あなたは普段、誰かのためになることをしていますか?
他人のために行動する。文字で書くと非常に簡単ですが、実行するのはとても大変ですよね。仕事漬けであったり、重要な案件が目の前に迫っていたりすると、他人のことを考える余裕はなくなります。でも、もし今よりもっと他人のために行動できれば、生産性が上がり、また精神的に余裕を持てるようになるのです。
今回は、人のためになることをすることと、仕事との関係について紹介します。
余裕がないときほど他人のために行動しよう
「世のため人のためになることをしなさい」 小さいころからよく教えられる文言ですよね。素晴らしい人間であるためにはこうあるべき、と教わってきた方も多いはずです。
そして、この言葉は仕事をするうえでも素晴らしい方針になります。人のために行動すると生産的になるうえ、時間的余裕を感じられるということが、研究から明らかになっているのです。
イェール大学、ウォートン・スクール、ハーバード大学の教授らが共同で行った実験では、地元の落ちこぼれた学生のレポートを15分間手直しした被験者の方が他のことを行った人に比べ時間に余裕を感じたという結果が出ています。(中略)不思議なことに人のために時間を使ったグループはより生産的であった上、時間的余裕を感じたのです。
(引用元:日経WOMAN Online|「時間がない」病から脱却するコツ(3/3))
いつも落ち着いて見える人は、見ていて安心できるので、多くの人から信頼されます。また、人のために行動すると、行動してもらった側は「やってもらったぶんのお返しをしよう」と感じるので、その人の周りでは助け合いが生じます。すると、多くの人が力を発揮しやすい環境を作ることができ、生産性が向上するのです。
他人のための行動ができる人は成績トップ層と底辺に分かれる
では「人のための行動なら何でもいいのか」というと、もちろんそうではありません。
実は、人のために何かをしてあげる人(=ギバー)は、成績トップにも成績ビリにもなりうるのです。組織心理学者であるアダム・グラントさんはTEDトークで次のように述べています。
何百人という営業マンの、売上の記録を集めたデータをご覧ください。ギバーの成績は両極端ですね。売上最下層の人々のほとんどを占めながら、トップの層もギバーです。エンジニアの生産性も同じパターンになり、医学生の成績でも同じでした。最上位も最下位もギバーばかりだったのです。私が知る限りの成功指標、どれを見ても同じでした。
(引用元:TED|Are you a giver or a taker? )
このように、人のために何かをしてあげると自分の成績が下がる人もいるのです。では、成績トップのギバーと成績ビリのギバー、彼らの違いはいったいどこにあるのでしょう。どうしたら成績トップのギバーになれるのでしょうか?
自己犠牲は尊く見えるだけ
彼らの違いは、人に与える行動が自己犠牲になっているかどうかです。成績ビリであるギバーは、ただのお人よしなのです。例えば、自分のことはそっちのけで、他人のために行動しようとしてしまう人。
それに対して、成績トップであるギバーは他人に何かしてあげることで、自分を含めて全員に利益を作るのです。メンタリストのDaiGoさんは自身のブログで次のように述べています。
Giver(ギバー:筆者注)の特徴は「みんなの利益を最大化」しようとする点です。ただし、この「みんな」に自分を含めないのが底辺のGiverで、自分を含めるのがトップのGiverです。底辺のGiverは、自分の利益も度外視して与えていく人です。これは絶対ダメです。そうではなく、トップGiverは、自分の利益も含めてみんなの利益を増やそうとするんです。
(引用元:メンタリストDaiGoオフィシャルブログ|人心掌握のための親切とプレゼントの心理学~与えるほど成功するトップギバーになるには?)
資料の棚の片付けを例にとって考えてみましょう。まず、底辺のギバーは「棚が整理されていたほうが資料を探しやすく、仕事の効率がよくなる」と考えて、いつも1人で棚を整理します。
それに対し、トップのギバーは毎日誰かが資料の棚を整理するという仕組みを作ります。棚がいつも整理されているという結果は変わりません。しかし、底辺のギバーよりもトップのギバーは使える時間が多くなっています。こうした時間が積み重なり、両者は成績に差がついてしまうのです。
人のために何かするとき、自分だけが損をする必要はありません。自分も含めてみんなの利益を増やすことが大切なのです。
*** 松下電器産業(現パナソニック)を創業し、経営の神様と呼ばれた松下幸之助は次のような言葉を残しています。
世の為、人の為になり、ひいては自分の為になるということをやったら、必ず成就します。
(引用元:Inquiry.|松下幸之助)
忙しいときやつらいとき、人のことを考える余裕はないかもしれません。それでも、そんなときこそ一度深呼吸して、みんなが幸せになる方法を考えてみてください。
(参考) TED|Are you a giver or a taker? Inquiry.|松下幸之助 メンタリストDaiGoオフィシャルブログ|人心掌握のための親切とプレゼントの心理学~与えるほど成功するトップギバーになるには? 日経WOMAN Online|「時間がない」病から脱却するコツ(3/3)