「お前は思考力が足りていない」
「もっと考えてから行動したらどうなんだ」

こんな風に、上司や先輩から言われたこと、誰でも一度はあるはずです。「思考力」を身につけたい、と考える人は多いと思います。ですが同時に、次のようにも思うのではないでしょうか。

「考える力って、一体どうやってつけたらいいんだ」
「そもそも『思考力』って一体何者なんだ」

「考える」という行為は誰もが普段意識せずやっていることのはずですが、「考える力」をどうやって鍛えればいいのかは、意外とよくわからないものですよね。

今回は、みなさんが大学受験生の時に勉強した「国・数・理」の考え方を応用して、思考力を鍛える方法をご紹介しましょう。

「思考力」は学校教育で身につけられる!?

「思考力がない」と嘆くあなたは、次のようにも考えていることでしょう。「でも『考える』なんて、一度も習ったことがないし、できるわけない!」と。

いえ、私たちは、学校教育の中で考える練習をしっかり積んでいるのです。元外務省分析官で作家の佐藤優氏は、日本の教育について次のように語っています。

では、どのようにして論理的思考力を身につけるか。そのために勉強すべきは、数学と国語である。日本の義務教育では「論理」という科目名で教わることはないが、数学と国語を通して、その素養を学んでいるのである。

(引用元:東洋経済オンライン|スキルを学ぶ前に、論理的に考える力を磨け 佐藤優氏が説く、ビジネスパーソンの成長に不可欠な視点

ここでは思考力の中でも、論理的思考力について述べられていますが、基本的に全ての教科・科目で私たちは思考力を鍛える練習をしています。

例えば理科では、実験のデータを定量的に分析し、文章化してレポートに起こします。社会科では、歴史上の人物を中心にストーリーを組み立て、その時代の文化や背景を考察します。私たちが意識していないだけで、かなりハイレベルなことをやっているのです。

ならば、社会人となった今からでも、思考力を鍛えるのに遅いということはないはずです。教材を引っ張り出してきて再挑戦……は厳しくても、その考え方を真似してみましょう。

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国語:「~~とはどういうことか。○○字で説明せよ。」

ものごとの本質を捉え、考えること、いわゆる「本質思考」で大切なのは、「原理を知る」ことだと言われています。

本質思考を身に付けるためには、4つのステップがあります。まず、問題のステップ1に挙げられるのが「モデル(原理)を見る」ことです。これは因果関係を探るということなので、何がその現象を引き起こしたかについての考察を行うことなのです。

(引用元:キャリアパーク!|本質思考における問題解決策を身に付ける方法

この本質思考の考え方で、原理や原因を探るというのは、まさに受験国語がやっていることです。国語、特に現代文の受験問題は、論理的に書かれた文章を読んで問いに答える、という形式になっていて、多くの場合、「~~とはどういうことか、~~なのはなぜか」という形で出題されます。

先ほど紹介した「原理を見ること、原因を探ること」をまさに体現した問いだということがわかるでしょう。

何か難題にぶち当たった時は、受験国語にならって「~~とはどういうことか、~~なのはなぜか」と問いかけてみてください。

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数学:「数字で」考えられる人材になるために。

書類や本を読む時、数式や数字が並んでいると、頭が痛くなってしまう。グラフや表でわかりやすくまとめてくれればいいのに……。そんな風に思ったことのある方は多いはずです。

冒頭でご紹介した佐藤優氏は、その考え方を「本質的でない」と一刀両断します。

たとえば、経済学の本を読んで「グラフならわかるが数式が出てくるのは苦手」という人がいるが、グラフはすべて数式で表せるのだから、グラフがわかるというのなら数式も読めないとおかしい。グラフと数式の対応関係がわからないのなら、論理的に理解していないということになる。論理的に理解できているなら、たとえば放物線のグラフを見て「これはこういう関数だな」とだいたい把握できるし、あるいは数式を見て「これはこんなグラフになるな」とわかる。

(引用元:東洋経済オンライン|スキルを学ぶ前に、論理的に考える力を磨け 佐藤優氏が説く、ビジネスパーソンの成長に不可欠な視点

受験時代の数学の問題を思い出してみましょう。数字だけ、グラフだけ、文字だけ、そんな問題は一問もなかったはずです。数字をグラフに変換し、グラフから数値を読みとり、文字に起こす。そうした作業を平気でやっていましたよね。

数字単体、文字単体で考えるのをやめてみましょう。数字やグラフ、文字など形に違いはあれど、情報には必ず関連性があると考えるべきなのです。

理科:理科的発想で「問い→答え」のフレームワークを身につけよう。

最後にご紹介するのは、「理科」の考え方です。実は、理科の受験問題文は、非常に緻密に作り込まれています。矛盾や抜け漏れ、重複がないかどうか、精査されて作られているのです。

なぜなら、理科=科学が、非常に文章の「書き方」に神経を使う世界だから。その手法は「アカデミック・ライティング」と呼ばれ、科学者なら誰もが身につける素養として知られています。

大阪大学では、新入生に向けて指導する「アカデミック・ライティング」の方法論を、インターネットで無料公開しています。それによれば、科学的な文章には一つの特徴があるのだとか。

「○○について述べよ」といった設問を、より具体的な「問い」と、あなたが調べたり考えたりして判った短い「答え」の形式にしてみましょう。その課題では何が求められているのでしょう?(中略)例えば、「大阪大学総合図書館について述べよ」と出された課題文を「大阪総合図書館の他の図書館と比べた特徴はなんですか?」→「国立大学で3番目の広さで、学習支援の仕組みも充実しています。」と分解してみます。

(引用元:大阪大学 全学教育推進機構|阪大生のためのアカデミック・ライティング入門

物事について論理的・科学的に記述する際には、「問い+答え」の形にすることが必要なのです。この理科的発想にならい、現実世界のプロジェクトで問題が発生した時は、その状況では何が求められているのか(問い)、さらに自分たちの取りうる策は何か(答え・仮説)の形にして整理してみましょう。ひょっとしたら、解が見えてくるかもしれませんよ。

(参考)
東洋経済オンライン|スキルを学ぶ前に、論理的に考える力を磨け 佐藤優氏が説く、ビジネスパーソンの成長に不可欠な視点
キャリアパーク!|本質思考における問題解決策を身に付ける方法
大阪大学 全学教育推進機構|阪大生のためのアカデミック・ライティング入門