みなさんは、職場で他の人の仕事を手伝ったり助けたりした際に「良い人」「優しい人」と言われた経験はありますか? また、そのように言われたとき、どう感じたでしょうか。

「良い人」と言われて素直に嬉しく感じられるのなら問題ありませんが、逆にストレスに感じてしまう方もいるかと思います。後者のタイプの人は、たいていの場合、自ら「良い人」を演じてしまっています。ひょっとしたら「人間関係を壊したくない」「周りの人から良く思われたい」と考えて、「良い人」だと思われるように行動しているのではないでしょうか。

実は「良い人」でいると、このようなストレスを感じる以外にも、様々な弊害がうまれてしまうのです。今回は「良い人」をやめるべき理由とその方法についてお伝えします。

そもそも、仕事における「良い人」って?

仕事における「良い人」とは、一体どのような人を指すのでしょう。みなさんは「良い人」という言葉を聞いた時、面倒な仕事を代わりに引き受けてくれる同僚や、ミスをしても叱らずに許してくれる上司を思い浮かべませんでしたか。その通り、仕事における「良い人」とは、周囲の人から「“都合の”良い人」として見られている人のことを指している場合が多いのです。

「良い人」として見られやすい人、つまり「都合の良い人」になりがちな人は、過剰に相手を優先してしまう傾向があります。長崎大学医学部保健学科客員研究員であり臨床心理士の倉成央氏によると、相手を優先し過ぎる人は、自分に自信がなく、人間関係が壊れてしまうことを恐れているのだそう。職場の雰囲気を壊したくないと思うあまり、結果として周囲の人からの頼み事が断れず「都合の良い人」になってしまうのですね。

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「良い人」=「仕事ができる人」とは限らない

「良い人」が仕事のできる人かどうかと言えば、実際はそういう訳ではありません。むしろ「良い人」であるがゆえに不利益を被ってしまい、仕事がうまくいかないことも少なくないのです。それは、「良い人」の自信のなさからくる行動が原因。ここでは、「良い人」がしてしまいがちな代表的な2つの行動をご紹介します。

1. 他の人の仕事を手伝い過ぎてしまう

他の人の仕事を引き受け過ぎるというのは、「良い人」がよくしてしまう行動のひとつ。また、「都合の良い人」であるがゆえに、他の人から利用されて多くの仕事を押し付けられてしまう、というケースも考えられます。そして、結局1人では手が回らなくなってしまい、トラブルに繋がってしまうことが多いのです。

実際には、「良い人」は仕事を快く引き受けているわけではなく、頼みを断ると職場での自分の印象が悪くなるのではないか、と考えてやむなく引き受けているのでしょう。この場合、仕事を頼んだ人から見れば、自分の仕事を手伝ってくれる「良い人」に見えても、本人にとっては、ただストレスを感じるだけです。しかも、引き受け過ぎて仕事を納期に間に合わせられなかったとしても、それは引き受けた側の責任。他の人の仕事を手伝い過ぎることは、評価が上がるどころか、むしろ「仕事のできない人」として印象が下がってしまう、ということになりかねないのです。

2. 他の人のミスを見逃してしまう

「良い人」は、他の人がした仕事上のミスに気づいたとしても、見逃してしまいがちです。職場の人々との関係を悪くさせたくないと思うあまり、指摘ができないのでしょう。ミスをした人の目には、自分が責任を負わなくても済むように知らないふりをしてくれた「優しい人」に映るかもしれません。しかし、問題を見逃したことをきっかけとして、会社の信用に関わるほどの大きな問題が起こってしまう可能性もあるはずです。そう考えると、「良い人」でありたいからといって他人のミスを放っておく、という行動はむしろ危険な選択だといえます。

「良い人」をやめるには

仕事において「良い人」を演じることが、自分にとっても職場にとっても悪い影響を及ぼす可能性がある、ということがお分かりいただけたと思います。では、どうすれば「良い人」をやめることができるのでしょうか。ここでオススメしたい方法が、「アクション・マトリクス」を用いて自分のとるべき行動を判断する、というものです。

他の人から仕事を頼まれた時、「良い人」は自分ができようができまいが、相手が感謝しようがしまいが、自分にできることをできる限りしてあげようと考えがちです。しかし、アクション・マトリクスによる考え方は違います。「自分にできるかどうか」「きちんと相手から感謝されるかどうか」この2つの点を、判断の基準にするのです。

つまり、誰かから頼まれた仕事を引き受けるかどうかを、
【1】できるし、感謝される
【2】できるけど、感謝されない
【3】できないけど、感謝される
【4】できないし、感謝されない
の4パターンに分類して判断するということです。

この中で、1つ目の「できるし、感謝される」に当てはまった仕事だけを引き受けるようにすれば、自分の許容範囲を超えてストレスを抱えることはありません。また職場の人間関係においても、できる仕事を確実にこなすことで、「良い人」ではなく「信頼できる人」になり、きちんと感謝してくれる人と良好な関係を築くことができるでしょう。

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人間関係を築くことももちろん大切ですが、「都合の良い人」になって自分だけが我慢する状況になってしまってはもったいないものですよね。ただの「良い人」で終わってしまわないよう、みなさんも職場での自分の行動を見直してみてください。

(参考)
倉成央著(2011),『いい人すぎて“結果が出せない人”のための問題解決術』,大和出版.
斎藤茂太著(2015),『「いい人だけどグズ」を直したい人が読む本—仕事・人間関係のクヨクヨを晴らす考え方』,ゴマブックス.
中島孝志著(2013),『「いい人」をやめればすべてうまくいく! —仕事で損をしないための25のルール』,ゴマブックス.
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