メールや企画書、レポートに論文など、日常的に文章を書く機会はたくさんあります。文章を書くことが苦手な方は、 さぞかし憂鬱でしょう。

そこで今回は、「相手に正しく伝わるような文章が書きたいけれど、具体的にどうすればいいのか分からない」という方のために、伝わる文章を書くコツをご紹介します。

文章力の重要性

ところで、文章力の重要性はご存知ですか?

コミュニケーションの企業研修を行う株式会社ダイレクトコミュニケーションは自社のサイトで、ビジネスの成功にはアウトプットが必要で、そのためには文章力が必要だと伝えています。

なぜならば、本やメディア、講義などからインプットしたものは誰もが知りえる情報ですが、アウトプットはインプットされた情報を組み合わせ、新しく創り出された希少価値の高い情報だから。したがって、インプット型の情報しかない人は、なかなか成功できないとしています。また、情報を創るためには言語化(アウトプット)が必要ですが、「口頭」は高度な言語化で、「文章」は基礎となる言語化なので、「文章」こそが必要不可欠なのだと言います。

違う視点で見ると、ソニーコンピュータサイエンス研究所上級研究員で、アジア共同体研究所理事の茂木健一郎氏は自身の著書『脳を活かす仕事術』で、インプットの回路(見る・聞く・感じる・読むといった感覚系)と、アウトプットの回路(書く・話すなどの運動系)は、脳内で直接つながっていないので、脳の入力と出力を循環させることが重要だと述べています。つまり、インプットしたものは文章や説明でアウトプットして、それを再びインプットすることが脳を活かす仕事術だということ。

もちろん、これはビジネスに限らず、勉強においても同じことが言えるでしょう。

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「伝える」と「伝わる」は異なる

文章力がいかに重要かわかりました。しかし、どんなに有用な情報が書かれていても、肝心な要素を持たない文章では、自分用のメモ書きや日記にとどまってしまいます。その要素とは「伝わる」こと。これは、口頭による言語化でも同じことが言えます。

公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT )の西部支社長・大沢昭博氏は、「家庭でも職場でも、伝達ミスが発生すると取り返しのつかない事態になることもある」とし、「『話し手が言いたいこと』と『聞き手の聞きたいこと』は異なる」と伝えています。

また、さまざまなテーマで講義を開催している自由大学の「伝わる文章学・文章を書くのが楽しくなる入門講座」詳細ページでは、「『何かを相手に伝える』のは誰にでもできるが、『何かが相手に伝わる』になると途端に難しい。伝わる文章力とは、プレゼン力でありコミュニケーション力。それを身につけることは、ビジネスやプライベートで大きなアドバンテージとなる」といった内容が書かれています。

「伝える」と「伝わる」では、大きな違いがあるのです。

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伝わらない文章の特徴

伝わらない文書とは、どういうものでしょう。4つの例にまとめました。

1.内容を詰め込みすぎ
【例1】※「今日は、いつもより仕事が早く終わったので、前から気になっていた経済学の本を買って勉強しようと思い本屋さんに寄ったら、たまたま賞をとった話題の本が2冊並んでいたので、結局その2冊を買ってしまったが、どちらにしろ買おうと思っていた経済学の本は売っていなかったので、結果的には良かった」

この文章は、一文にあまりにも多くの要素が詰め込まれています。これでは内容が頭に入ってきにくく、文章も美しくありません。

2.主語と述語が正しくない
【例2】※「オーストラリアのブルーベリーファームは、ピッキングして食べるのでフレッシュで美味しい」

この文章の主語は「ブルーベリーファーム」で、述語は「美味しい」なので、「農場が美味しい」というおかしな表現になっています。冗長表現を削っていくことは大切ですが、それが過度になりすぎると時に主語がどこかにいってしまうことも。

3.修飾語と被修飾語が離れすぎ
【例3】※「流暢な佐々木さんは、外国人のお客さんと英語で商談していた」

この場合、本来は「流暢な」が修飾語で、「英語」が被修飾語ですが、まるで「佐々木さん」が被修飾語のようです。佐々木さんという人物が、とても流暢な英語を話すので、思わず文頭に入れてしまった印象です。

4.難しい言葉と漢字が多い
【例4】※「客室乗務員の終始一貫した慇懃無礼な態度のせいで彼女は怒り心頭に発した 」

このように、四文字熟語や難しい漢字、慣用句が詰め込まれていると、読みづらい文章になってしまいます。知っている言葉や漢字をフル活用すると、こういった現象が起こります。

伝わる文章のポイント

では、先の「伝わらない文章」4例を踏まえ、「伝わる文章」にするためのコツやポイントをご紹介します。。

1.「一文一義」を心がける
例1のように、内容を詰め込みすぎた文章は、適所に句読点を入れるだけで読みやすい文章になります。その際、一文におおよそひとつの情報を書く「一文一義」を心がけると書きやすいですよ。

≪改善例≫
「今日はいつもより早く仕事が終わったので、帰りに本屋さんへ立ち寄った。そこで、前から勉強しようと考えていた経済学の本を探したが、残念なことに売っていない。しかし、たまたま賞をとった話題の本が2冊並んでいたため、それらを購入。目的の本は無かったが、結果的には満足できた」

2.シンプルにしてからふくらませる
例2のように主語と述語の関係がおかしい文章は、いったん主語と述語だけの「ブルーベリーは、美味しかった」というシンプルな文にしてから、文章のふくらみをつけていきましょう。

≪改善例≫
「オーストラリアのブルーベリーファームでピッキングしたブルーベリーは、食べてみるとフレッシュでとても美味しかった

3.修飾語と被修飾語は近くに
例3のように、修飾語と被修飾語が離れてバランスを崩した文章は、単純に修飾語と被修飾語を近づけてあげましょう。

≪改善例≫
「佐々木さんは、流暢英語で外国人のお客さんと商談していた」

4.難字や漢字を減らして滑らかに
例4のように、難しい文字が詰め込まれ硬くなってしまった文章は、言葉や漢字を減らし、表現を変えて、滑らかな文章になるようにしてみてください。

<改善例>
「一見丁寧でありながら、内心は相手を見下しているような客室乗務員の態度に、彼女は心から怒りを覚えた 」

***
自分が伝えたいことを文章にするのは大切です。しかし、いま一度その文章を読み返し、「相手に伝わるかな?」と想像してみてください。見過ごしていた過不足に気付けるはずです。

(参考)
コミュニケーション能力・スキルを高める!初心者向けトレーニング♪向上評判の講座|文章力を向上させるには?インプット情報とアウトプット情報
JAGAT|「伝える」と「伝わる」の大きな違い
茂木健一郎著(2008),『脳を活かす仕事術』,PHP研究所.
自由大学 FREEDOM UNIV|伝わる文章学
リクナビNEXTジャーナル|「ダメな文章」が「伝わる文章」に激変する3つの基本!