決断力も自然と備えているでしょう。自律性と決断力を磨くことで自信へとつなげる。まずはここから始めてみませんか。
(参考) CNN|The definition of success in one word CNN|Are you a good leader? Weblio辞書|三省堂 大辞林 「自律」 東京大学 大学院総合文化研究科・教養学部|平成26年度 教養学部学位記伝達式 式辞 点と点をつなぐためのメモ - connecting the dots|決断には捨てることが大事 - 決断力

