キャリアについてモヤモヤを抱えているけれど、そのモヤモヤをどう解決すればいいのかわからない。だからもう何年もモヤモヤしたまま現職を続けている……。そんな人は少なくありません。
しかし、「正しい一歩」さえ踏み出すことができれば、自己成長や自己理解が促進され、あっという間にモヤモヤから抜け出せますよ。
今回は、モヤモヤしたときにやりがちなNG行動と、そのモヤモヤを打破する方法を詳しく説明しましょう。
【ライタープロフィール】
松尾洋希(まつお・ひろき)
(株)ベネッセコーポレーション入社後、進研ゼミ高校講座のマーケティング経験を経て、㈱ベネッセi-キャリアにて大学の教育改革・大学生のキャリア教育支援に従事。大学生向けキャリア教育のプログラム開発責任者を担当。現在は㈱ベネッセコーポレーションにて社会人向けキャリアコーチングサービス「CAREER STAGE」のサービス開発を手がける。
5つの「モヤモヤしやすいタイミング」
まず、ビジネスパーソンがキャリアにおいてモヤモヤしがちなタイミングがあることを理解しておきましょう。ざっくり分けると、5つのモヤモヤしがちなタイミングがあります。
タイミング1:区切りのいい年齢・キャリアの節目
「30歳、35歳、40歳など、区切りのいい年齢になった」「『35歳が転職の限界』といった年齢の壁を意識し始めた」など、年齢がきっかけでモヤモヤし始める人が多いようです。また、「上司との面談で、今後のキャリアについて聞かれた」「年齢的に昇進・昇格が見えてきた」といったタイミングで自分のキャリアを考え始めることも。
タイミング2:仕事内容・まわりの環境が変わった
「管理職になった」「管理職を意識し始めた」とき。また、部署異動や転職した直後に「想像していた環境とギャップがあった」とき、上司が変わったり、新しいメンバーがプロジェクトに加わったりと、仕事をする仲間に変化があったときもモヤモヤしやすいタイミング。ほかにも、新しいプロジェクトがスタートしたが、自分の強みが活かされない……という場合もモヤモヤしがち。
タイミング3:ライフイベントがあった(予定がある)
「結婚した」「結婚の予定がある」「妊娠」「出産」だけでなく、「結婚を意識し始めたとき」も、キャリアについて考えるタイミングと言えるでしょう。新生活をスムーズに迎えるため、雇用形態、勤務場所、勤務時間など、キャリアの見直しをするなかで、モヤモヤしてしまう人が多い印象です。また住宅購入時も、「〇年後の自分」を想像してモヤモヤする人が増えます。
タイミング4:同僚と自分のキャリアを比較した
転職に成功した元同僚や、副業を始めた同僚、仕事を頑張りながらプライベートも充実させている友人の近況を知り、自分のキャリアと比べてモヤモヤ。ほかにも、充実した生活を投稿する同僚のSNSを見たときなども、モヤモヤしがち。また、同期やチームメンバーが昇進・昇格したタイミングも「自分はこのままでいいのか……」と考えてしまうようです。
タイミング5:未来のキャリアに希望がもてなくなった
このタイミングが一番多いかもしれません。「仕事で評価されない」「昇進や昇給が難しい」など、この先のキャリアが見込めないと感じたときです。また「仕事の負荷が大きい」「ストレスを強く感じる」「プライベートの時間がない」などもモヤモヤのきっかけとなります。ほかにも、上司や部下との人間関係や、会社の将来性もモヤモヤの原因になるでしょう。
自分のキャリアにモヤモヤしているのは、あなただけではありません。順風満帆に見えるチームメンバーだって、じつはモヤモヤしているかもしれません。それに、モヤモヤしているからこそ、変化を起こすきっかけになると思います。
モヤモヤしたときにやりがちな「NG行動」
モヤモヤしたときに重要なのは、あなたにとっての「正しい一歩」を踏み出すことです。キャリアへの焦りから、以下のような間違った行動をしてしまう人も少なくありません。あなたは当てはまっていませんか?
NG行動1:転職をまず第一に考える
現在抱えている問題や不満は、すべて転職によって解決できると考えてしまう。転職自体を目的にして行動するが、結局「モヤモヤの正体」は解決できていないので、転職後も同じモヤモヤを抱えてしまう可能性があるでしょう。
NG行動2:不安解消のための資格取得
不安なときは「目に見える自信」「安心」が欲しくなるため、「役立つ資格」などを検索して取得しようとする(MBA、デジタル系、英語など)。しかし手っ取り早い不安解消を優先すると、結果的に、つまらなく感じたり、やる気を失ったりして、資格の勉強をやめてしまうことも……。
NG行動3: “多くの人の意見” を参考にする
解決したい具体的な問題がない状態にもかかわらず、 “とにかく多くの人に” アドバイスを求める。また、適職診断・性格適性検査などを手当たり次第やってみる。どちらも、「なるほど!」と思うことはあっても、モヤモヤの解決にはつながらないことも。
NG行動4:「モヤモヤ」に蓋をし続ける
モヤモヤしているのに、モヤモヤに蓋をして行動を起こさずに先延ばしにする。誰しもあることだと思います。モヤモヤ、特に不透明な未来を考えることは難しいですが、蓋をし続けると、どんどん複雑化し、気づいたときには身動きがとりにくくなってしまうこともあります。
キャリアに正解はありません。もしあなたが、「いままでキャリアについて深く考えてこなかったけれど、最近なぜかキャリアについて考えるようになった」のならば、モヤモヤしつつも前進しているということ。さあ、もう少しだけ深く、自分のキャリアについて考えてみましょう。
モヤモヤしたとき “本当に” やるべきこと
モヤモヤしている人は、あなたにとっての「正しい一歩」を踏み出すことが必要です。最後にモヤモヤの解消法を紹介します。
解消法1:ノートにモヤモヤを書き出す
まずは、モヤモヤの原因をはっきりさせます。頭のなかでぐるぐる考えるよりも、モヤモヤを書き出して悩みを可視化させたほうが効率的。次のやり方でモヤモヤを書き出しましょう。
- モヤモヤしていることを書く
- いまの感情に(正直に)書く
- モヤモヤしたきっかけを書く
- モヤモヤがない理想の状態を書く
モヤモヤを紙に書き出したら、 4 の「モヤモヤがない理想の状態」に向けて、具体的な行動を開始しします。
※詳しいやり方はこちら↓
『キャリアアップのため「すぐに転職」は正解? 現職への「モヤモヤの正体」を解消する簡単ノート術』
解消法2:キャリアコーチングを受ける
ノートに書き出したモヤモヤが複雑で、解決方法までたどり着けそうにない……という場合は、キャリアコーチングを受けてみましょう。
キャリアコーチングとは、キャリアコーチがあなたのモヤモヤの原因を明確にし、解決への具体的なプランを立てる目的達成の手法です。以下がキャリアコーチングのメリット。
- 人生を大きくポジティブに変化させていく、動かしていくことができる
- 自分では気づかなかった「強み」「やりたいこと」を発見できる
- 自分に合う仕事、働き方などがわかり、納得のキャリアをつくっていける
- やるべきことが明確になり、仕事への意欲が上がり、社内で活躍できる
近年は、キャリアに限らず、さまざまなジャンルで「プロに相談する」ことが注目されていますよね。ひとりでやみくもに頑張るよりも、問題解決が早く、大きな成果を得られるというのが、その理由でしょう。キャリアコーチが伴走してくれることで、短期間で、自信をもって次のステップに進めるのです。
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「キャリア迷子」は、多くの人にとってよくあること。仕事をしていれば、周囲のものさしで一喜一憂する場面もあるでしょう。しかし、モヤモヤしたり、悩んだりしているときこそ、じつはステップアップのチャンスなのです。あなた自身が納得のいく、ベストな答えにたどり着けますように――。