気が散って、集中力が続かない……。他のやるべきことに気を取られて、作業能率が上がらない……。そんな悩みを抱えてはいませんか?

昇進や起業など、キャリアアップのためには作業の効率を上げることは必要不可欠。そのためにマルチタスクに仕事をこなす方もいらっしゃるでしょう。しかし実際には、そのマルチタスクによって、かえって作業効率を下げてしまっているのかもしれませんよ。今回は、マルチタスクの具体的なデメリットと、仕事の質を上げる集中力を鍛える方法をご紹介します。

マルチタスクは仕事の効率を下げてしまう

「マルチタスク」自体は比較的メジャーな言葉ですので、知っている人も多いかもしれませんね。

もともとはコンピュータの能力についての言葉で、現在では複数の作業を同時あるいは短期間に並行して切り替えながら実行することを言います。こう聞いてみると、マルチタスク型の人は効率的に仕事のできる素晴らしい人材のように思えるかもしれません。しかし、マルチタスクには大きな落とし穴があるのです。

根本的に人間の脳はマルチタスクに向いていません。スタンフォード大学がマルチタスクについて行った研究では、マルチタスクでの作業はシングルタスクによる作業よりパフォーマンスがなんと85~90%低下するという結果が出ています。

この実験結果と同じことを日常的に感じている人もいらっしゃるのではないでしょうか。例えば、スマートフォンをいじりながらドラマを見ると、そのドラマの内容を全然覚えていないなんてことはありませんか? また「ながら歩き」が事故の可能性を高めることは耳にする機会も多いでしょう。

このように人間は2つのことを同時に行おうとすると、どちらも満足にこなせず注意散漫になり、中途半端になってしまう危険があるのです。過去にマルチタスクができるといわれていた人は、そのほとんどが1つ1つに集中して素早くこなしていただけだと考えられます。

また、スタンフォード大学の実験では、日常的にマルチタスク習慣がある「マルチタスク型」の人はそうでない人より1つのことに対する集中力が低く、結果的にパフォーマンスが最大40%も低下する可能性があるという結果も出ています。何かをしながらスマートフォンを見るのもれっきとしたマルチタスクです。情報端末が当たり前に存在する現代では、我々は気づかないうちにマルチタスク型になってしまっているのかもしれません。

ではマルチタスク型の人は絶対に効率が悪くなってしまうのか、というと決してそうではありません。マルチタスク型の人が集中できないのは、集中の対象が複数あり移ろいやすいから。対象が切り替わるから集中できないのであれば、切り替わる対象を無くしてしまえばいいのです。そのための具体的な方法を2つご紹介します。

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1. 視界を狭める

人間が得る情報はその半分以上が視覚によるものです。視覚から入ってくる余計な情報をシャットアウトすれば、集中の対象が切り替わることも確実に減らすことができます。

ここでおすすめしたいのは集中したいときは狭い場所を使うというものです。狭い場所で勉強や仕事を行うと、スペースがないため、自然と余計なものの数を減らせるようになります。例えば、広い机の上で勉強すると横にスマートフォンを置いたり、筆記用具を無駄に広げたりしてしまいがちですが、狭い机の上では邪魔になってしまうので、そういうことは起こりにくくなるでしょう。

狭い場所を使うと、必要なもの以外を自然と視界の外に追いやることができるので、集中しやすい環境を整えることができます。筆者の体感としては、壁に向かった机で左右がついたてなどでおおわれているとより集中しやすくなります。狭い場所は圧迫感や閉塞感がありリラックスできないと感じるかもしれませんが、それは集中するまでの話。一度集中してしまえば、周りはさほど気にはならないはずですよ。

2. 段取りを完璧にする

マルチタスク型の人間が集中を切らしてしまうもう1つの大きな要因として、次に控えたタスクがあります。

いま目の前にある作業に集中しなければいけないのに、ついつい次に控えたタスクのことを考えてしまうことありませんか? やっていないタスクが気なってしまうのは、段取りが足りないから。あらかじめその日の仕事について、完璧に計画し段取りを整えていれば後は半ば機械的にやっていくだけになるので心配する必要はなくなります。

計画を立てる時間を惜しんですぐに作業にとりかかる人もいますが、優先順位と締め切りをきっちり決めて無駄なく集中するほうが圧倒的に早く仕事を処理することができるのです。作業にとりかかる前に、その作業の工程を細かく分けたり、かかる時間の見込みを立ててカレンダーに作業時間を書き込んだりして、いまどれくらいの進度なのかを意識するようにするといいでしょう。

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情報化社会と言われて久しい現代、想像以上にマルチタスク型の人の割合は多くなっているでしょう。その中で意識的に集中できることはきっと大きなアドバンテージになるはずです。意識と視界の両方から余計なものをシャットアウトしていきましょう。

(参考)
Wikipedia|マルチタスク(心理学)
InfoQ|Stanford Study Shows: Maxi-Multitaskers’ Performance Impaired
Christine Rosen(2008), “The Myth of Multitasking”, The New Atlantis, Number 20, Spring 2008, pp. 105-110.