海馬を刺激する! 脳科学から見る、正しい反復学習と記憶の最適化 

どんな勉強においても基本となる反復学習。 繰り返し読む、繰り返し解く。 インプットとアウトプットを繰り返すことで、記憶は定着していきます。

皆さんが当たり前に行っている反復学習ですが、そのメカニズムはご存知ですか。 実は、反復学習は脳の働きを正しく利用した学習法なのです。 さらに、そのメカニズムから、より有効な反復学習の方法が見えてきます。 今回は、反復学習の効果を最大限にする方法をご紹介します。

 

反復学習のメカニズム

 

記憶をつかさどっているのは、海馬という脳の部位です。海馬の大きさは太さ約1cm、長さ約5cmで、耳の奥に左右対称に存在します。脳の容量は限られているため、全ての情報を記憶しておくことはできません。

そのため、海馬が必要だと判断した情報だけが脳の大脳皮質という部位に送られ、長期的な記憶となります。海馬の判断が何に基づいて行われるのかというと、「生きるために不可欠かどうか」です。普段の生活で必要なことが、特に覚えようと意識しなくても身に付くのはこの働きによるものなのですね。

しかし、勉強などは生活に直結することではないためそうはいきません。そこで役に立つのが反復学習。繰り返し同じ情報を脳に送ると、海馬はそれが生き死にかかわる重要な情報だと勘違いし、記憶として定着させます。 これが反復学習による記憶のメカニズムなのです。

 

好奇心と感情で効率アップ

 

この反復学習の効率を上げるために、一番にすべきは少ない反復で記憶が定着するようにすることです。そのカギとなるのがLTPという現象。 LTPとは神経細胞同士が強く結合する現象で、LTPが多く起こる動物は記憶力が良くなることが分かっています。 このLTPを多く起こすには、好奇心と感情が重要です。

まず、好奇心は脳波の一種であるシータ波と深いつながりがあります。このシータ波が出ている海馬では少ない回数の刺激でLTPが起こります。つまり、少ない反復の回数で記憶が定着するということ。 勉強の内容になるべく好奇心を持つように心がければ、勉強の効率があがるのです。 また、スキルアップのためになにか身に付けたいと思うなら、自分の興味のあるものを選んだ方が勉強も捗るということですね。

また、海馬の隣に偏桃体という部位があり、これが感情と深く結びついています。偏桃体が活発に動いているとLTPが起きやすくなるということが分かっています。 感情移入しながら勉強することで、記憶力がアップするのです。 出てきた人物に共感したり、起こった出来事に対し自分がどう感じるか考えてみたりするといいでしょう。

また、数学など感情移入するのが難しい内容でも、解けたときに喜んだり、解けなかったときには悔しがったりすることで、同じような効果が得られるはずです。

 

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反復に最適なタイミングとは

 

さらに反復学習の効率をあげるために、反復をするタイミングについて考えてみましょう。 ここで参考になるのが、有名な「エビングハウスの忘却曲線」です。 ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが行った中期記憶の忘却に関する実験の結果を表したものです。 これによると、一度覚えたことを再び覚え直すとき、前の記憶が有効である割合が、時間と共に急激に減少していくというのです。 指数関数的に減少していくグラフを目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。 つまり、時間が経ってからの反復では、前に覚えたことが無意味になってしまうということなのです。 この忘却曲線をもとに得られる効果的な反復のタイミングは次のようになっています。

1、覚えた直後に、復習する。(数分間でもOK) 2、1日後に、再度復習する。 3、1週間後に復習する。 4、2週間後に復習する。 5、1ヵ月後に復習する。

(引用元:フリージュニアアカデミー|エビングハウスの忘却曲線(ぼうきゃくきょくせん) )

反復の回数が多くて面倒に見えるかもしれませんが、回数を重ねるたびに簡単に記憶がよみがえるようになるので、短時間でさっと復習が終わるはずです。

*** いかがでしょうか。 反復学習は全ての勉強の基本ですから、どんな場面でも役に立ちます。 好奇心、感情、そしてタイミングに気を付けながら、反復学習で記憶を定着させていきましょう。

参考 WAOサイエンスパーク|フロントランナーvol.39 こうすれば記憶力は高まる!~脳の仕組みから考える学習法 フリージュニアアカデミー|エビングハウスの忘却曲線(ぼうきゃくきょくせん) 

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