「仕事と勉強を両立させたいけれど、忙しくて全然勉強が前に進まない」「スキマ時間の活用だけでは効果を感じられない」
と悩みながら勉強している方は多いのではないでしょうか。
せっかく時間をやりくりして努力しているなら、目に見える成果を出したいですよね。
勉強方法を工夫すれば、スキマ時間がメインの細切れ勉強でもしっかり効果を感じることができます。本記事では、勉強が前に進んでいる実感が得られる3つの方法をご紹介します。
【ライタープロフィール】
柴田香織
大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。
リクナビNEXTジャーナル|資格を取る!と決めたら、こう計画せよー「資格の大原」講師が熱弁
ダイヤモンド・オンライン|【東大教授が教える】「目標だけ立てて終わる人」と「確実に目標達成できる人」の決定的な差
THE GOLD 60|覚えたはずなのに思い出せない…!「記憶力を高めるため」に大事なこと【脳内科医が解説】
株式会社脳の学校|脳の学校・脳番地とは
現代ビジネス|【学習法】最も効果的な「復習スケジュール」に関する驚きの研究結果
1. スキマ時間活用にこそ「計画」を
忙しいなか、スキマ時間で効果的な勉強をするには、事前に勉強計画を立て、いつまでに何をするべきかを把握することが重要。また、スキマ時間の活用内容も決めておきましょう。スキマ時間は短いのが普通なので、スキマ時間ができてからやることを考えていては活用できません。
時間管理コンサルタントなどを務める石川和男氏は、
試験日までに残された日数(期間)を目に見えるようにする。(中略)計画を立てることで、限られた時間で行える勉強時間が明確になり、重要な箇所を試験日までに行えないなどのミスを防げるのです。
と語ります。(引用元:リクナビNEXTジャーナル|資格を取る!と決めたら、こう計画せよー「資格の大原」講師が熱弁)
事前に計画を立てておけば、限られた時間のなかで重要な箇所を効率的に勉強することができるのですね。時間がない人こそ、計画を立てることは重要です。
具体的な計画の立て方は、「“紙1枚” で立てる「勉強の年間計画」がすごい。計画通り勉強できた試しがない人に効く!」がわかりやすく、おすすめです。
以下のように、紙1枚に計画を書くと、試験日までの流れとやるべきことが見通せます。忙しくても簡単に計画をつくれ、これからの流れもスムーズに確認ができますよ。
さて、計画を立て、重要な箇所を把握したら、いよいよスキマ時間で勉強していくことになります。しかし、細切れに、場合によっては複数の内容を行き来しながら勉強することになるので、なかなか前に進まないように感じることも多いはず。
そういう場合は、進捗を記録してみましょう。いま自分が課題をどれくらい進められているのかを目に見えるようにするのです。
行動経済学などを専門とする、東京大学大学院経済学研究科教授の阿部誠氏は、
「フィードバック」があることで「最終的な目標」に近づいているという結果が見えるので、より目標達成のインセンティブが高まるのです。
(引用元:ダイヤモンド・オンライン|【東大教授が教える】「目標だけ立てて終わる人」と「確実に目標達成できる人」の決定的な差)
と語ります。「TOEICの勉強を始めた当初は750点だったのが、760点、790点と上がっていき、安定して800点をとれるようになった」というのが実感できると、勉強のやる気が上がりますよね。
それでは、どのように進捗管理すればいいのでしょうか。細切れの勉強や、複数の科目の進捗管理には、特にガントチャートがおすすめです。
管理する項目ごとにノートのページを分けると、煩雑になりがちです。しかしガントチャートなら、1ページで複数の科目の進捗が全て見通せるため、シンプルで楽に進捗管理ができます。
ガントチャートを使った具体的な進捗管理法については、「東大生がやっている勉強の進捗管理法。手書きの「ガントチャートノート」で学習が超絶はかどる」で実践しているので、ぜひそちらもご参照ください。
計画の立て方も勉強の進捗管理法も、負担なく続けられるものを選んで、「自分がいま何をすればいいのか」「次にすべきことは何か」を常に把握しながら勉強してみてください。自分が着実に進んでいることがわかり、モチベーションが高まりますよ。
2. アウトプット前提で勉強する
スキマ時間で勉強するとき、なんとなくテキストを読むだけ、単語帳を眺めるだけ……となっていませんか。特に資格試験においては、いくら暗記に時間を費やしても、試験で答えが書けなければいままでの努力が無駄になってしまいます。そのため、勉強の効率を上げるには、アウトプット前提で勉強することがポイントです。
それでは、どのようなことに気をつけて勉強すればいいのでしょうか。
脳内科医の加藤俊徳氏は、
テキストを読みながら、これを全く知識のない第三者に伝えるとしたら、どんな言葉でどう伝えるのがベストか。要点を3つにまとめて書き出すとしたらどう分類するのがいいか。そんなふうに、アウトプットを意識して文字を追うようにするだけで、さまざまな脳番地の連携がよくなり、脳が活性化していきます。
と述べています。(THE GOLD 60|覚えたはずなのに思い出せない…!「記憶力を高めるため」に大事なこと【脳内科医が解説】)
ちなみに同氏によると、「脳番地とは、同じような働きをする神経細胞の集まり(部位)と、その神経細胞群と関連している機能」のこと。(カギカッコ内引用元:株式会社脳の学校|脳の学校・脳番地とは)
スキマ時間に1ページしかテキストを読めなかったとしても、このあと誰かに説明するつもりで読むだけで、脳が活性化してしっかり覚えることができるのですね。実際にキリのいいところまで読んだら、テキストを閉じて、頭のなかで説明してみるのもいいかもしれません。
また、思い出すだけなら、どんなスキマ時間でも簡単に取り組むことができます。歩いているときや歯を磨いているときなどにも、その前に勉強していた内容を思い出すことを習慣にしてみると、効率的に覚えられそうです。
3. 戦略的に復習をする
アウトプットを意識した学習方法で、記憶に定着しやすくなったとしても、全く復習しなければ次第に忘れてしまいます。とはいえ、忙しくてまとまった復習時間がとれない……。そんな時は、スキマ時間で効果的に復習してみましょう。
具体的には、「覚えておきたい期間」に合わせて復習のスパンを変えると効果的に記憶することができることが研究によって示唆されているそうです。立教大学教授で言語学者である中田達也氏は、
これまでの研究では、「ある事柄を短期間覚えていたいのであれば、短い間隔で復習を繰り返すのが良く、長期間覚えていたいのであれば、長い間隔で復習を繰り返すのが良い」ということが示唆されています
と述べています。(引用元:現代ビジネス|【学習法】最も効果的な「復習スケジュール」に関する驚きの研究結果)
さらに具体的には、「あくまでも目安に過ぎ」ないとしつつも、「覚えていたい期間の10~30%程度の間隔で復習を繰り返すことが、最も高い保持率に結びつく」そうです。(カギカッコ内引用元:同上)
つまり、1か月後に試験がありそこまでは覚えておきたい、つまり1ヶ月間は記憶を保持したいのなら、30日の10%〜30%=3日〜9日の感覚で復習すれば良いことになります。
もし問題集を解いたのなら、それも3日後、遅くても9日後に解きなおすことができればいいわけです。効果的な復習のペースがわかっていれば、「毎日やらなくては」といった焦りから解放され、落ち着いて目の前の勉強に取り組めそうですね。
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「忙しくても勉強して結果を出したい」と頑張っているのなら、やっぱり報われたいものですよね。本記事で紹介した3つのことが、仕事と勉強の両立の助けになれば幸いです。