みなさんは、自分の記憶力に自信がありますか？
勉強での暗記はもちろん、仕事でも取引先の人の顔や名前など、物事を覚えなければならない機会はたくさんあります。自信がある人もない人も、もっと記憶力を向上させたいと思ったことはありますよね。
今回は、私たちの感情と記憶力のつながりについて詳しくお伝えしていきたいと思います。脳と仕組みと記憶する仕組みを知れば、記憶力アップに繋がりますよ。
記憶力をアップさせるには
記憶を作り出す働きをしている海馬の隣に、「快・不快」や「好き・嫌い」といった感情の働きに関係している脳の組織「扁桃体」があります。
海馬と隣り合っていることから、喜怒哀楽の感情が扁桃体を刺激して活発化すると、その隣の海馬の活動も活発化するため記憶力が強化されるのです。
過去のことでよく覚えていることは、「うれしい」、「悲しい」といった何らかの感情が絡んでいることが多いですよね。それは動物が、体験した恐怖をちゃんと記憶して同じような状況に陥った時に効率よく危険を回避できるようにするためです。ですから、人間の脳は感情が絡んでいる物事を強く覚えようとします。
例えば、「1582年 本能寺の変」を覚える場合を考えてみてください。家臣の明智光秀に裏切られた織田信長の無念の表情を頭に思い描き、肉親を失ったかのように切実に受け止めてみましょう。
イメージすることで、機械的に覚えるよりもより強く自身の記憶に残りやすくなるのです。
興味を持つことから始めよう
興味を持ったり、ワクワクしたりしている時には、「シータ波」という4〜8Hzの脳波が出ています。シータ波は、初めて訪れる場所で新しいものに出会う時に生じるもの。感動をいつまでも忘れない子どものような心を持つ人は、シータ波が出やすいでしょう。逆に、マンネリ化などで気持ちが散漫になっている時には生じません。
無意識のうちに好きな芸能人のことや好きな歌を覚えていませんか？ これは、“好奇心の象徴”ともいえるシータ波が出ている時に「楽しい」、「面白い」といった感情があり、物事をより覚えやすくなっているからです。
まずは、覚えたい物事に対して興味を持つようにしましょう。シータ波を利用することで好循環が生まれ、記憶力向上に繋がります。
さらに記憶力を高めるためには
脳内の神経細胞同士の結びつきが強くなる現象であるLTPは、扁桃体が活動すると起きやすくなるもので、。LTPをよく起こるようにした動物では記憶力が高まり、逆にそれを奪われた動物は記憶ができなくなるという実験結果もあります。
このLTPを多く起こすには、好奇心と感情が重要です。 まず、好奇心は脳波の一種であるシータ波と深いつながりがあります。このシータ波が出ている海馬では少ない回数の刺激でLTPが起こります。つまり、少ない反復の回数で記憶が定着するということ。
（引用元：Study Hacker｜海馬を刺激する！ 脳科学から見る、正しい反復学習と記憶の最適化）
物事を覚える時には何度も繰り返し復習しますが、LTPを起こすことでその回数を減らすことができるので、効率よく記憶することができますよね。
ただし、強いストレスを受けるとLTPは起こりにくいので、覚えなければならない知識を試験直前に焦って詰め込むといった覚え方はおすすめできません。
闇雲に覚えようとするのではなく、まず物事に対して感情を持ち、イメージすることで、効率よく覚えることができるでしょう。もし記憶力を今以上に向上させたいと思ったら、感情とリンクさせて覚えるようにしてみてください。
（参考） 池谷裕二著（2001）「だれでも天才になれる脳の仕組みと科学的勉強法」,ライオン社. 生理学研究所｜第8回 記憶を細胞から調べるってどういうこと？ WAOサイエンスパーク｜こうすれば記憶力は高まる！〜脳の仕組みから考える学習法 Study Hacker｜海馬を刺激する！ 脳科学から見る、正しい反復学習と記憶の最適化
