乗り越える? それとも味方につける? 「プレッシャー」との上手な付き合い方。

大事なプレゼンを任された、プロジェクトのリーダーに任命された……。そのような事態に直面したとき、やる気よりも不安が大きくなり、自分には荷が重いと感じたことはありませんか?

また、自分以外はみんな余裕があるように見える、自分だけがプレッシャーに弱いのではないか、という不安な気持ちにとらわれることで、本来持っている能力が活かしきれずに残念な結果を招いてしまったこともあるのではないでしょうか。

でも実は、プレッシャーへの対処法を知ることで、誰もがうまくプレッシャーと付き合っていくことができるのです。いえ、むしろプレッシャーを利用して、今よりもさらにパフォーマンスを高めることだってできるのです。今回は、そんな「プレッシャーを味方につける方法」をお伝えします。

プレッシャーを感じるメカニズム

そもそも、人はどうしてプレッシャーを感じてしまうのでしょうか?

プレッシャー(緊張)の元となるストレス。その情報は大脳皮質で受け取られ、視床下部を経て腎臓のすぐ上にある副腎髄質に伝わります。そこからアドレナリンが分泌されると、全身の細胞にストレスの情報が伝わるのです。その結果、筋緊張を起こしたり、心拍数が高くなったりします。これがいわゆる緊張している」状態です。

つまり、プレッシャーを感じてドキドキしたり、不安になったりすることは、誰にでも起こるごく自然な身体の反応なのです。また、「緊張状態」とは交感神経が活発になった状態なので、適度な緊張は集中力や身体機能を高める効果が期待できることもわかっています。そう、プレッシャーとは決して不要なものではないのです。

一方で、過度な緊張を感じることにより、交感神経が活発になり過ぎてしまうことも。その結果、判断力の低下イライラが募り感情的になる血行や内臓の働きが悪くなるなど、精神面だけではなく身体面にも悪影響を及ぼしかねません。

うまく味方につけることができれば、プレッシャーは私たちのパフォーマンスを高めてくれるでしょう。しかし、過度なプレッシャーによって肉体的・精神的に追い詰められて、仕事だけではなく日常生活にまで支障をきたしてしまう恐れもあるため、充分注意しなければなりません。

これまでにプレッシャーと向き合ったり、乗り越えたり、はたまた逃げてしまったりした経験は誰にでもあるもの。しかしこれからは、もっと上手に、自分の人生にプラスになるような付き合い方をしていきたいと思いませんか?

プレッシャーに強い人と弱い人の違い

「もしかしたら自分は人よりもプレッシャーに弱いかもしれない」と考えたことがある人は多いはず。確かに同じ問題に直面しても、「よし頑張ろう!」と前向きに捉える人と、「絶対に無理だ」とすぐに諦めてしまう人がいますよね。その違いは一体何なのでしょう。

東邦大学神経科学研究室によると、ストレスに対する脆弱性は、遺伝的背景過去のストレス経験などが原因との研究結果があることから、プレッシャーの感じ方は「持って生まれたもの」である可能性が高いと言えます。

通常は脳の機能的に、ストレスが軽減されれば前頭前野の回路の機能は元通りになりますが、遺伝的にこれらの酵素の力が弱い人がいるらしいのです。そして、人は非常に強いストレスに晒され続けると、前頭前野の回復機能が失われることもわかっています。つまり、「心が弱い」「根性がない」といった精神論で片付けられる問題ではなく、脳がそのような仕組みになっているのです。

また、「繊細すぎる」心の持ち主=過度に敏感な人を意味する『HSP(Highly Sensutive Person)』は、持って生まれた性格、遺伝的特性です。人の気持ちや周囲の空気に敏感であるがゆえにプレッシャーを感じやすく、そのプレッシャーから疲れを感じてしまいがちだと言われています。

しかし「遺伝なんだから改善されないだろう」「持って生まれた性格なんだからしょうがない」と諦める必要はありません。次にご紹介するいくつかの方法を試すことで、それぞれに適した「プレッシャーに負けない自分」になることは可能なのです。

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プレッシャー克服法

プレッシャーに対処する方法として、「緊張」を「集中」へと変化させることを意識すると良いでしょう。スポーツ心理学に見られる「ほどよい緊張の中で自分をうまく操作できる状態」、いわゆる『ゾーン』『フロー』と呼ばれる状態へと持っていくことが理想です。緊張感とリラックス状態がバランス良く両立することで極度の集中状態へと到達し、信じられないようなパフォーマンスが発揮されることが期待できます。

このように、リラックスし過ぎない、しかし緊張もし過ぎない状態まで自分を持っていくためには、どのような方法があるのでしょうか?

マインドフルネス瞑想 GoogleやAppleなどの企業が実践していることでも知られる心理的な疲労軽減法であり、“心の筋トレ”とも呼ばれています。

その方法は、目をつむり、ゆっくりと深く深呼吸し、その回数を数えるというとてもシンプルなもの。この目的は「今の自分の状態に気づき、その現実をあるがままに見守る」こと。呼吸に意識を集中させることでリラックスし、ストレスを軽減する効果が期待できます。

ここで大切なのは、イライラや不安があっても、それを解消しようと焦らないこと。心臓がバクバク鳴っていても「心臓が鳴っているな」と観察するだけ。「一刻も早くどうにかしなければ」と焦れば焦るほど、状態は悪化していくだけです。あるがままの状態を素直に受け入れることで、ストレスをコントロールできるようになるでしょう。

自律訓練法 自律神経をコントロールすることによって、精神状態を安定させる心理療法の一種です。マインドフルネス瞑想と似ていますが、息を吸いながら思い切り両手を握りしめて、息を吐くのと同時に一気に緩めます。ただそれだけですが、気持ちをリラックスさせる効果は絶大です。

ジャーナリング 不安に感じていること、ストレスになっていること、それらをただひたすら紙に書き出します。この方法は「ジャーナリング」と呼ばれます。心のモヤモヤを実際に書くという行為はストレスホルモンを軽減させ、自分を客観視することで仕事や勉強の効率を上げる効果が期待されています。

ルーティーン ある動作を行えば必ずある反応を示すという条件反射のことを意味します。有名スポーツ選手が勝負の前に行うことでも知られていますね。一定の動作に気持ちを向けることで、次のプレーの準備へとつなげます。これはゾーン状態に到達する過程において、非常に重要な行動となるでしょう。

セルフトーク(自己会話) 自分自身と会話することで、自分で自分に暗示をかける方法です。不安を打ち消し、やる気を高めるために、プラスの言葉遣いを意識しながら自分に話しかけてみましょう。言葉に出すことで、その感情が確かなものへと変化し、前向きな気持ちを手に入れられるようになります。

*** プレッシャーは誰もが感じるもの。しかしそのプレッシャーに振り回されて自分を見失ってしまわないように気をつけなければなりません。プレッシャーをむしろ味方につけて、最高のパフォーマンスを発揮できる状態を目指してみませんか?

(参考) 東邦大学|生物学の新知識 ストレスと脳 Study Hacker|“繊細すぎる” は 遺伝する…! 落ち込みがちなあなたのための「不安な心」の鎮め方 Study Hacker|緊張感を味方につける! ストレスマネジメント、3つの基本技術 DIAMOND ONLINE|プレッシャーに潰される前に身に付ける「頑張らない」コツ

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